2020 J2リーグ第30節 ツエーゲン金沢 VS ギラヴァンツ北九州 レビュー「スタートラインに立てるのか」
結果も大事、内容も大事
先の五連戦の結果をご覧いただきます。
25節 VS 町田 2-2▲
26節 VS 山口 4-2〇
27節 VS 磐田 0-1●
28節 VS 千葉 0-2●
29節 VS 岡山 0-0▲
これに前半戦の対戦を当てはめてみます。
18節 VS町田 1-1▲
15節 VS山口 3-1〇
14節 VS磐田 6-0●
5節 VS千葉 0-2●
1節 VS岡山 1-0●
前回対戦と勝敗が変わったのは、岡山が負け→引き分けになったのみです。これをひっくり返せないと上位への浮上はあり得ません。
今回の五連戦の対戦相手の前回の成績は
北九州●東京V▲水戸●群馬〇大宮● となっています。このままの成績なら五連戦で勝ち点4。
26節の山口戦で8位だった順位も、岡山戦終了時で13位になりました。この五連戦が上の前回対戦通りなら、もっと下がるでしょう。
残り1/3のリーグ戦・降格の無い異例の年・来年に続く結果、これらを考えると北九州戦はとても大事な試合でした。
前回対戦のレビューはコチラ↓↓↓
このレビューの最後に書いた言葉を改めて記します。
今、我々が現実を見ずに、あれこれ理由を見つけて「仕方ない」と思ってしまってはクラブは強くならない。
前回の岡山戦のレビューで僕は来年に「柳下正明を昇格させてJ1の監督という肩書に戻そう」とお話ししました。僕にとってこれは大きな決断です。皆さんの思いが違っていては、僕の思いはただの「犬の遠吠え」です。
しかし、この北九州戦ではこれでもかと悪いところのオンパレードでした。現実をしっかりと受け止める為にも、敗戦から学び次戦以降をしっかりみなさんと見届けたいです。
スタメン
北九州の前節からの変更は1点。高橋拓→永井。連戦続きだった守護神永井くんが休み明け。その他のメンバーも時間的なターンオーバーをしながら使われているがほぼベストメンバー。特に後ろの4枚は直近の試合では固定されています。藤原・椿などが台頭してきて楽しみな布陣。
対する金沢はメンバーの変更はありませんが、下川・ホドルフォが前後入れ替わり。前節・岡山戦の好感触の続きを観たかったのでしょうか。ただ相手はまた違うタイプの4-4-2。そこは計算に入れていたのか。
左SB渡邊泰基くんが突然の2試合メンバー外。という事は怪我の可能性大。杉井くんが久々にベンチ入り。
試合開始早々に運命の分かれ目が
キックオフ早々に下川くんのパスにルカオさんが走り出し、左サイドで後ろに走ってきた下川くんに折り返します。下川くんからのクロスを北九州CB岡村くんの視界の外に一旦出て、すばやくボールの落下点に入り込みヘディング。しかしこれがゴールバー直撃となり、惜しくもゴールならず。試合後にコバ将が
「ゲームの入りとして右サイドを突破されてクロスからのシュートがポストに当たった、というのが、ウチにとっては救いだったと思います。」(Jリーグ公式HPより抜粋)
と言っていたとおり、9試合勝ちの無かった北九州(2試合得点無し)と3試合得点の無かった金沢。どちらが先制点を獲るかが試合のカギを握っていたと思います。勢いがついてしまえば勝敗はわかりません。
前回対戦と同じ狙いの北九州。しかし準備不足。
北九州の基本的な狙いは前回対戦と変わりません。しかし、攻撃時は1トップ2シャドゥ(あるいは3シャドゥ)のような形になっていました。
序盤からスピードと連携が上回る北九州がペースを握ります。と、言いますか金沢が準備不足だったというべきでしょうか。
5分38秒~北九州右→左サイドにボールを展開されても動きの硬い金沢の選手達。6分00秒くらいにヤナ将のいう反応スピードの遅さから、セカンドボールを奪えずにいつの間にか3対3の状況に。椿くんのクロスが石尾くんの踵に当たりディサロさんに渡らなかったから良かったものの、危ないシーンが続きます。
そんなドタバタ感が一番目立ったシーンが15分50秒。金沢ミドルサードの左サイドでパスを受けようとしたディサロさんがボールを後ろにスルー。釣り出されていた石尾くんだけではなく、長谷川・大橋までボールを獲りに行き、町野くんから簡単に折り返されフリーのディサロさんへ。
走り込んできた高橋大くんへのパスが少し遅れた為にシュートには至らなかったが、普通に考えたら首をかしげるシーンでした。
一生懸命だったのだとは思います。しかし連携が全く無かったし、動き出しも驚くほど遅れていました。休みが緊張感を無くし、悪影響を与えてしまったのかと思うほどです。
そんな中で先制点を奪われたのは必然だったのでしょうか。まさかの対応でした。
まさか、その1
26分53秒くらい~北九州が最終ラインからビルドアップしようとするのですが、好機と見て長谷川くんも上がってきて北九州SB福森くんにプレスをかけに行きます。福森くんは前線のディサロさんへロングボールを出します。
長谷川くんが前へ出ていった事によって前がかりになった金沢。しかし長谷川くんがボールを獲れなかった事に関しては、ヤナ将は仕方ないという考えだと思います。中途半端が一番ダメなので。
しかし、その後の石尾くんがボールを敵にはじき返した事・2CBが競りに行ってしまった事で失点を許してしまいました。まさに予測して動くスピードが金沢ディフェンス陣には足りませんでした。
今シーズンのほぼ全試合レビューしている僕の記憶では、2CBが揃って競っているという場面はお目にかかった事がありませんでした。だからまさかの対応だったのです。
そしてそのまさかの対応は2点目にものしかかります。
まさか、その2
40分00秒~金沢右サイドファイナルサードでの長谷川・本塚のパス交換を北九州左SH椿くんがカット。ここのミスを解説の方が問題視されていましたが、ボールが奪われた場所はゴールからはるか遠く。ここからの対処が問題でした。ボールを奪われた直後の配置図が下の図です。
そしてその6秒後にはこうなっていました。
ボールを獲られ天を仰ぐ大橋くん。立ち尽くすゴール前の金沢攻撃陣。その間にも高橋大・國分はハーフェーラインを超えています。
椿くんが少し廣井くんの方へ寄って、ディサロさんを廣井くんの視界から消します。するとディサロさんがスピードアップ。石尾くんが一瞬で置いて行かれます。連携が採れていれば、どちらが誰を観るかがハッキリしているところです。しかし、この時は廣井くんがディサロさんを、石尾くんが町野くんを担当しているように僕には見えました。だから、石尾くんは必要以上にディサロさんに付ききれなかったのかと。しかしこの場面で大事なのは近くのボールであって遠くのマーカーではありません。ここがわかっていないプレーがJリーグでは良く見かけます。
守備の要である2CBをスルッと通過していったのですから、白井くんの対応が遅れてしまうのも無理ありません。際どい判定でしたがイエロー・PKは仕方ないでしょうね。
かなりツッコミどころは多かったですが、0-2で前半は終了。ハーフタイムに何がどうなったのかわかりませんが、表向きには改善は見られませんでした。
後半。改善があったかどうかを観る前に・・・
ここも長谷川・本塚の間でパスミス。この時は本塚くんは走りだして前にパスを出して欲しかったが、長谷川くんがドリブルで前進するのを見てボールを受けにいく事に。そこで本塚くんの足が滑り、北九州左SB福森くんがパスカット。本当にどちらが悪いとかではなく、この日の二人は息が合わなかったです。
それはまだ良しとして、その福森くんがドリブルを開始する為に、ボールを前に出した瞬間に周囲にいた金沢の選手4人が置き去りに。この日の金沢は攻撃→守備の切り替わり(ネガティブトランディション)が遅いというか、北九州の後手を踏み続けました。
福森くんに石尾くんが付きますがクロスを上げられてしまいます。それも仕方無いとしましょう。廣井くんはクロスが上がるかなり前からディサロさんを後ろに背負いながらもチラチラと場所を確認しています。しかしディサロさんの後ろにいるチットさん(ホドルフォ)がディサロさんへの警戒レベルを上げる様子はありません。
またも連携不足で簡単に失点してしまいました。
こういうゲームになると誰が責任を持ってチームのために闘えるかということも見えてくるので、諦めない選手を育てていこうと思っています。(ヤナ将試合後コメント。ツエーゲン金沢公式HPより抜粋)
確か、DAZNでは「誰が逃げるか」という言葉も聞かれていました。ヤナ将の中で誰が闘える選手なのか。誰が逃げる選手なのか。僕とは感じ方が違うと思うので名前は出しませんが、以前のように今後、分かる事になるのでしょうか。
4失点目に見た磐田戦と同じトラウマ
4失点目は石尾くんがパスの出しどころを躊躇している間にディサロさんがステップバックして足を出し、ボールは北九州に。残り5分ほどの金沢ディフェンス陣には全力で戻る気力が残されていませんでした。この敗北感は磐田戦の0-6に匹敵するくらいの暗闇でした。これを観てヤナ将の目には闘える選手はいたのか。
しかし、その全ての責任を負うのが監督という仕事です。選手の責任を問う前に責任を負わなければいけないのが監督です。それだけは全世界どこのサッカークラブの監督も同じです。チームを闘えるように仕上げなければならないのです。
7番を信じよう
失点ばかりに言及して三千字を優に超えましたが、途中出場の山根永遠くんが久しぶりにゴールを決めました。僕はまだ彼がシーズン前に言った20ゴールを諦めません。だから記録がどうであれ永遠くんを信じつづけます。しかし、あの場面で正確なクロスを出せる下川くんも素晴らしい。
加藤が止めるべき事
加藤くんはシュートが試合開始直後のヘディングだけという寂しさ。まさに今が絶不調の時期なのでしょう。この波をなんとかしないと金沢を離れたとしてもストライカーとして大成しないでしょう。とにかくやめたほうがいい事を指摘します。
下の図は2失点目の直前の長谷川くんがボールを失う数秒前です。
ゴール前は全く動きがありませんでした。この試合でも数回こういう場面はありました。前節でも、前々節でも。もっと言うと去年も違うメンツで。しかしここからゴールが生まれた記憶が僕にはありません。(去年も見たという事は、こうしなさいという指示があるモノと思われる)
多分、サイドからクロスが入りターゲットが複数いればそれだけ点が入りやすいし、ルカオさんのそばでプレーする事でそのこぼれ球を押し込む役割を担っているのだと思います。しかし、長谷川・本塚の前にある「空いてる場所を使おう」とはいつまで経ってもなりません。ボールが来るのを待っていて、ボールが奪われ、戻れないのなら、ボールを受けにいったほうがはるかにポジティブな行動だと思うのですが。
ちなみに同じような状況になった77分30秒くらいに、永遠くんはボールを受ける動きをしました。
また39分50秒。先ほどのシーンの少し前です。大橋くんから前線に走る下川くんへとボールが出ます。左サイドでボールをキープする下川くん。
ここでボールを貰いシュートかと思いきや
何の違和感も無く、大橋くんにそこを譲り最終ラインに吸収される方を選んだのです。まさしく仕掛ける側では無い、受け身の加藤くん。
あと、山根くんが入ってから中央を下川・ルカオ・山根で崩しにかかったシーンがありましたが(64分7秒)多分、加藤くんだったら仕掛けなかったでしょう。山根くんが入ったからこそ仕掛けたのです。
また、44分13秒に金沢ファイナルサード右サイドで北九州CB村松くんがボールをクリアしようとするのですが、北九州左SH椿くんの背中に当たってしまい、そのルーズボールが偶然加藤くんの足元に収まります。
加藤くんはゴールに向かおうとしますが、前には北九州CBの岡村くんが。その時加藤くんはボールを左に出しますが、下川くんの位置からはかなりずれていました。その際、首を振り左を確認することは一度もありませんでした。そのパスのズレで北九州のディフェンスは陣形を整える事が出来ました。
ミスをいちいち言いたいのではありません。空いてる場所を使わない・仕掛けないで待つ・首を振りをしない。怠った為に引き起こされたのがシュート1本という現実です。最近、僕がゲーム時間を記しているのは誰でも確認できるようにする為です。
ディサロさんの動きを見ても加藤くんとの違いが明確なのではないでしょうか。左右に動いて囮になったりパスを受けにいき味方の動きを助ける。スイッチバックしボールを奪う。2ゴール1アシストをするだけの事はあります。待ってるだけではシュートは増えないと思います。しかし、シーズン前半でも得点を量産するまでヤナ将は我慢して使い続けました。今回もそうするでしょう。加藤くんの覚醒に任せて。
試合終了
ハイライト
スタートラインに立てるのか。
前節に僕は決意表明をしました。詳しくは下のレビューを読んで下さい。
前節に見えた光は何だったのか。それはそれとして、決意を一度表したのだから一緒に闘う所存です。しかしそれは闘える気持ちのある者と、という事です。さらにはヤナ将が闘える集団としてマネジメントしなければスタートラインにも立てません。まだ伝統のプロローグです。しかし今年も残り12試合。皆さんの意見をお待ちしています。
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