ラ・リーガ第27節 エイバル VS マジョルカ(07.Mar.20)
先に訂正とお詫びを。前節を第27節と書いてしまいましたが、今節が第27節で、前節レバンテ戦は第26節でした。ちなみに、水曜日に行われるソシエダ戦は大気汚染の為に中止となった24節の順延開催となりますので第24節になります。申し訳ありませんでした。
文中のポジション表記で、わからないモノがありましたら下のリンクをお読みください。
地獄のレアル3連戦の初戦
という事で、前節は3-0という久々の快勝でムード良く終わりましたが、僕としては不安のぬぐえなかったエイバル。今節も我らが乾がメンバー招集外という事でしたが、久保くんが出るという事で日本のサッカーファンの方々の興味は、少しはイプルーアに向いてくれたかと胸をなでおろしています。
しかし、エイバルは先ほども触れたとおり次節はR・ソシエダ、そして次々節はR・マドリーと地獄のレアル3連戦。もうひとつのレアルはどこだ?と思う方もいるでしょうが、RCDマジョルカはレアル・クルブ・デポルディーボ・マジョルカの略なのです。さらに今節を入れると一週間で三試合を消化しないといけない、まさに降格争い正念場。私も久保くんが気になりますが、そんな事言ってられない緊張感なのでした。
リンク内でFWセルジ・エンリクは語っています。
「ストライカーはゴールと数字を求められるけど、スタメンで起用されているということは貢献できているということ。チームにはストライカーのゴールが必要だから、チャンスを活かして得点できることを願っているよ。(中略)一人の絶対的なスコアラーがいるわけじゃないけど、みんなで力を合わせれば良い数字残せるはずだ」
むしろ残留争いのチームに、少しくらい目立つプレーヤーが出てきたところで対策されたら終わりでしょう。団結してこの難局を乗り切れるでしょうか。
マジョルカと言えば、今は久保くんで有名になりましたが、少し前は長くプリメーラで最高3位と実績を残していた強豪でした。カメルーン代表として日韓W杯でも活躍したサミュエル・エトオが、バルセロナに移籍する前に在籍したのがマジョルカでしたし、テニスプレーヤーのラファエル・ナダルの甥ミゲル・アンヘル・ナダルは、マジョルカ島出身でクラブ黄金期のレジェンドです。
しかし今は、互いが残留争いの渦中。抜け出せるのか、もしくは更なる混沌が待っているのか。
スタメン
エイバルはGKドミトロビッチが復帰。その他は前節と変わらず。調子の良い時は変更の無いのがサッカーの定説とはいえ、この前までは怪我人続出でコロコロとメンバーを変えざるを得なかったエイバル。かなり選手を選べるようになったメンディリバル監督。
マジョルカはエイバルFWのエンリクとシャルレスを3バックで見てカバーするような形。ブディミルが1トップ。ポソとルモルは攻撃時は2列目になり守備時は最終ラインに納まる。クチョ・エルナンデスと久保くんはブディミルが納めたボールを回収して、攻撃を組み立てます。
マジョルカの狙いはとにかく点を与えない
普段は4-2-3-1のマジョルカが5-2-3気味に陣形を組んできたのは、負けられないというあらわれだったのではないだろうか。エイバルの2トップに3人でつく。エアバトルで負けないようにするのはもちろんP・レオンもサイドの裏を走り込んでくるので、それに対応するような形で自由にさせないようにしていた。
多分、マジョルカの前線はカウンターを狙っていて、あまり下がらなくていいような指示が出ていたと思うのだが、そのせいというか最終ラインが前に出てこなかったせいで、中盤やボランチとCBの間が空いてしまい、そのライン間をクリストフォロ・オレジャーナに上手く使われていたし、ホセ・アンヘルには再三ノープレッシャーでクロスを上げられている。
前半最初から試合の主導権を握ったエイバル。久保くんがアンヘルについていると見るや、オレジャーナが右サイドに移ったのを見てビガスが上がりを見せるなど、今まで見てきた試合の中で一番ノッている攻撃を披露していた。しかし、久保くんとクチョ・エルナンデスが意地を見せる。
マジョルカCBセドラルがインターセプトしたボールをクチョ・エルナンデスから久保くんへ。アルビージャとオリベイラのチャンネルが広がっていたのを見てドリブル突破を図る。一度倒されたが即座に起き上がりもう一度トライ。結局倒されて約25メートルからのFKを得た。
久保くんや乾が重宝されるのは、相手の嫌がる場所でプレーしファールを貰えるところだ。止まっていない動きの中でのプレーよりFKなどの止まっているプレーは練習の成果が出やすい場面。
ボールのそばに立ったのは、久保くんとダニ・ロドリゲスだったが、蹴ったのはダニ・ロドリゲスの右足。
ドミトロビッチには壁が死角になっていた様子で、反応が遅れた。前半終了間際、マジョルカ先制。あれだけ調子良く攻めていたエイバルが後手に回った。
エイバルの攻撃は普段通り、しかし
前半も後半もエイバルは、主にFWエンリクにロングボールを当てて回収する事と右SHのP・レオンがサイドの裏を狙う、左SHオレジャーナが真ん中や右サイドに姿を見せてFWに縦パスを出して自らもPA内に進入する、または左サイドでSBアンヘルとオレジャーナがパス交換してどちらかがクロスを上げる、といった感じでしたがマジョルカの久保くんとクチョエルナンデスが下がり気味になってからは外からのクロスを多用していました。
しかし、ボールを持ちすぎるオレジャーナと、テンポを変えられなかったエイバルの攻撃。後半12分に入ったエクスポシトとデ・ブラシスにもそのテンポは伝染してしまいました。同じテンポの攻撃では相手も合わせやすいのです。
手拍子を打つのと同じでタイミングが同じでは手を叩きやすい。テンポを変える手立てが欲しかったのですが、時間だけが過ぎていきます。プレーの質もだんだん悪くなっていったように思います。前節でエイバルは運が良かったと言いましたが、今回は正反対だったかも知れません。こういう時こそ乾がいてくれたら・・・。
久保くんのトドメ
だいたい攻め手を欠いている時に、針の一刺しで試合は決するものです。久保くんのセンターサークル付近からのドリブルはマジョルカの士気を高めたのではないでしょうか。そしてオレジャーナのテンポを変えない不用意な仕掛けからエイバルはボールを失い、ポソがボールを奪い獲りゴール前へ。
久保くんにボールが渡り、エイバルCBビガスをかわし切らずに放ったグラウンダーのシュートは、雨のコンディションにも関わらず、抑えが効いていてゴールポストに当たりラインの向こう側へ。
大乱闘
エイバルは最後の最後でCBのビガスがFWの位置まで上がり、マジョルカCBと3対3の同数にして対応。オレジャーナの右サイドからのクロスに、マークに付いていたマジョルカCBセドラルをかわし、ヘディングでゴールを決めるが、マジョルカのGKレイナがボールを離さなかった事から、珍しい大乱闘に。
試合終了と感想
(スタッツはSOFASCOREより)
久保くんのゴールが見られたのは良かったのですが、一番落としてはいけない試合を落としたエイバル。今回に関してはオレジャーナは良く動いていたと見るべきなのかもしれませんが、攻撃のテンポを作っていたのはオレジャーナでしたし、ボールを奪われたのもオレジャーナでした。
しかし、CHクリストフォロがボールを左右に散らして、上手く攻撃を繋げていた事と、前節あたりから右SBアルビージャがドリブルで相手をかわしクロスを上げるようになっている事は良い傾向だと思います。
次節は延期になったラ・レアル、ソシエダ戦のバスクダービーです。降格圏まで2ポイント差。今回見せた攻撃の質を上げて臨めるか。乾は出られるのか。今週はエイバルから目が離せません!