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丹羽詩温はダメなのか?

チームが良い結果を残せていないと聞こえてくるのは選手への不満。特に得点という結果が伴わないと、まず矢面に立たされるのはFWの宿命だろう。プロである以上、カテゴリーがどこであろうが厳しい現実が待っているのは仕方ない。筆者的には色々と思うところはあるのだが、まずは客観的なデータから見ていく必要があるだろう。スタッツの集計には各データサイトでばらつきがあるので、今回はSPAIAさんを参考にさせていただいた。

個人データ

26試合終了時 24試合出場 24試合先発 5ゴール(得点ランク23位) 0アシスト (出場時間2101分)

シュート数41本 11位

同じ5ゴールで、丹羽くんよりシュートが多いのは栃木・森くん(47本)と北九州・高橋くん(45本)

また同じ5ゴールで丹羽くんよりシュート本数が少ないのは町田・太田くん(16本)や磐田・大津くん(17本)東京V・端戸くん(19本)等だが3人とも出場時間が丹羽くんの約半分の1000時間超ほど。

同じくらいの出場時間で5ゴールの選手は京都のバイスさん(2340分、25本)、大宮の黒川くん(1941分、28本)琉球の阿部くん(1997分、35本)がいる。

逆に40本前後のシュート本数の選手を見てみると水戸・中山くん(8得点、46本)新潟は高木・谷口が同数値(10得点、43本)東京V・小池くん(12得点、42本)千葉・見木くん(7得点、37本)甲府・泉澤くん(10得点、36本)等

ちなみにゴール期待値という値もあるので参考程度に示させていただきたい。この値はFootball LABさんしか扱っていないのでこちらから引用した。

ゴール期待値 6.202 9位 得点との差分-1.202

「ゴール期待値とは」というリンクを読んでもらえばわかると思うが、過去のシュートデータからしても期待値を下回っている事がわかる。 

ここまで見てみると得点・出場時間・シュート本数・ゴール期待値の全ての比較においてあまり良いデータが出ていないというのがわかる。しかし、成績は個人で頑張れば出るというものでは無い。ではチームとしてのデータはどうだろう。

チームのデータ

ツエーゲン金沢 シュート本数 22チーム中17位(217本、25得点)

シュート本数は1位は磐田で314本(45得点)と100本近く多い。さずがにシュート本数が多いチームは得点も多く、シュート本数5位の大宮(263本、28得点)を除けば上位チームが本数でも上位を占める。

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左が現在の順位、真ん中がシュート本数の順位、黒枠がシュートの本数。多少の変動はあるものの、同じような顔ぶれが並ぶ。シュートを打たなきゃゴールは決まらない、ゴールが多くなければ勝てない。当たり前の結果が証明された。

もちろん、2位磐田にはルキアンさん、1位京都にはウタカさんというスペシャルなゴールハンターがいるが、上位のチームでもそんなスペシャルなFWに頼らないところもある。

3位琉球はチーム内ゴールランク1位清武くん(7得点)2位池田くん(6得点)3位阿部くん(5得点、他1名)

5位山形はチーム内ゴールランク1位加藤大樹くん(6得点)2位林くん(5得点)3位藤田息吹くん(4得点、他2名)

16位金沢はチーム内ゴールランク1位丹羽くん(5得点)2位瀬沼・嶋田(4得点)3位渡邊・松田・藤村(2得点)

という事で上位に行くには決定力の高いFWがいる事はもちろん重要だが、多くの選手が得点に関わる事と、複数人が複数得点を挙げて得点力を底上げできる事が重要となる。決定力の高いFWが1年通して好調を維持する事が難しいと判断する場合、琉球や山形のような得点の仕方が望ましい。一人に依存するリスクを回避できるからだ。

もちろん守備も安定しなければ順位は上がらないが、単純に得点が10得点、いや5得点獲れていれば2~3位上がっていてもおかしくない。そのくらい下位は混沌としている。

丹羽くんがルキアン・ウタカと並ぶ実績のあるストライカーなら多少の罵詈雑言はあっても仕方ないかとも思うが、突出した得点源が居ないチームで丹羽くんや誰かのせいにしてしまうのは違うと感じている。

丹羽の役割

相手にもよるが丹羽くんには色々な役割がついて回っている。前線からの守備、ボランチへのパスコース遮断、プレスバック、ボランチが遅れた時のスペース埋め、中盤に入りサイドの守備を間接的に補助、カウンター時の起点、前線へのパスコース創出、ポストプレー、サイドに流れ中央のFWを活用、裏抜け等。

4-4-2(場合によって4-2-3-1)はバランスがとても良い事で知られているフォーメーションだが、ボランチの攻守のバランスが重要な為、そのバランスを見ながら動かなければ相手に主導権を渡してしまう。それを一手に握っているのが丹羽くんなのだ。FW陣の中でも途中交代があまり多くないのは監督から信頼されている何よりの証拠だ。

スタミナ豊富でフィジカルも強く、試合終了まで戦い続ける金沢のFW。丹羽くんはヤンツーさんの理想の人材には成れていないかもしれないが、それに近いイメージの出来る選手だと思う。

丹羽がダメではなく、チームがダメ。チーム状態を改善すれば丹羽は躍動する。

ただ、金沢の攻撃は少しづつではあるが改善の兆しを見せつつある。固定されていた前線のポジショニングが流動的になり、サイドへボールを受けに来たり、下がってパスコースを作ったりする場面も最近見られる。しかし、いまだ連携の面で改善の余地があるし、ボランチやサイドバックの攻撃参加がもっと多く見られ、攻撃時のスペースを埋められればチーム全体の得点力は上がってくるだろう。

それが出来て初めて丹羽くん自体の数字が上がってくると筆者は思っている。丹羽くんの数字が伸びて来ないのはチーム状況に比例する。それだけこのチームの肝になっている。

チーム状態が改善し、丹羽くんが躍動出来るか。忍耐強く見守る事も必要だが、残り試合は刻々と少なくなっている。





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