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2020 J2リーグ第39節 アビスパ福岡 VS ツエーゲン金沢「DRAW>WIN」

ひっそりと行われた「RED TAG」の観戦会。自分の価値観だけではなく色々な意見がリアルタイムで話会えるという、僕にとってはプラスしかない会である。最終節も予定しております。もちろん消毒・マスク着用・換気など徹底しています。「RED TAG」Twitterフォロワー様にはDMさせて頂きますが、フォロワー以外の方も興味があればDMなどでお問合せ下さい。

その観戦会の戦歴はいまだ勝ち無し。そりゃまあアウェーの観戦会ですから、なかなか勝てない事は分かってます。しかし今回は口すっぱく言っている「結果より内容」だと思っていましたから、覚悟はしていましたけどまさかの展開が・・・。

スタメン

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福岡は前節から5人替わったがメンバーを見る限り必勝体制。これ以上徳島に離されたくないし、なにより長崎に追いつかれたくない。自分達でブレーキを掛けてしまっている最終盤の福岡。油断はなかったはずだ。

金沢は石井・長谷川・山根がOUTで白井・高安・加藤がIN。徳島戦の手ごたえを琉球戦でそのまま維持した金沢。次節ホーム最終戦に向けて勢いを持続させたい。

試合開始

前半

キックオフから金沢に襲い掛かる福岡。いきなり右サイドの増山くんからのパスをファンマさんが胸で落とし、サロモンさん(サロモンソンさんて書くのめんどくさいので)がPAに入り込んでシュート。

最初からトップギアに入っている福岡に、少しビビり気味の観戦会会場(笑)。

直後にもロングボールのセカンドボールを、蹴りぞこないだったが遠野くんがシュートに持っていき、早く勝負をつけて同時刻に試合がおこなわれている徳島・長崎にプレッシャーを掛けたい福岡。

だが、徐々に金沢が反撃に転じる。6分4秒、中央付近でボールをもらい反転し渡邊くんへボールをパスするとハーフスペースへと進入。その動きに渡邊くんがスルーパスで反応、そのままホドルフォ(チット)さんがグラウンダークロス。セランテスさんにキャッチされるがいい形の攻撃。

11分38秒には左の渡邊くんから、14分ちょうどには右の高安くんから鋭角のクロスが入り、身長の高い福岡CBの後ろを狙うチームとしての戦略が感じられた。

そしてセランテスさんから出たロングボールを跳ね返した金沢は、15分34秒、福岡の右サイドへホドルフォさんを走らせ藤村くんがフライスルーパス。ワントラップでクロスを出し加藤くんがスライディングでゴールに突っ込むがあと数センチ及ばず。

その後は金沢がボールを保持し、福岡の綻びを誘うようにボールを回していく展開に。金沢にとってはボールを保持するのは珍しい事だったが、福岡にも狙いはあった。

福岡の計算ミス

前回対戦でも、ボール保持率は福岡48%に対し金沢は52%だった。ボールを持たせられる展開に慣れていない金沢は、攻めあぐねてミスをし失点。福岡は後半途中まで1-1のスコアだったが、全く焦る事はなかった。むしろ焦っていたのは金沢のほう。

そんな失敗を糧にしたかどうかはわからんが、今回は全く焦る事が無かった金沢。前半だった事と、徳島戦で互角の戦いをしてからの良い雰囲気を持続している事が大きかったか。

ファンマさんの石尾くんへのファールスレスレの掴み倒しからのシュートや、3度のコーナーキックもしのぎ、再びポジショナルな金沢のターンとなった26分48秒、一度キーパーまで戻したボールを繋ぎ、やや右サイドにいた藤村くんが左いっぱいに幅を取っていた渡邊くんにサイドチェンジ。チットさんとのワンツーでサロモンさんの裏を取りダイレクトでグラウンダーのクロス。ニアに杉浦恭平くん、ファーに加藤くんが走り込んでいたが杉浦くんが押し込む。

今までだと、カウンターからのこういう形は見られたが、完全にポゼッションの状態からサイドを崩しての得点というのはあっただろうか。あまり記憶に無い。藤村くんのサイドチェンジ、渡邊くんのトラップ、渡邊・チットのワンツー、グラウンダークロスとタイミングの良いスライディング、全てが上手くいった得点だった。

何度でも

最初の6分4秒の場面といい1点目のゴールといい狙っていた一つの形だったのだろう。狙いを何度も迷いなく行う。これがどん底に見えた少し前の金沢が出来ていなかった事の一つだ。

福岡は琉球に3-1で勝った第34節から複数得点を獲れていなかった。1試合平均でも1.1点と全チーム中14位。堅守で勝ち上がってきただけに先制点を獲る事がどれだけ大きかった事だろう。

しかし金沢は迷う事なく2点目を獲りにいく。35分4秒、チットさんがサロモンさんのパスをカットし加藤くんにパス。ハーフェーラインあたりからドリブルを開始。左後方から前くん、前方にはグローリさん、上島くんの背後には杉浦恭平くんが走っていたが、加藤くんはゴール30メートル手前でシュートを選択。グローリさんに弾かれた。

陸次樹の成長を見られるのか・・・

加藤くんの今シーズンのゴールを全て見返したが、ドリブルで持ち込んでシュートという形のゴールは無かった。というよりチームとして今までそういう場面を生み出せなかったといった方が正しいだろう。「激しく襲い素早く仕留める」その金沢のカウンターにもっと怖さを持たせる為には、加藤くんの更なる進化が必要だ。

そして37分45秒と43分54秒には右サイドへのロングパス、42分53秒にはワンタッチパスで左サイドを攻略しにかかる。何度か福岡のコーナーキックがあったが、試合のペースは金沢が握っていた。

前半は0-1とアウェーの金沢がリードで折り返す。失点をせず、しかも先制点を獲るという、これ以上ない条件をクリアしてみせた金沢。

少し前との違いとは

たった3節前の山形戦では0-4と良いとこ無く敗れ去った。同じチームとは思えない戦いぶり。では何が違ったのか。着目点はヒートマップ。(画像はJ‘STATSより)

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上が山形戦の金沢の主な選手のヒートマップで、下が福岡戦である。対戦相手や選手個人の特性によって若干の違いは出るものの、大きく違うのは2ボランチと右SHのプレーエリア。

山形戦は大橋・本塚のコンビで大橋くんは主に右、本塚くんが左に位置しています。そして福岡戦では大橋くんも藤村くんも左右関係なく動いているのがわかる。そして下は山形戦・福岡戦の2ボランチのパス数・パス成功率の比較です。(画像はSPAIAより)

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山形戦は大橋くんに依存度が高かった事がうかがえます。それに比べて福岡戦では山形戦ほどの差は無くなっている。本塚くんのパス成功率は藤村くんより高めですが、試合結果を見てわかるように成功率の高さで勝敗が決まるわけではありません。パスやプレーエリアのバランスの良さでは大橋・藤村のコンビがやはり安定しているという事が言えるでしょう。

そしてもう一つは島津頼盛くんの守備意識。Football labによる守備ポイントで頼盛くんが0.5以上になる事はまずありません。(1試合平均守備ポイント0.46)

実際、山形戦は0.11ポイントでしたが、福岡戦はなんと1.26ポイント。ヒートマップからも守備意識が高まっていた事は言うまでもないと思います。ちなみに山形は左サイドからの攻撃が57%、福岡は53%で、2チーム共に金沢の右サイドを狙いとしていた事は明白。

CB・左サイド・FWがそんなに差異なくポジショニングをしている事から、この2ボランチと頼盛くんのポジショニングが違いを生んだと言えると思います。

さらにもう一つ明確に違った点は、皆さんも印象に残ったであろうハイプレス。上記のバランスの良いポジショニングによりハイプレスを掛けやすくなり、特に左サイドでホドルフォ・渡邊がボールを奪取するシーンが目立ちました。福岡戦では金沢の52%が左サイドの攻撃である事から、福岡は右サイド攻撃→ハイプレスでボールを奪われる→左サイド攻撃→堅い守り→攻め手を失う、という前半の状況だったと思われます。

後半

ただ、後半に入り状況は一変します。金沢は後半開始早々に、頭を使わせたら右に出る者はいないんじゃないかと思う杉浦恭平くんのバックヘッドに、石尾くんがこれまた頭で合わせてJ2初ゴール。

2点のリードを許す形となった福岡でしたが、後半から山岸・福満・田邉と3人を入れ替えたプランを実行に移します。それはより人数をかけて金沢の右サイドを崩す作戦。

残り30分、支配率で金沢を大きく上回り山岸・田邉・福満・前・輪湖らで左サイドを制圧。

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金沢も必死に耐えるが、後半から入った3人と遠野くんに運動量で上回られじりじりと自陣に下がり、ゴール前に固まりボールウォッチャーになってしまう事でセカンドボールをことごとく拾われ波状攻撃の餌食に。ここで恐れずラインを押し上げられていたら、また状況は変わっていたかも知れない。

しかし、それが出来ていれば上位にいる。今は前半に見せたような積極的なサッカーで勢いを持続し、金沢のサッカーのインテンシティ(強度)を保つ事。あと3試合だが、それができれば結果もおのずとついてくる。

同点に追いつかれても、最後の最後まで食らいつき、勝利までほんの少し届かなかっただけだ。今回の引き分けは、もしかしたら勝利よりも価値のある引き分けではなかっただろうか。一方の福岡も、失意の2失点から追いつき得た勝ち点1が、昇格のカギを握るかもしれない。


試合終了、スタッツ

ハイライト

まるで優勝を決するような気持ちのこもった試合。2位と15位という状況でこんな試合が見られるとは思わなかった。ただ、あと3試合ある。この前の試合はなんだったんだ、と言われないように異例づくしの今シーズンを締めくくって欲しい。やれば出来るんだよ、俺たちの戦士は。

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