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2021 J2リーグ最終節 京都サンガFC VS ツエーゲン金沢 レビュー そして2022は「リセットからの卒業」

明けましておめでとうございます。2022年もレビュワーの端くれとしてガンガンレビューしていきたいと思っています。どうぞよろしく。

さて、最終戦から1か月ほど経過したこのタイミングでレビューを出す。色々と思いめぐらせました。

試合終了直後は、昇格する京都に対してよくやったという思いが大きかった。選手は与えられたミッションをクリアした。しかし、それだけではまた降格争いに加わる事になるだろう。それをしてほしくはない、もっと強く、もっと上を狙えるクラブになって欲しいし、成れるはず。そんな強い思いを持って振り返る。

スタメン

サンガスタジアム by KYOCERA
入場者数 9,608人
天候 / 気温 / 湿度  晴 / 10.2℃ / 52%
主審  笠原 寛貴

京都 

SUB GK太田 DF黒木 MF荒木 庄司 三沢 FW李 イスマイラ

バイス・宮吉がOUTで長井・曽根田がIN。曽根田くんは28節甲府戦以来の出場でスタメンとしては2節の松本戦以来。SUB組にも最後の雄姿を見せる者が数名。バイスさんも見守っていた。J1には行けない胸の内を思うと切ない最終節。

金沢

SUB GK石井 DF作田 渡邊 MF大石 FW瀬沼 杉浦恭平 大谷

渡邊OUTで長峰IN。最後の雄姿が見られる可能性は薄いとは思ったが、やはり作ちゃんをピッチで観たかった。白井くんが怪我という以外はサブも含めて柳下監督が現時点で組めるベストメンバー。

スタッツから見る力の差

結果は0-0。2位の京都と17位の金沢という順位から見れば、金沢が良くやったという事になるかも知れない。実際、選手は与えられた「残留」というノルマを達成した。それに関しては本当に良くやってくれたという感謝しかない。

しかし、前半のボール支配率は京都が59.6%で金沢が40.4%。後半に至っては京都のボール支配率は64.5%で金沢35.5%と数値が開いていった。

シュートは京都8本に対し金沢2本。後半は京都16本、金沢7本。

金沢もチャンスは無かったわけでは無いが、枠内シュートは1本しか打てなかった。

引き分けて勝ち点1を得るという結果は両チーム同じでも、金沢には「勝てる可能性の低い試合」だったし、京都には「勝てる試合に勝てなかった」という事になる。

もちろん京都は「ボールを支配してチャンスを多く作りたい」チームであり、金沢は「少ないチャンスをモノにしたい」という前提のチームである。

しかし、金沢には「失点しない事」しか試合運びの選択肢が無かった。

残留が果たせたからポジティブな空気になっただけ。純粋にこの試合だけ見るとやられっぱなし。2021シーズンの積み重ねが「失点しない事」を選ばざるを得なかった原因。金沢にはシーズンを通して最後まで攻撃のカタチが無かった。

この日、攻撃で目立った松田陸くんが絡んだ49分と55分のシュートも嶋田くんや力安くんとのコンビネーションの賜物であるが、それが再現性を持って試合中に何度も見られた訳では無い。

無くした攻撃のカタチ

狙いを持って再三再四仕掛けられるのが「デザインされた攻撃(戦術)」である。

2017年 17位
2018年 13位
2019年 11位
2020年 18位
2021年 19位

最初の3年間は攻撃のカタチがあった。石田くんから洸一くんへ、沼田くんから垣田くんへの正確無比なクロスがあった。大橋くんや藤村くんがボールを奪い、清原くんや中美くんへと繋ぐ電光石火のカウンターがあった。苦しい時にはコーナーキックで得点出来た。

しかし2020年はルカオさん、陸次樹くんに、そして2021年は嶋田・丹羽・大谷にカタチが無いまま「丸投げ」するしかなくなった。その「丸投げ」を攻撃のカタチと勘違いしている。セットプレーからの得点も激減。

それでも2020年は強烈な2トップとようやく開花した島津頼盛くんの攻撃センスなどで総得点57点を挙げた。しかし2021シーズンは総得点39。18点も得点が減ってしまった。

過去のシーズンの選手が良くて、2021シーズンの選手が悪いという訳では無い。

単純に前にボールを運べる回数が減った。後ろから前にどうやってボールを運ぶのか、それを明確に感じられなかった。前線の動き出しが乏しくCBからのフィードが出せず重心が後ろに下がる。サイドバックが高い位置を取れず、ボランチがボールを引き出せない。そしてロングボールを出してセカンドボールを失った。

今回の試合のヒートマップやボールロスト図を見ても、相手ゴール前に進入出来ている金沢の選手や回数は多くない。相手PAでのボールタッチ数は京都が31回に対して金沢が9回。

京都はFWがしっかりチャンスメークをしているが、全員がよりコンパクトに陣形を整え、各々が流動的動いて相手を撹乱するオフザボールの動きをサボらない。しかもボールが奪われてからの「守備」への切り替えも早い。

シュートや攻撃回数が多ければ勝てるというものでもないが、「下手」だと監督が揶揄するからには、せめてチャンスは多く作らないといけないだろう。

一年間の攻撃意識の一貫性の無さが浮き彫りとなった引き分けと言って良い。それがあったなら武器として使えていたはずだ

全てがリセットされる

来季のJ1チームとのスコアレスドロー。日本のアンフィールドと言っても良いサンガスタジアムで勝ち点1を得た。それは自信になっただろう。しかし、今回の経験を来季の金沢に反映させられるだろうか?今回のスタメンで言うと確かに大橋・後藤以外の9人は契約更新した。

6シーズン目に突入する2022年。今年こそ5シーズン分の積み上げが必要ではなかろうか。

5年間の成績は誇れるものでは無い。しかし、柳下監督が5年で金沢にもたらしたものの大きさも理解しているつもりだ。

だからこそ6年目の2022年は結果が付いてこなければ、他サポからはただの老将としか見られない。

西川GMは

次の飛躍=J1昇格 2022年→次の飛躍に向けた第一歩の1年

と位置付け

柳下監督は


ベースとなるものはできているので、その積み重ねの作業とチーム力を上げること、それによりチーム・クラブを安定させることに全力を尽くしてやっていきます。

とした。いつもながら
実質どこまで達成すれば飛躍の一歩となるのか
チーム・クラブを安定させる事になるのか

には言及していないし、言及する事も、言及を求める事もないだろう。

そして階段をゆっくりと確実に昇っていった3年目までとは違い、4年目、5年目は積み上げが無かった。4年目はコロナで何もかもがイレギュラーだったからそれも仕方ないと思わせられた。だが5年目に来てまでそれまでの事をリセットし積み上げが無い。普通は、いや世界中探しても6年目は考えられない状態だ。

だからこそ、2022年は今までの集大成として結果を出さなければならないし、クラブは何故この5年間の結果を受けて柳下さんに監督をさせるのかを説明する義務があると思う。「契約がまだ残っているから」とかなんだとか我々が邪推するような事など聞きたくはない。

目標を説明できるクラブこそ目標に近づける。目標を曖昧にしてきた結果が降格争いだという事を今一度、クラブに関わる全ての人間が考えるべきだ。

目標を立てなくても結果は出る。それが17位であるという事。そしてその17位は誰もが欲した結果では無いという事は忘れてはいけない。いい加減「リセット」から卒業しよう。





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