誰でも確認できる「ダイジェスト」から見る選手の特徴 その1 石尾崚雅
今、Jリーグ公式のYoutubeのハイライトのみが、私達が振り返る事が許される映像。多くのコンテンツが見られるのに、それを自由に見られないという不自由さ。だが今日のお題はそこを逆手に取ったもの。
そのハイライトの中から、皆さんが確実に確認できる映像をピックアップし、選手の特徴を分かりやすく伝えられないだろうかと考えて進めていく、この企画。第1弾は金沢のディフェンスの要、石尾崚雅だ。
昨シーズン、石尾くんのJ2デビュー戦は4月3日のアウェー鹿児島戦。水曜日開催という事もあり、廣井くんを遠征に帯同させず、休ませての先発出場となった。そこから2戦目は6月8日の琉球戦、3戦目が7月31日の京都戦と、実戦でなかなか経験を積む事が出来ず、4戦目が10月15日の横浜FC戦となる訳だが、この4試合に共通する点は、相手の並びが1トップ2シャドーだったという事だ。(京都は3トップ)
金沢の1トップ2シャドーに対するディフェンス対応は、下の図のようになる。
4試合とも基本的に石尾くんにはマークが当たる事は無く、コンビを組む義道くんか廣井くんが相手FWをマークしていました。ヤナ将の育て方かどうかはわかりませんが、手厚い実践投入の仕方だなと思ってみていました。
しかし石尾くんが、まだあまり実践経験が無い為、相手が意識的に石尾くんの方へ行き狙われていたような場面もありました。義道くんがステップアップした今シーズンは、新ディフェンスリーダーとしてゴールを死守しなければいけません。という事で、振り返って良かった点と、頑張って欲しい点を挙げ、新シーズンにどのように成長しているか楽しみたいと思います。
義道くんが居ない今、求められるディフェンスリーダーの自覚
先にデータでわかる事から。一枚目が義道くん、二枚目が石尾くんの昨シーズンのデータです。(引用元はFootball Lab)
石尾くんは千葉戦に、義道くんは福岡戦に出ていませんので、その試合を除いた5試合の比較になりますが、義道くんが際立って石尾くんより勝っているのがボール奪取です。相手のエース級FWとのマッチアップが多くなるでしょうし、必然的に上がっていくでしょうが、耐えて耐えてカウンターやセットプレー勝負という試合も出てくると思います。
これは福岡戦の廣井くんのデータ。試合展開にもよるので一概には言えませんが、義道くんが居ないので、石尾くんの奪取ポイント、攻撃・パスポイントが廣井くんを上回ってます。新シーズン、「リーダー」の心構えを。
頑張って欲しい点① 第17節 VS琉球戦 オフサイドを少し意識して
これはリーグ全体、チーム全体に言える事なので、石尾くんだけではないのですが、ボックスの外にボールが出てもディフェンスが残っている事が多く、ボールを奪い返されてからのショートカウンターでオフサイドを取れる場面でもオフサイドを取ろうとしていない事を良く見かけます。
マンツーマンでディフェンスしている金沢に、オフサイドの意識が薄いのは分かります。ですが動画の場面では、すぐにディフェンスラインを上げていれば防げた得点だったように思います。こういう勿体ない場面で、失点しないように意識して欲しいです。(以下ハイライトは該当のシーンから再生されます)
頑張って欲しい点② 第36節 VS横浜FC戦 時間に合わせた対処と空中戦
2-2でロスタイムの状況で、横浜FCは昇格の為に前へ急いで前線の皆川くんにロングボールを出しています。186cm対183cm。若干不利でタイミングも少し遅れて飛んでいます。義道くんは空中戦もかなりの勝率だったので、身体を入れるなりして頑張って欲しいのはもちろんの事。
こういう場面では、味方に戻らせる為の時間を作るほうが良いでしょう。ファールという選択肢を入れておいても良いと思います。皆さんもご存じのとおり、この後失点して負けとなりました。失点に賛否が分かれた試合です。日本人はファールでプレーを止めて時間を稼ぐという事があまり得意ではないと言われています。汚いプレーと思われがちですが、そうでは無く味方を自陣に戻すという点を重要視して欲しいです。
頑張って欲しい点③ 第38節VS長崎戦 マークの受け渡しと距離
長崎の1点目。レビューではスライドが間に合わず、センタリングを上げさせてしまった事が失点の原因ではないかと触れました。
その考えは再びシーンを確認した今でも変わっていませんが、しかしボールが上がってから、呉屋くんが動き出すほんの一瞬で勝負は決まってしまいました。マークとボールを同一視野に入れようと間を取っているのですが、ボックスの深いところまで入ってきたストライカーに対しては、腕で抑えるようにして動きを察知した方が良いと思います。
呉屋くんは義道くんと石尾くんの間に入って、どっちがマークに付くか受け渡しに困るようにしています。この呉屋くんが間に入った状態では、どちらにもマークされているようでどちらもマークしていないのです。声を出し合ってマークをはっきりさせる事を心がけて欲しいです。
頑張って欲しい点④ 第42節VS大宮戦 出来るだけ遅らせる
先ほどの②ではプレーを一旦切って時間を稼ぐという事でしたが、このシーンの場合はプレーを切れない場合について。映像が始まる時点で、最終ラインのところで3対2の数的不利に陥っています。
石川くん?からシモビッチさんにボールが渡りシュート。白井くんの好セーブで難を逃れるのですが、石川くん?に渡った時に釣り出されて、シモビッチさんがフリーに。こういう場面は腕を後ろに組んでハンドを防止し、正対してシュートを防ぐ。そうすれば、横にパスされた時にも対応しやすいと思います。石尾くんが前に出てきたので、すぐにシモさんにパスしましたが、もし飛び出さずに相手がシュートレンジに入って、モーションを止めてパスを出したら1秒くらいは稼げるかもしれません。ただ、急いで戻っていない選手がいるので残念ですが。
良い点① 第37節VS山形戦 思い切り・判断力
PA内にも関わらず危険だと思ったら、躊躇せずスライディングに行く。結果的にファールにもならずバイアーノさんのシュートも外れました。あの時スライディングに行かなければ井出くんがそのままシュートを打っていたかもしれません。PKを恐れないとても良い判断だったと思います。
良い点② 第25節VS京都戦 ビルドアップの意識
山根永遠J2初ゴールの始まりは、石尾くんの前線へのロブパスでした。垣田くんが競り負けますが、レイオフと同じ状態になり、結果的に大橋→金子→山根へと繋がりました。パスの出し手となる大橋・藤村が塞がれる時もあると思うので、最後尾からの攻撃の起点となるパス供給は、今シーズン是非狙ってもらいたいものです。
レイオフについて石尾くんとは直接関係ありませんが、分かりやすく解説していますのでご覧ください。動画内で紹介したリンクが2番目の動画になります。
「レイオフ」に関する説明動画
実際の「レイオフ」からのゴールシーン
という事で出場試合数が少なかったので、まだまだ挙げたかったのですが今回はここまで。来年は、嫌というほど良い点を挙げられる事を期待しています!次回は誰にしようか。
最後にこの企画のヒントを与えてもらったZdenkoさん(現マクシズデメンコさん)に感謝します!
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