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“ルール”が増えすぎるとコミュニティは衰退する

たぐやんです。スマブラSPのオフラインコミュニティ大会「渋谷BeeSmash」を中心にオフイベントを500回以上主催しています。

今回は、ルールを増やすことでコミュニティが衰退することもあるという話をします。
※コミュニティと言っても色々ありますが、自分は小規模のオフライン対戦ゲームコミュニティを運営しているので、その経験に基づいた話になります。

結論から話すと、ルール(明文化された約束事)と非ルール(コミュニティの文化や構成員同士の思いやりなど)の使い分けが重要です。ルールを決める事はもちろん大事ですが、コミュニティの文化や構成員同士の思いやりで実現できる部分までルールでガチガチに線引きすると、楽しさや居心地やコスパが悪化してしまいます。


小難しくならないように、まずは例を挙げて説明します。

ルールの弊害が生まれる例

例1.遅刻・欠席への対応

例えば、ゲーム大会で参加者が無断で遅刻したり欠席する問題があったとします(あくまで仮定ですよ)。遅刻や欠席が多発すれば運営の損害になりますし、大会進行に影響しますし、時間を守っている選手が損するような事態も起きてしまいます。

ルールによる解決

「大会開始時間に1秒でも遅れたら即失格、事前の連絡がなければ出禁」というルールを作ったとします。確かにこれで問題は即解決します。しかし失うものも大きいです、ルールをきっちり運用する場合点呼・連絡等の運営側のコストが増大します。また、参加ハードルが上がってしまう欠点もあります。「もしかしたら間に合わないかもしれないから参加登録を控えよう」「友達が出禁になったから俺も不参加で」といった事象が発生し、門戸を狭めてしまうことになります。

非ルールによる解決

遅刻欠席に対するモラルがある程度浸透すればこんなルールを設ける必要はありません。運営側の負担も減りますし、ルールがなければ「10分くらい遅れてしまいそうだがトーナメント進行に支障がなければ参加したい」といった柔軟な対応も可能です。普段真面目な奴がたまたまミスで遅れてきた時も多少は笑える感じになります。

例2.初参加の人への対応

また、オフラインのゲームコミュニティにおいて初参加のプレイヤーがコミュニティに馴染めず定着しない問題があるとします。

ルールによる解決

コミュニティ運営側が「初参加のプレイヤーをみつけたら、必ず対戦をする」というルールを作ったとします。そうすると確かに初参加の人は暇せずゲームで遊べますが、誘う側があまり乗り気じゃなかった場合、会話も少なく黙々とした時間が流れ、初参加のプレイヤーは「これだったらオンラインのランクマと変わらんやん!」のような感想を抱くかもしれません。

非ルールによる解決

「いろんなプレイヤーと遊んだほうが楽しい」という文化がコミュニティ内に広く浸透していたとします。そういった積極的な常連が自然に初参加のプレイヤーと対戦をすれば、コミュニティに馴染める可能性も上がるのではないでしょうか。

「ルール」と「非ルール」の比較

上の例を一般化すると、ルールと非ルール(コミュニティの文化や構成員間の思いやり)には以下のような利点と欠点があります。

「ルール」の利点
・あとで似たような問題が起こったときにそれに準拠して対処できる
・公平性を担保できる
「ルール」の欠点
・維持をするためにコストがかかる
・イレギュラーな事象が発生したとき、柔軟な対応ができない
・ルールの線引きで意図しない部分まで切り捨ててしまう可能性がある

「非ルール」の利点
・コストが抑えられる
・あいまいで余裕があるので、新しい発想が生まれやすい
「楽しければOK」のような数値化できない部分を受け入れられる
「非ルール」の欠点
・新たな問題が生まれやすい
・コミュニケーションを取れる場でなければ共有が難しい

ルールをむやみに増やすのではなく、両者をうまく使い分けることが重要です。

コミュニティで文化を育てるためには「コンセプト」が重要

コミュニティの文化や構成員間の思いやりといった非ルールを育てるには「コミュニケーション」「コンセプト」が大事だと考えています。

例えばBeeSmashでは「友達の家のように勝負に熱中する」というコンセプトを掲げています。これを徹底することで、親身に話かけやすくなったり、強くなるために頑張っている選手にリスペクトが生まれたり、各々が友人として選手運営や上手下手の境なくお互い協力する文化が育っています。コンセプトを実現するためにどうすればいいかを個々が考え、コミュニーケーションを取ることで、自然と文化が育つのが理想だと考えています。

ルールももちろん大事

集団の規模が大きくなればなるほどルールの強みも活きてきます。似たような問題をルール内で一気に対処できますし、公平性を維持することで大きな集団の中でも不満を減らすことができます。

また、「ルーティンワーク」の分野においてもルールは有効に活用できます。例えばゲーム大会では、何百回何千回と繰り返される対戦のルールはできるだけ厳密にすべきでしょう。

あと、この文章の趣旨が「ルールを守らなくてもいい」ということではないことは一応言っておきます。

おわりに

特に小規模コミュニティにおいては、文化を育てることを重視しルールは補助的に設定することをオススメします。

自分自身、スマブラコミュニティの中で遊ぶことが人生最大の楽しみになっているので、この文化をこれからも愛と平和で大事にしていきたいところです。

またそのうちBeeスマにまつわることを書きます!

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