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芸術が教えてくれる人生のコツ


1. ふたりの偉大な芸術家

私には好きな芸術家が、二人います。

一人は書家の相田みつを先生、もう一人は画家のディック・ブルーナさんです。

相田先生は言わずと知れた「にんげんだもの」を代表とする詩で有名な書家で、

人間の本質をつくような言葉を、小さなこどもにも伝わるような表現で形にするという実践を生涯をかけて続けてこられました。

67歳の時に脳出血を発症し、ご逝去されたとのことなのですが、

きっと必死に悩み、向き合い続けたからこそ生み出された言葉であり、最期の迎え方だったのではないかと想像し、敬服するばかりです。

もう一人のディック・ブルーナさんは、うさぎのキャラクター、ミッフィー(うさこちゃん)の生みの親でオランダの方です。

実は私がブルーナさんのことを知ったのはつい最近の話で、彼もまた、こどもたちのために一生懸命、絵を通じて大事なことを伝え続けた人でした。

たとえばブルーナさんの絵はいつもフリーハンドの手書きで、直線でさえ定規を使わずに描くのだそうです。

そのように絵を描くことで、手のふるえなどを通じて、自分の心を反映するという意識がブルーナさんにはあったそうです。

そしてごまかしなしで絵に向き合い続けた結果、ブルーナさんが到達したのはシンプルな絵だったのです。

シンプルであることでこどもだけではなく誰にも本質が伝わりやすくなるからなのかもしれません。

他にもミッフィーは常に正面を向いているのは、読んでいるこどもの目線に合わせるためだったり、絵本のサイズはこどもが両手で抱えられるギリギリの大きさに設定していたり、

絵本が12ページで終わるのも、こどもが飽きるまでには10分が限界を踏まえてのことであったりと、これでもかというくらいにこどものことを考え続けています。

その結果、こどもだけではなく大人にもメッセージとして刺さるというのがとても興味深いと感じています。

ちなみにブルーナさんは89歳の時、老衰でお亡くなりになったそうです。

2人の偉大な芸術家、私は生きている間に一度もお目にかかることはできませんでしたが、

不思議なことに、私の中でとても深く生き続けておられるように感じています。

2. 一生懸命に生きればシンプルになる

なぜ、私はこの二人の芸術家に深く惹かれるものがあるのでしょうか。

二人の共通点を改めて考え直してみますと、

こどもに対して心血を注いでいるという真剣さもあるのでしょうけれど、

自分の好きなこと、得意なことに集中し、少なくともはたから見る限りには、寄り道することなく行き切っているように見えるところに、

潔さというか、人間としての凄さというか、可能性が表現されているようにも感じられるところはあるかもしれません。

そして何よりその姿勢で生み出した作品が、老若男女を問わず多くの人々の心をとらえているという事実、

そして二人とも試行錯誤の末に行き着いたのが、シンプルという形であったこと、

とても偶然であるとは到底思えません。

色々な健康法に手を出して、結局は不健康になり、あるいは不本意な結果となり、

結局は自分の身体をシンプルに使い続けることこそが誰もに通じる健康法なのかもしれないとも思います。

でもそのシンプルが一番難しいというか、

人間は結局、色々寄り道をして生きていくものという本質を見透かされているような気もして、

私のうらやましさとあこがれが反映されているようなお二人なのかもしれません。

健康と結びつけて考えるならば、67歳で脳出血にて亡くなられた相田みつを先生の人生は必ずしも理想的ではないのではという考え方もあるかもしれません。

ただ私は、二人を尊敬しているからということも関係しているかもしれませんが、どちらが理想的だとか、どっちが良いとかはなく、どちらも立派な人生だという意見を持っています。

逆に言えば、この二人の人生に優劣をつけることは、自分の人生を不幸にすることにもつながりうるようにも思います。

大事なことは、結果よりもプロセスで、この人生を一生懸命に生きているかどうかということだと思うのです。

こう表現すると、一生懸命でないとダメな人生ということになってしまいかねませんが、ここでの一生懸命とは、人間の情けない部分も含めて「一生懸命」と表現してもいいかもしれません。

極端に言えば、交通事故で急逝することになったとしても、本望だったと思えるようにするには、今を一生懸命生きることが大事なのではないかとも思います。

3. 言葉では表現できないことを伝えたい

相田みつを先生は言葉にこだわり続けた人で、

ディック・ブルーナさんは絵にこだわり続けた人です。

もちろん絵にこだわれば、長生きできるというシンプルな話ではありません。短命な画家だっていくらでもいると思います。

二人とも行き着いた先はシンプルで本質的なメッセージでしたが、伝わり方には大きな違いがあるようにも思える節があります。

私も日々、言葉を使い続けている人間ではありますが、最近、言葉で表現することの限界というか、難しさを感じる部分があります。

芸術なんて、今まで生きてきた中でまともに挑戦した経験などありませんでしたが、

ただ一生懸命であればいいのかも知れなくて、芸術に対して急速に興味を持ちつつある自分がいます。

だからちょっとずつ絵を描いてみようかなと思います。

下手くそであっても、一生懸命描き続けてみようかなと。

「やっぱりやめた」というような人間の弱さに直面するかもしれないけれど、

それでも人間の持つ可能性を信じてみたいという気持ちもあります。

ゆっくりと始めてみようと思います。

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オンライン診療医たがしゅう
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