八代亜紀さんのこと
八代亜紀さんが。
73歳なんて若すぎるよぅ…
残念でなりません。
あなたは私にとって大切な方でした。
今はただご冥福をお祈りいたします。
さようなら、八代亜紀さん。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
宇田川が何故そんなにも八代さんのご逝去を残念がる?と思われる方もいらっしゃるのではなかろうか。
が、ライヴの時に、「シャンソン風歌謡のお次は、フォーク演歌をお届けします」と、"Sol la mi"を紹介するのを聞いて、「うむ、確かにコブシも回っとるからなぁ、演歌の仲間かも」と思われた方もおありかと。
実は"Sol la mi"が降りて来た時、八代亜紀さんの声で聞こえたのだよ!
「八代亜紀さん、歌ってくれんかなぁ…誰か彼女の知り合い、知らんか?」と言ったのを、覚えてらっしゃる方もあるかも知れない。
でもいつも心当たりのある人はいなくて、みんなで笑って終わり。
それを繰り返すうちにそのフレーズは笑いのネタの仲間入りをし、その思いは薄れていって、MCで話すことも無くなった。
だが、初めて披露してから随分経ったある日のこと、どういう訳だか急にその思いが甦り、どうしても歌って欲しくなってしまったのだ。
そして、思った。もうこれは正面突破しかないっ!
八代さんの事務所を検索して、楽譜と歌詞と、初演ライヴ(長い友達の池田洋一さんが録画してくれてた)から音だけCDに焼いて、お日柄の大変良い日に届くよう、前日にレターパックプラスで送った!
楽旅を始めた時には著名友人ミュージシャンに紹介を頼まず、演奏してみたいと思うライヴハウスに自力で交渉するという潔い姿勢だったのに…清水興曰く「出会い系ブック」…今回は何で最初から縁故を頼みにしたかなぁ、と自分の不甲斐なさを悔いながら。
やるべきことはやった。後はお返事を待つだけだ。
宇田川のような沢山の人がいて事務所もお忙しいだろうと思い、それから半年近く待った。
しかしお返事は来ない…
どうにも気になってしょうがないのが頂点に達した日、ついに意を決して、事務所にお電話をかけてみたのだ。
「はい!〇〇でございます!」と電話に出たお姉さんの声の、美しく、何と光りに溢れていたことか!
あぁ、いい事務所だなぁ、希望とプライドを持ってお仕事してる人たちの場なのだとそれだけで分かった。
(極稀にだが全く知らない人と電話で話した時、相手の姿こそ見えないものの、この人にはお兄さんが一人いるとか、仕事場の机の右手に窓があるとか付帯状況が心に浮かんで、後に当たりと判明したりすることがあるので、電話での会話から感じたことは信じることにしている)
作編曲家の宇田川と申しますが、半年ほど前にお送りした曲がその後どうなったかが知りたくて、というようなことを言った気がするが、定かには覚えていない。
すると、「宇田川先生ありがとうございます!いま八代のマネージャーは他出しておりますので、手が空き次第お電話させるように伝えます!どうぞよろしくお願いいたします!」と。
「妙せんせ」「師匠!」と呼ぶ人はあっても「宇田川先生」と呼ばれたことは一度も無く、私じゃない誰かのことみたいでなんだかソワソワしてしまったが、この人とお話しできただけでも値打ちがあったと思いながら電話を切って、それから二時間くらい後かな、男性マネージャーさんからお電話をいただいた。
この方もほんとうに真心が感じられる、明るい声をしてらっしゃった。
「八代のために曲を書いて下さり本当にありがとうございました!」
この言葉に、たまたま何でか八代さんの声で聞こえたからとは言い出せない自分が、何だか嘘つきみたいな気がして居心地が悪くなった。
いや、ちがう、正直に言おう。
宇田川、嘘をつきました。
誰かの気持ちを助けるためじゃない嘘はつかないと、ずっと前に心に決めたのに。
何故わざわざお電話したのかという説明が、「どうなったか気になって」では訴求力にかけるかも、という自分都合の考えで、「ほかの方が取り上げて下さるようなお話が持ち上がっているのだが、私としては是非八代さんにと思うので」と、二重三重の嘘だ。
ごめんなさい。ほんとにごめんなさい。
これは、墓場まで持っていくことになるなぁ…閻魔さんに赦しを乞うしかないかぁ。
マネージャーさんのお話しを要約すると、
お送りいただいたものはちゃんとお預かりしています、が、(聞くまでもない当前のことだが)他の先生方がお送り下さったものも沢山あり、また曲を取り上げるかどうかは日本コロムビアの方で決めるので、大変申し訳ありませんが、自分たちには何とも申し上げられません。もし他のお話があるようでしたら、どうぞそちらを優先なさって下さい。
ということだった。
そうだよね、普通そうだよね。
そして、最後に
このようにお約束はできない状況ではありますが、また八代にというお作ができましたらきっとお送りください!(言葉は定かには覚えていないけど、このような内容)
これからも八代をよろしくお願いいたします!と。
あぁ、この人はいま深々と頭を下げている。本気で言っている。
そう感じた。
そして、宇田川の健勝と活躍を祈る言葉があり、会話は終わった。
感謝しなきゃならないのはこちらの方だ。
未来を信じているあなたたちとお話しできただけで、本当に幸せになれたんだから。
その時のことを書いている今ですら、また心に灯りがともったんだから。
八代亜紀さんは感謝の気持ちを忘れない人だった、と聞いている。
ね、類は友を呼ぶんだよ。
元旦那さまをはじめ彼女の気持ちに心を惹かれた人たちが集まり、同じ思いを伝えようとされた事務所だったのだと思う。
そんな皆さまと一度だけでもお話しできて、宇田川、とても幸せ者でした。
人生のお天気がどんなに悪い日でも、そんな風でありたいと思った。
一生忘れない。
八代亜紀さん、ありがとうございました。
心からご冥福をお祈りいたします。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ちなみに
★ご自身の1st アルバムに取り上げて下さった 伊藤ともんさん歌唱のSol la miはこちら
2024年1月1日発売開始の2nd アルバムでは2024年バージョンが聴けます!
★作者 宇田川妙の本人歌唱はこちら
(いっぱい間違えたけど(^o^;))