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副軸の彼等5

食べ歩きの人

アプリでやり取りしていた
ラーメン好きの人
隣県に住んでいて少し距離は有るが
食べ歩きが趣味と言う事で
意気投合
食べ歩きする日までの
1週間はメッセージの交換が
盛り上がり
早く会いたいね♡
くらいの会話になっていた
写真で見る限りは背が高そう
若干ぼやっとした写真だけど…
二人ともお酒が飲みたいので
車じゃなくて電車で目的地に
向う約束をした
港の見える駅で
ドキドキしながら待ち合わせをした
いつもは車だから嫌だなぁと 
思ったらさっと帰れるが
電車で遠方へ向うので簡単には帰れない
電車1本乗り遅れたと言われ
待ち遠しく待ってたら
そこに現れたのは
想像よりミニサイズのオジサンだった
しかもちょっとダサい
写真をどう加工したらああなるのか
距離を取りながら歩く
餃子とラーメン食べ歩こうと
約束したのでさっそく1軒目に行く
とにかく瓶ビールを頼んだ
最初の1杯を飲むと私の緊張もほぐれた
まぁイケてなくても今日楽しかったらいいかぁ
そんな気持ちになっていた
その人は店の店主に自分から話しかけ
自分がどれだけこの辺りの
ラーメンに詳しいか話した
私は面倒くさいと思いながらも
ひたすら餃子を食べていた
「俺めちゃくちゃ食べるから
 覚悟しといてね」
そう言われたので私はやる気満々だった
2軒目に行くつもりでいると
「ちょっと休憩しない?」
と提案される
少しプラプラ歩いて
飲み物を買って
海の見えるベンチに腰を降ろした 
彼は夢を語り始めた
今は車関係の仕事してるけど
いつかはラーメン屋をしたいと…

…40代後半のいつかって
いつなんだろう
修行して店出したいらしい
1年くらい修行したら
見様見真似でできるだろう
…って言ってた
なんか 舐めてるなぁ飲食店を
飲食店で10年くらいバイトしてきたけど
なんかムカついた
食べ歩きの目線と
自分で経営するのって全然違うと思う

帰りたいなぁ~
って海を見ながら思ってた
でも 気を取り戻して次の店に向かう
次は行列のできる店
行列に並んでる途中に彼の電話が鳴った
私を並ばせたまま彼は少し離れて電話に出た
会社からっぽい
彼の話によると
引き抜きで今の会社に入って
それから会社の業績が
上がってると言っていた…
ただ 彼から聞こえてくる
電話の会話は
「ちょっと待ってくださいよ
 休み増やさないで下さいよ
 もっと出勤させて下さい」
だった 必要とされてる人が休み増やされる?
そして めちゃくちゃ今の会社にもすがってる
脱サラしようとしてる人の態度とは思えない
モヤモヤした気持ちで並びながら
聞いていたが
それでも人気のラーメン店の味は美味しかった

そして 彼は
「もう食べれない」
と言い出した…
あんたの「覚悟しといて」
は何だったの?
私はまだイケるよ!
オッサンはやっぱり無理か
「じゃあお腹空かせるため
 頑張って歩きますか!」
私の提案により
そこから1時間街散策が始まった…
胃袋もスタミナも
この人に負けたくない!
と言う変な負けず嫌いが
私の中で発動し始めた…

続く…


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