NBA2018-19 開幕までに知っておきたい基礎知識(後編)
※本記事は、楽天NBAニュースサイト内の「特集ページ」にて執筆している記事をそのまま掲載しています。(楽天NBAニュースサイトでの記事はこちらを参照)
※前編はこちら
6. 周囲を驚かせたまさかのポール・ジョージのサンダー残留
このオフFA最大の目玉として、レブロンに次いで注目を集めていたポール・ジョージだが、「レイカーズへの移籍」という大方の予想を覆しオクラホマシティ・サンダーに残留。昨オフにインディアナ・ペイサーズからサンダーにトレードされた際は、FAになる1年後(今オフ)にはホームタウンであるLAに行くと噂され、サンダーはあくまで「1年レンタル移籍」とまで言われていただけに、この決定に周囲は驚かされた。
この1年でジョージに心境の変化を与えたのは、サンダーという組織、ビリー・ドノバンヘッドコーチやGM、そしてラッセル・ウェストブルックを始めとするチームメイトと強固な信頼関係を築くことができたから。特にウェストブルックとはお互い強く信頼、尊敬し合う仲で、彼の主催するパーティでファンたちに残留を公表したくらい。紛れもなく彼の存在がジョージのサンダー残留を後押ししたことは間違いない。堅い絆で結ばれたこの強力デュオがどこまでウェストで暴れてくれるのか、ぜひ注目してみたい。
7. マニュ・ジノビリの引退
一時代の終焉とも言うべきか、サンアントニオ・スパーズ全盛期をティム・ダンカン、トニー・パーカーとともに支え、4度のNBAチャンピオンに輝いたマヌ・ジノビリが惜しまれながら今オフでの引退を発表。この引退に多くの現役NBA選手たちが反応。ジノビリの功績を称えるコメントが、次々とツイッターやインスタグラムで投稿され、如何にジノビリがファンや選手たちの間で愛され、尊敬されていた偉大な選手だったかということを印象付けた。
お家芸のユーロステップをNBAに根付かせ、ユーロリーグとNBAチャンピオンを経験し、2004年アテネ五輪では準決勝でドリームチームを破り金メダル獲得など、ジノビリはファンや選手の間で「記憶に残る」選手として、これからも語り継がれる。選手やフロントからの人望・信頼も厚いジノビリが、どのような形でNBAに戻ってくるのか、これもまた今後の楽しみの一つである。
8. プロアスリートの枠に留まらないレブロンの社会的発信力
昨今、アスリートの枠を越えて実業家として成功するプロアスリートは多く見られるようになったが、レブロンのように積極的に政治や社会に対して発信し、これ程までに影響を与えているアスリートはほとんど例がないと言っていい。
今年2月にYouTubeでケビン・デュラントと政治について話したことに対し、米メジャー放送局・FOXのジャーナリストが「黙って球だけついていろ(Shut up and dribble)」と発言し物議を醸した際も、レブロンは「これからも政治について積極的に発信していく」と真っ向から反論。米大手ケーブル局のShowtimeと組んで、「Shut up and dribble」というタイトルで、社会や政治に対してアスリートの立場から提言するドキュメンタリー番組制作にも着手し、10月から3シリーズで放送されることに。
更に8月にもCNNのインタビューでドナルド・トランプ大統領を「国を分断している」と批判し、トランプ大統領もツイッターでレブロンを「マヌケ」と嘲笑し応酬。それに対しマイケル・ジョーダンや多くのアスリート、更にはメラニア夫人までレブロンを擁護するなど社会的に大きな反響を呼んだ。
地元オハイオ州・アクロンでは、恵まれない子供たちのために「I Promise School」という公立学校を自分の財団を通して設立するなど、もはやNBA選手、実業家の肩書きをも越えて社会的影響力を及ぼすレブロン。今年もコート外での彼の言動や行動にも注目してほしい。
9. オフシーズンに話題になったNBA選手同士の争い
ドレイモンド・グリーン vs. トリンタン・トンプソン
昨NBAファイナルの第1戦試合終了間際に乱闘騒ぎを起こしたこの2人。シーズンが終わった6月18日、今度は舞台をLAのクラブに移してまたもや乱闘騒ぎに。
事の発端は、EPSN主催のパーティ後のクラブで、ファイナルでの出来事をグリーンがトンプソンに謝りに行ったところ、トンプソンが全く受け入れずそこからお互い殴り合うまでの喧嘩に発展したとか。犬猿の仲のこの2人が、今シーズンのコート上でまたどんな争いを見せるのか要注目。
ケビン・デュラント vs. CJ・マッカラム
もう一つオフシーズンに話題となったバトルと言えば、KDとCJのツイッターのやり取りだ。発端はCJのポッドキャストに出演したKDが、「今年もブレイザーズは優勝できない」などと話した事。その後CJがツイッターでウォリアーズに移籍したKDを「弱者(Soft)」「裏切り者(Snake in the grass)」と呟き、それに対してKDも「お前こそ裏切り者」と応酬しヒートアップ。ウォリアーズ移籍後から何かにつけKDをヒール役に仕立てるメディアやファンは、今回の件でもKDの言動を辛辣に報道しKDは完全に悪役に。
そんな当の本人同士は実は兄弟のように仲が良く、このようなやり取りもお互いの仲だからこそ。とはいえブレイザーズの選手やファンは、当たり前だがKDのこの言動に面白く思っていないのは事実。今シーズンのポートランドでの試合で激しいブーイングに晒されることが予想されるKDの裏には、この一件があると思って観てほしい。
10.渡邊雄太のメンフィス・グリズリーズとの「Two-Way」契約
そして何と言っても日本人として一番嬉しいニュースは、渡邉雄太のメンフィス・グリズリーズとの「Two-way」契約。
Two-way契約とは、基本シーズンの大半はNBA傘下のGリーグのチームでプレーすることになるものの、一定期間(45日間)NBAでプレーする権利があり、チーム内で不振や怪我などでロスターに空きが出たときに必ずチャンスは巡ってくる。
昨年のNBA全体最終ロスターの53%がGリーグ経験者、かつ昨シーズンのTwo-way契約選手はほぼ全選手がNBAでプレーしていたことを考えれば、渡邊雄太のNBAデビューはもはや時間の問題。「渡邊雄太のNBAデビュー」を今シーズンのNBA
観戦の最大の楽しみとして開幕を迎えたい。
如何だっただろうか?
この他にも、書ききれないほど沢山の話題があった今オフのNBAだったが、まずはこの10大ニュースをNBA2018-2019シーズン前の基礎知識として知ってもらい、10月16日(火)の開幕戦を楽しみに待ってもらえたら嬉しい。
金大鐘(Twitterはこちら)