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スマート農業情報、中国人技術者による不正流出の疑い

今日、Yahooニュースに以下の記事が掲載されていました。

国内の電子機器メーカーに勤務していた技術者の中国人男性が昨年、ITを活用したスマート農業の情報を不正に持ち出したとして、警察当局が不正競争防止法違反容疑で捜査していたことが2日、捜査関係者への取材で分かった。男性はインターネットの交流サイト(SNS)を通じて、この情報を中国にある企業の知人2人に送信していた。

4/3(月) 6:00配信 共同通信(Yahooニュース掲載記事より)

本件は、日本国内で営業秘密が不正に持ち出されたことが疑われる事案であり、本件のように外国人を含めて、人員採用の際には、秘密情報管理の側面からも、採否や配置等を慎重に検討する必要があることを、改めて認識させられる事例です。

本件は、日本国内での営業秘密漏えいの問題ですので、ニュースとして大きく取り上げられたかと思いますが、中国では、営業秘密侵害の刑事事件等のニュースも日本よりはるかに多いですし、日本の営業秘密は、日本国内から海外に流出するリスクよりも、中国現地法人で漏洩、流出等のリスクの方が高いと思われ、実際に、日本企業を含めて、営業秘密侵害事件は、中国では非常に多く発生しています。
なぜ、中国法人で日本の営業秘密侵害が問題になるのかというと、こうした海外現地法人では、日本本社で開発された技術情報(営業秘密)を利用して、製品の製造等を行うことが多くあるからです。

また、ニュースにはなっていなくても、例えば、以前から問題となっていた百度文庫に加えて、近年では、抖音(中国版TikTok)には、工場内で撮影された動画などが実際に多数流出(位置情報から日本企業の工場と思われるものを含む)していたりする状況です。

こうした問題に対しては、私は、国レベルで対応すべきこと、自社で対応すべきこと、の2つに分けて考えるべきだと思っています。
そして、後者については、営業秘密漏えいの多くが、自社の従業員(退職者を含む)を通じて発生しているという事実と向き合い、自社の情報管理体制を見直すことが、まず必要だと考えています。

中国における情報管理上の留意点の基本は、私が執筆した以下の経産省マニュアルに記載しています。https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/besshireiwa.pdf

また、上記マニュアル以降の法改正等も踏まえて、従業員との秘密保持契約や競業避止契約のポイントなどは、NBL(2023年3月15日号)掲載の論文で説明しております。
https://www.shojihomu.co.jp/publishing/subscription_now?category=2&sub_category=7

これらの情報が、日本企業の役に立てたら幸いです。

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