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Product Schoolに入学した話

Product Schoolって何?

Product Schoolとは、シリコンバレーに拠点を持つプロダクトマネージャーおよびプロダクトリーダーの養成学校です。
Google、Facebook、Netflix、Airbnb、PayPal、Uber、Amazonなどの著名なシリコンバレー企業で働く実績ある講師から直接レクチャーを受けることができます。
コースはすべてリアルタイムのライブオンラインで提供され、少人数のクラスで他の生徒や講師とディスカッションできます。
また、2ヶ月間のパートタイムオプションか5日間の集中フルタイムオプションから、自分に合った形式を選べます。

金額とコース

現在は以下4つのコースを提供していて、私は最もベースとなる Product Manager Certificationに参加しています。

各コースの金額はウェブには記載されていませんが、各コースUSD 4,000〜5,000くらいのようです。ちなみに私が受講しているPMCは、一括払いすると560ドルディスカウントとなり、USD4,999でした。
また、複数コースを同時受講するとさらにディスカウントが適用されるようです。

他のPMコースとの違い

PMコースとしては、高額な部類に入るかと思います。では何がそんなに特別なのか、ご説明していきます。

  1. 世界のPMの頂点にいる人たちが丁寧に質問に答えてくれる
    多くのコースはオンラインでレコーディングを聴講する形式だと思います。一方 Product Schoolは少人数制(私のクラスは30人弱)のリアルタイムのクラスなので、双方向のコミュニケーションになります。
    コース教材はオンラインで自主学習するものと、インセッションで使うものがそれぞれ用意されています。

    インセッションでは、講師がスライド形式で説明してくれてそれに対して質問する時間を十二分に取ってくれます。また、グループディスカッションの時間もあり、5人ほどのグループに分かれて課題に取り組みその後クラスに発表するという時間も毎回のセッションで設けられています。

    私の講師はAppleのProduct Leadの方で100人ほどのPMのリーダーをされているという、普段は会うこともない雲の上の存在の方ですが、クラスでは本当に丁寧に質問に答えてくださいます。
    めちゃくちゃ貴重な機会なので、毎回食い気味で質問させていただいています。

  2. グループディスカッションやプロジェクトを通じて、実践力を鍛えられる
    インセッションでは毎回20分ほど5人ほどのグループに分かれて課題に協力して取り組み、ドキュメントにまとめて発表する時間が設けられています。毎回ランダムにグループが構成されて、非常に限られた時間の中でメンバーがみんなフル集中でアイデアを出し合い、効率良くタスク分けして発表できるレベルまで持っていくというインテンシブなエクササイズです。
    発表はグループごとに行い、講師がそれぞれ丁寧にフィードバックをくれます。ここでは解答ではなく、そこまでの構造的な思考プロセスが重視されます。

  3. 体系的にコンセプトやフレームワークを学びつつ、より重要な思考プロセスを学ぶ
    フレームワークはPMツールであって、そのファンデーションとなる思考プロセスが重要です。例えば、MVP(Minimum Viable  Product)という考え方は、製品やサービスを市場に出す際に、必要最低限の機能を備えたプロトタイプを作成し、顧客のフィードバックを得ながら改善していくプロセスですが、この主旨はリスク管理と迅速な市場適応を目的としています。この主旨を理解し目的意識を持ってフレームワークを実行することで、これらはより強力なツールになります。

  4. SlackのPMコミュニティに入れて、コース終了後もアクセス可能なので他のPM達と交流しながら学び合える
    様々なキャリアフェーズの世界中のPM達と繋がれて、「こういう問題はどうやってアプローチする?」みたいなトピックでディスカッションできる場所は、かなり貴重だと思います。
    当然会社の機密情報に触れないよう留意は必要ですが、他の会社の事例に対して「自分だったらこうアプローチするかな〜」といったようにシミュレーションすると問題集を解くようにトレーニングになります。
    それに、一緒に成長できる仲間がいるって単純に勇気づけられますよね。

考慮すべき点

メリットはここまで書いてきたので、デメリットとは言い切れないが考慮が必要だと思う点を挙げていきます。

  • 金額が高い
    気軽にトライできる金額ではないですね。
    「身銭を切れ」という言葉もあるように、金額が高いことで真剣にコミットする覚悟を持てるという人には向いていると思います。

  • 英語が必須
    リアルタイム講義なので他のオンラインコースと違って日本語字幕はつきません。他のメンバーとのディスカッションやプロジェクトもあるのでビジネスレベルの英語は必須になります。リアルな英語を積極的に伸ばしていきたいと言う人には向いていると思います。

何のために入ったのか

理由はシンプルでして、
「プロダクトマネージャーになる覚悟を決める」ためです。

今まで業務ではプログラムマネジメントもプロダクトマネジメントも両方幅広くownしてきましたが、社内でのポジション変えもあり、よりプロダクトマネジメントに軸足をシフトしていくことになりました。
そもそも私のバックグラウンドが技術コンサルなど顧客対応なので、プログラムおよびプロダクトマネジメントは割と大きなキャリアチェンジだったわけですが、今までは上司が非常に優秀なプロダクトマネージャーの方だったので、彼女の思考プロセスなどを間近で学ぶ機会に恵まれていたと同時に、バックアップがあるという大きな安心感がありました。
その上司も配置換えで、私が直接経営層にレポートする立場となり、大きなチャンスであると同時に焦りが芽生えました。

その焦りの正体は、「体系的知識の不足」です。今までOJT的にスキルを学んできたので、私のアプローチは今のチームに最適化されているけれども状況が変わった時に適切にシフトできるか、また必要な変化を主導できるか、という懸念点がありました。それにはやはり自分が「汎用的なプロダクトマネージャー」になるしかないと考えました。ここで言う「汎用的」とは状況に応じて最適なアプローチを選択し、構造的な思考プロセスを通じて意思決定を行うことができることを指します。

プロダクトスクールで学びながら日々の仕事に応用していくことができています。今まではなんとなく他の人のやり方を見てやっていたことが、会社全体のビジョンと方向性に合わせた明確な目標設定とそこへ向かうためのタスクの優先順位づけを構造的な思考プロセスを通じて行うように意識できています。

Product Schoolで学んでいる中で、私なりにプロダクトマネジメントを定義すると、「ビジネスやマーケットやテクノロジーファクターを境界条件として最適な問題解決を行い、顧客に価値を提供することで顧客をより良いステートにする」ということです。
振り返ってみると、今まで多数の自動化アプリを自作してきた思考プロセスに共通する点があると思います。

  • こういうところがめんどくさい(問題定義)

  • こうできたら楽なのにな(将来のサクセスステート)

  • 解決策としては、これとこれがあるけど、こっちは課金が必要か。。。(境界条件)

  • とりあえずこれで運用してみよう(MVP)

自動化アプリを自作する場合は、顧客=自分なので非常にシンプルですが、PMは顧客理解が必要になります。
ただ、どちらにおいても重要なことは「問題を顕在化し、理解する」ということです。これはPMじゃなくても人生を幸福に生きる上で役に立つスキルだと思います。

Product Schoolの紹介から入りましたが、この記事で本質的に伝えたいことは何かと言うと、
「人生のどのフェーズにおいても積極的に自分をアップデートしよう」
ということです。
私の会社の配置換えもそうですが、周りの状況は日々刻々と変わり続けるので、「変わらない方がリスクである」という認識はしっかりと持って行動し続けることが社会に価値を生み続けられる人になるために必要なことだと考えます。


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