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店長、「断る勇気」を出せ!!!
ガソリンスタンドで仕事をしていると、時に「痛客」が現れます。
クレーマー、厚かましい、などなど。
もう1年ほど前のことです。
高級外車のコーティングの注文が入りました。
お値段は1万円ちょっと。
相場よりは、少し安めになっています。
朝、お客さん(ここではAさんとします)の車を預かり、日中に作業をして、夕方に引き渡しました。
Aさんは神経質な人なので、コーティングの拭き残しがないか、ムラになっていないか…
何度もチェックしました。
しかし。
数日後、Aさんはやって来ました。
「ここ、ムラになってるやないか」
(ほぼわからないくらいのもの)
「ここもや」
(バンパーの下部分、外からはほぼ見えない所)
などなど、細かいクレームを延々とつけてきました。
ここまでくると、嫌がらせの域に入っていると思いました。
ちなみにAさんは、元広域暴力団の構成員でした。
おそらく下っ端だったと思いますが。
(ヤ様の場合、立場が上の人ほど一般人に優しい)
結局、コーティングはやり直しとなりました。
それも、無料で。
こんなことは、他のお客さんではありえません。
99パーセントのお客さんは、当店のコーティングに満足してくださいます。
手を抜いているということは、絶対にありません。
店長はいつも、ベストな仕事をしているはずです。
(ここだけは、自信を持って言える)
それからしばらく、Aさんが店に来ることはありませんでした。
もともと、コーティングの時だけ来店するお客さんですし。
その後、店長をはじめSSスタッフで話し合いました。
「もし、またAさんが注文してきたら、断ろう」
「絶対にその方がいい、リスクが高すぎる」
「そこまでして、欲しいお客ではない」
…ということになりました。
そして、一昨日。
職場に、Aさんから電話がありました。
店長が、応対していました。
「ええ、今はコーティングはやっていないんです」
「スタッフも今は少ないですし、前ほど作業に時間をかけられないんで」
店長は、必死で断っていました。
ですが、Aさんはしつこく食い下がっていたようでした。
「新車でしたら、ディーラーのほうでコーティングをしてもらう方が、良い仕上がりになりますよ」
「ええ、確かにディーラーは高いですが…」
「ですが、ウチとしましても、前ほど作業ができませんので…」
「はい、申し訳ございません」
どうにか断ることができたようで、店長は受話器を置きました。
私「どやった?どうせAさんやったんやろ?」
店長「うん。でも断った」
私「だいぶしつこく食い下がってたみたいやん」
店長「うん、表にコーティングの看板出してるやないか、て言われた。でも、あのお客さんはいらん。負担が多すぎる」
私「で、何て言うてたん?」
店長「『もうやれへん、てことやな』て言われた」
私「そかそか、それやったら良かったよ」
…やれやれ。
一安心。
店長は、基本的に「押しに弱い」タイプの人間です。
電話のやりとりを横で聞きながら、私はハラハラしていましたが…
断る勇気を出してくれて、本当に良かったです。
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