とりあえず今ぶっ飛ばしたいヤツ~「お前ぶっとばす企画」参加
ぶっ飛ばしたいやつ。
まぁ「仏のはじめ」と呼ばれている私にも、たった一人だけ「ぶっとばしたいやつ」がいる。
まず、「ぶっとばしたいやつ」の紹介をせねばなるまい。
Tくんは、私より20数歳年下である。
現在、23歳だったか。
彼が小学生の頃、地元秋祭りの「囃子」を教えたのが、私だ。
囃子は、横笛と太鼓。
今から15年ほど前、私は地元の小学生たちに祭り囃子を教えていた。
その中に、Tくんがいた。
太鼓が大好きなTくんは、めきめき頭角を現しはじめた。
太鼓を叩けば、正確無比のリズム感。
小学4年生にして、強弱をつけて叩くという、素晴らしいセンス。
横笛も、なかなかのものだった。
笛が得意だった私には敵わないものの、音を出すのが難しい横笛で、わりときれいな音色を出していたように思う。
私はTくんに目をかけた。
Tくんもまた、私によく懐いた。
彼は中学卒業とともに、秋祭りを卒業した。
しかし彼との付き合いは、それからも続いた。
秋祭りを卒業したTくんだったが、小学生の頃から続けていた「盆踊り」の太鼓はこれまで通り叩いていた。
これもまた、素晴らしいセンス。
疫病のせいで、2年続けて盆踊りは開催されなかった。
しかしTくんとは、時折LINEのやり取りを続けている。
彼の性格は、きわめて私に似ている。
ひょうきんで、ポジティブで。
Tくんの私に対するツッコミは容赦なく…
「どこまで天然やねん!」
とよく言われる。
私は天然の自覚はなかったが、彼に言わせると立派な天然らしい。
そんなTくんが地元を離れたのは、今年の4月。
仕事の関係で、大阪から遠く神戸に引っ越したのだ。
付き合っていた彼女と一緒に。
引っ越しの日、私はTくんを見送りに行った。
「神戸でがんばってくるわ!」
Tくんの笑顔は、とてもまぶしかった。
そして6月。
同棲していた彼女さんと結婚する、と聞かされた。
まだ若いのに大丈夫か、と私は心配したが…
まぁ長い人生、一度結婚してみるのも悪くはないだろう。
しかしながら…
その後Tくんから来るLINEの内容は、芳しくなかった。
7月。
自宅で突然倒れ、救急搬送されたとのこと。
脳波に異常はなかったものの、彼には適応障害の診断が下った。
どうやら仕事がうまくいかず、上司からはパワハラを受け…
あれほど張り切っていた仕事も辞めたらしい。
地元を離れ、仕事もうまくいかず…
奥さんは働いているものの、生活には不安がつきまとっている。
色々あって、Tくんのメンタルは病んでしまったらしい。
睡眠薬を飲まねば眠れない、と言っていた。
8月になり、Tくんはアルバイトを始めたのだと言っていた。
盆休みに帰省したTくんに会ったが…
それほど顔色は悪くなかった。
そして。
Tくんは、10月末に地元に戻って来るらしい。
やはり地元が一番なのだ、と。
とりあえず地元に戻ってきたら…
ぶっ飛ばしてやりたい。
メンタル病んでる暇はないぞ、と。
11月には結婚式も控えてるんやろがい、と。
仕切り直してがんばれ。
ぶっ飛ばしてやるから。
…息子よ。
きゃらをさんの企画に参加します。
ううむ…
企画の趣旨とは、少し違ったものになってしまったかもしれない。
まぁ、久しぶりにきゃらをさんの企画に参加できたので良かったです。