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なんと、燃料屋が「やらかしちゃった」という話

夫と私は、ご存じの方も多いと思いますが、ガソリンスタンドで仕事をしています。
夫は上司です。
上司萌えな日々を送っております。

それはさておき。
職場では、スタッフルームで「石油ストーブ」を使っています。
冬は寒くなりますのでね。

石油ストーブといっても、かなりの年代物です。
とはいえ、毎年何ともなく稼働しておりました。

ところが…
今年、そのストーブが壊れてしまったのです。
点火しなくなったのです。

困った。
小さな電気ストーブだけだと、寒い。

店長が社長に相談したところ、「支店の倉庫に使っていないストーブがあるはず」ということでした。
そこで先日、支店からストーブを持ってきました。

灯油を入れ、点火。
前に使っていたストーブより、年式は新しいもので、問題なく作動しました。

おお、これは暖かい。
と思ったのも、つかの間。

また、火が消えてしまったのです。

「やっぱり古いやつはアカンなー」
「保管状態が、良くなかったんちゃうか」

残念に思いましたが、仕方がありません。
とうとう店長は、

「しゃあない、ウチにあるストーブ、持ってこよか」

と、言いました。
わが家には、使っていない石油ストーブがあったからです。
しかも、まだそこそこ新しい。

わが家から持って行ったストーブは、順調に炎を上げておりました。

「これでいけるな」
「お湯も沸かせるし」

スタッフ一同、ほっと胸をなでおろしました。

「あれ?ストーブ、消えてるやん」

新しいはずのストーブの火が消えたのは、持ち込んだ日の昼前でした。
昨日のことです。

「えっ、なんで?これ、まだ新しいはずやで」
「なんでこんなに壊れるねん」

私はさすがに、おかしいなと思いました。
そこで、ひとつの疑問が浮かびました。

「灯油がアカンのとちゃうん」

そう、店長に進言しました。

「いや、灯油ちゃうやろ。朝からちゃんと点いてたやん」

「いやでも、ストーブに使ってる灯油、古いやつやろ?」

職場には時々、「去年の灯油を処分してほしい」というお客さんが来ます。
その灯油を処分せずに、「もったいない」と職場ストーブで使っていたのです。

さらに、「もったいない」の精神で、最初に壊れたストーブに入っていた灯油を、使いまわしていたのです。

「古い、て言うても1年前くらいやったら、いけるで。うちのストーブの灯油も、去年のやつやん。普通に動いてるやん」

と、店長は「灯油説」は否定しましたが…

「いっぺん、あたらしい灯油入れてみようや。そしたらハッキリするやろ」

と私は言い、新しい灯油をタンクに汲みました。
で、点火。

「…点いたやん」

店長が、ぽつりと言いました。

「な?やっぱ灯油やで」

「そやな。灯油やったな」

しかし、しばらくすると、火はまた消えてしまいました。

「ストーブ本体に、古い灯油が残ってたんじゃないですか」

と言ったのは、社員Tさんでした。

「タンク外して、本体から灯油抜こか」

ということになり、オイル交換の時に使う廃油受け容器に、ストーブをさかさまにして置きました。
これで、古い灯油が流れてくるはず。

ちょうどお昼時になり、ストーブはそのままにして、店長は休憩に入りました。
(昼休憩は、交代で取ります)

店長が休憩に入って、しばらく経った頃。

「この灯油、水が混じってるやん」

廃油受けに流れ出た灯油を見て、Tさんがぽつりと言いました。
見ると確かに、水滴がありました。

私「湿気とかで、灯油に水が混じったんですかね」

Tさん「多分そうやろな」

私「そりゃ、ストーブが点くわけがないですね。灯油に水が混じってて、自分で火を消すわけですから」

休憩中の店長に、灯油に水が混じっていたことを報告しました。

「そらアカンわなぁ…」

店長は、天井を仰ぎました。

その後、再びストーブを点けました。
赤々と炎は萌え、ちがった燃え、暖かさをもたらしてくれました。

仮にも燃料屋なのに。
まがりなりにも、燃料屋なのに。
やってもうたなぁ…。

ちなみに、支店から持ってきたストーブも、古い灯油を抜き、新しい灯油を入れたところ、きちんと作動しました。
支店の皆様、保存状態を疑ってすみません。


と、いうことで。

昨シーズンの灯油、ダメ、ゼッタイ!!!

声を大にして言いたいと思います。
ストーブが壊れます。

古い灯油の処分に、お困りのみなさま。
最寄りのガソリンスタンドに持ち込むと、だいたいは引き取ってくれます。


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中岡 はじめ
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