監査人が被監査部門に与える安心感

筆者は監査人の経験が長いのですが、時々監査を受ける立場になることもあります。そんな時、「監査ってプレッシャーがかかるし不安だな」と感じます。逆の立場になって考えると、「安心感を与えられる監査人になりたい」ですね。
ということで今回は、監査人が被監査部門に「安心感」を与えるにはどうすればよいか考えていました。

1.現状(ステータス)を伝える

被監査部門の方は、追加の質問が受けた際、「現時点で監査はどこまで進んでいるのか?」、「まだ追加の質問があるのか?」、「質問の無い項目はOKだったのか?」と不安になります。
例えば、「質問は添付ファイルの5つになります。これら以外の項目は監査上問題ないと現状判断しています。最終結果はまたお知らせします。」
と書くだけでも安心感が得られるのではないでしょうか。

また、全ての質問が終了したら、「本件は全て完了しましたので、クローズとします」と伝えるものよいでしょう。

2.質問の数を明確にする

監査手続を予め知らせておくことで、質問内容と質問数が明確になるため安心感が与えられると思います。
「監査手続が先に知られたら不正を隠される、証跡の体裁を整えるチャンスを与える」ということで手続きを知らせない監査人も多くいると思います。確かに、不正調査の場合は前もって知らせるべきではないと思いますが、通常の監査においてはケース・バイ・ケースであると思います。
筆者の経験上、「取り繕った」証跡は何かしらの違和感があるもので気付くことが多いです。「もし巧妙に証跡を改ざんされたら?」という意見もありますが、そのような部門は「せっかくの業務改善のチャンスを自ら失った」と割り切ってもよいのではないでしょうか。多くの会社では内部監査規程上「被監査部門は監査には誠実に対応しなければならない」旨の規定があるはずですので、内部監査規程違反という重大な違反に該当するはずです。

ですので、たいていの場合は監査手続を予め手渡すことが多いです。
「どうしてもこれは当日まで知られたくない!」という質問は「追加の質問があります」と当日に口頭で追加すればよいと考えます。
それでも事前に手渡すのが困難な場合は、当日に画面投影し、質問数を明示するとよいかと考えます。

3.インタビュー開始前にあらかじめ休憩時間を宣言する

インタビュアーは、調子良く質問していると時間を忘れることがありますし、休憩が無くても続けることができるものです。一方、インタビュイーの方は緊張が続き疲れるものです。「予め、15:00にいったん休憩をいれましょう」とインタビュアーから宣言することで、インタビュイーの方からも「そろそろ休憩しましょうか」と言いやすくなりますね。

ちょっとしたことで安心感が生まれ、そこから監査人への信頼感につながるといいですね。


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