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さよならの向う側

とても尊敬していた方の送別会がありました。
東京の会社を退職し、故郷の広島に戻られることになったのです。

彼の凄さは、その人たらしでした。
60歳にもなって、子供のように無邪気でもありました。
地位の高い役職についていながら、どんな人に対しても分け隔てなく常に謙虚な姿勢で接していました。
一緒に過ごす中で、こんな50代、60代になれたらと常々思ったりしていたものです。
そして、会う度に思っていました。
良い漢だなぁと。

彼の送別会を企画したのは、僕よりも年下のシステム系企業に勤める男。
送別会を企画するにあたり、自分が表だってしまわないようにと裏方のように動き回り、できるだけ自分を出さないようにと取り仕切っていました。
少し買い出しの手伝いをしながら彼に対しても思いました。
良い漢だなぁ。

そして、送別会の会場を提供してくれた、地元の珈琲屋さん。
送別会が終わり、静かな街の中で一筋涙を流した後に
見る笑顔はとても素敵で、つくづく感じました。
とても良い漢だなぁと。

良い漢が世の中にあふれているわけじゃありません。
良い漢が良い漢を引き寄せたんでしょう。
良い漢は、僕のようなたいしたことのない男にも手を差し伸べてくれた、そんな風に思います。

眠れないほどに 思い惑う日々 熱い言葉で
支えてくれたのは あなたでした
時として一人 くじけそうになる 心に夢を
与えてくれたのも あなたでした
last song for you, last song for you
涙をかくし お別れです
last song for you, last song for you
いつものように さり気なく
あなたの呼びかけ あなたの喝采
あなたのやさしさ あなたのすべてを
きっと私忘れません うしろ姿見ないでゆきます

さよならのかわりに
さよならの向う側でまた会う日まで。

#コラム
#エッセイ

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