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濁点と半濁点

海の日は不思議なことが起こるらしい。

嘘です、なんとなく面白いことが起きたので書いてみました。

夜になって家に戻り、風呂に入り、ベットの上で携帯を覗くと何通かメールが。
その内の一件は見知らぬアドレスでした。

件名はなし。
内容はと言えば、

初めまして。
全然関係ないけれど、
今ゴキブリが家に出て絶望しています。
やっぱりブラックキャップでしょうか?

僕は、悩み相談室ではありません。
しかし、困っている人を放っておけるほど心の冷たい人間でもないつもりです。
誰かも知らない人に返事を送りました。

初めまして。
ブラックキャップは有力な策だと思います。
しかしこの時間ではお近くの薬局も閉まっているでしょう。
私が提示できる最善の策は、
心に慈愛の涙を流しながら優しく叩き潰すか、
お部屋は今宵一泊貸してあげて、英雄的撤退をするに限ります。
加えて、気持ちを楽にする方法があります。
そもそもの問題は濁点にこそあります。
濁点のもつ余分な点の感じ、ザラついたイメージこそがゴキブリをゴキブリたらしめています。
濁点をあえて半濁点的にするのはいかがでしょうか。
ゴキブリをポピプピに。
もう、フワフワした何かにしか見えないでしょう。
最後にある偉人の言葉をお贈りします。
"濁点が人の汚点ならば、半濁点は人の良心である"

こんな偉人の言葉はありません。
意味がありそうでない言葉です。

この不毛でむだに冗長な返信に、まだ見ぬ相手がリプライしてくれることを待ってみます。

リプライも、半濁点。

#コラム
#エッセイ

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