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思っちゃったんだからしょうがない

吉祥寺は、学生時代の思い出の街だ。
中学、高校と吉祥寺に通学していたのだから。

友達と通ったお店やゲームセンター、カラオケなんかはもう今はない。
吉祥寺伊勢丹の入り口で、やんちゃな他校の学生に絡まれて警察に諭されたけれど、
建物はそのままに、伊勢丹もその建物から卒業してしまった。
人も変わる。町も変わる。
良くなっているのか、悪くなっているのかはわからないけれど、戻ることだけはない。
毎日変化している。

先日、高校時代の友人と久しぶりに会った。
「高校時代のリベンジをしよう」
彼の提案で御茶ノ水にある、とある立食い寿司屋に行った。
高校時代、我らは期末テストのお疲れ様会と称して大人ぶり、回らないお寿司屋さんデビューを果たした。
壁には値段表が貼ってあった。
その日、学生にしては金も持ってきた。
この値段ならたらふく食べられる。
大いにたべて、お会計に入る。
しかし我々は知らなかった。
いい寿司屋の値段表が一貫の値段であり、一皿の値段ではないということを。
各々予想の倍額請求されることとなり、悔し涙を流したものだ。

あれから10年位。
我々は大人になった。
お金も以前より持っている。
何より、値段表の読み方をわきまえた。

お店に入ると、予備校に通う学生たちが数人で寿司を食べている。
我々が寿司を頼み食べようと思った矢先である。
学生達が会計を頼み、そしてドギマギしている。
彼らも寿司屋特有のダブルアップ制度に見事に引っかかっていたのだ。
彼らの手が震えながら、財布に潜り込み、なけなしの現金を掴むのが見て取れた。
寿司を食べる私と友人は、顔を見合わせ笑ってしまった。

人も、町も変わる。
僕も変わっていくし、友人も変わっていく。
会っては喜びを分かち合い、いつかくる別れのために悲しみを蓄積させる。

ただ、見た目が変わっても、人が変わっても、街が変わっても、変わらない光景はたしかにあった。
似ているだけだけれど、変わらないように見える光景が。
それが自分に何かを思い出させてくれるのならそれでいいのかもしれない。

なんてことを御茶ノ水で思い、吉祥寺で書いてみる。

#エッセイ
#コラム

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