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データ的総選挙総括~小選挙区候補者数と比例得票の関係~

はじめに~衆議院選挙の結果と私の予測について~

総選挙が終わってわりとたちました。このNOTEで書きたい結論からいいますと、この選挙で、これまで言われてきた仮説がほぼ覆されたと思っています。

つまり、選挙プランナーの松田馨さんが(16:18)動画で述べている「(共産党は)候補者をこれだけ立てたので比例票持ち直すか、前回並みだと思っていた」という中身です。小選挙区の候補者を立てれば比例票が伸びるというのは、選挙にかかわる人たちの間ではわりと常識だったのではないでしょうか?これに対し組織の「実力」論、基礎票諭から票を考えていた私は今回の選挙では共産党の比例票減については予測しており、その予測はおおむね当たることとなりました。

このNOTEで私は共産党の下限値を316万票と予測しました。今回の選挙の共産党の得票は、おおむねこの私の予測を裏付ける結果になったものと感じています。

比例の得票数候補者数との関係について

小選挙区の候補者を出した方が比例代表での得票が伸びるという点について、下の表をみてください。

表①

表①は、24年と21年の二つの総選挙の比例得票数と小選挙区候補者数との関係です。24年総選挙選挙で比例票を増やした政党は、国民(238%)、れいわ(171%)が顕著であり、逆に比例票を減らした政党は自民(72%)、公明(83%)、維新(63%)、共産(79%)の4つとなります。立憲は横ばいでした。ちなみに自民はと立憲については、共闘区を別にすればほぼ全小選挙区に候補を立てることが基本の政党であると見なします。したがって小選挙区候補数と比例票との関係は一概には言えません。ただ今回の選挙は自民だけでなく立憲も小選挙区の票を減らしています。自民が約2700万から2000万へ、立憲が1700万から1500万へとなっています。実は今回の選挙の隠れた総括は「二台政党」と「組織政党」の二つの敗北です。これについては次回考察したいと思います。ここで問題にしたいのは中規模以下の政党です。ここは明暗がくっきりと出ました。国民・れいわが躍進する一方で、維新・共産の二つの政党が比例票を大きく落とす結果になったのが特徴となります。

小選挙区で候補者数による比例得票増の関係は確認できない

データから確認できることは、小選挙区で大量の候補者を擁立したことによる比例得票増の関係が確認できない、ということです。今回の選挙で「実力」以上に小選挙区に候補を擁立させていると判断できる政党は、維新と共産の二つとなります。この二つの政党は小選挙区候補者をそれぞれ69から163(2.3倍)、105から213と(2倍)と候補者数を倍増させています。にもかかわらずそれぞれ比例票を64%、79%と全国で大きく減らす結果となりました。一方で国民(238%)、れいわ(171%)の二つの政党はそれぞれ小選挙区の候補者数を21から41、12から19と増やしてはいるものの全国的規模での立候補はしていません。にもかかわらず比例票を躍進させています。

小選挙区立候補による比例票増の根拠は何だったか?

小選挙区比例代表並立制において、勝つ見込みのない「案山子」と呼ばれる小選挙区候補を立てることのメリットは①選挙中に宣伝カーを走らせることができる②公営掲示板にポスターを掲示することができる、の二つであると言われています。しかし、この二つが意味をなさなくなっているのが、現状であるという「仮説」を私はもっています。

今日的には全国政党にとって小選挙区立候補の根拠は失われているのではないか?-仮説-

インターネット(SNS)などが発達した今日の社会において、メディアを通じなくとも多くの人にその存在を知らせることが可能になっています。スタートアップの政党なら認知を高めるための効果はありそうですが、それ以外の政党では小選挙区に候補者をたてることによって比例票で優位にたてるということはなくなったのではないでしょうか?ただ小政党にとっては判断が難しい面もあります。実際今回の選挙でも保守党は比例で2議席獲得していますが、その一つは東海ブロック、つまり小選挙区で河村氏が立候補しているところです。

補足①、掲示板ポスターを見る限り「参政党」は比例票を獲得する目的がわかりやすい

ところで、共産党の実際の掲示板ポスターがどうなっているか?気になったので少しネットで調べてみました。

Xのポストから写真をお借りしました。検索で適当に発見したこの共産党の候補者は参政党の候補者に負けて最下位であり得票率5.4%(参政党は7.1%)です。この事実から、この日本共産党の小選挙区候補者は比例票を獲得するための「案山子」候補者だったと判断しても、差し障りはないと思います。ポスターを見てみると「日本共産党」の文字が「参政党」よりも小さく目立たないことがわかります。このポスターは体裁を見れば、個人を押し出す他党のポスターとあまりかわりません。一方で参政党は全国一律のスローガンで統一、デザインも全国で統一しています。個人名は極力小さくしています。そういう意味で比例を押し出すポスターになっています。これで結果が変わったと私は言えませんが、少なくとも小選挙区の①宣伝カー②掲示板ポスター、は比例票を獲得するための「案山子」候補者は、全国一律の宣伝カーアナウンス(テープでもよいのでは?)、統一したフォーマットにしてコストパフォーマンスもあげた方がその目的にかなうとは思われます(データはありません…)。そのあたり共産党の戦略をぜひ聞いてみたいなという感情を持ちました。

補足②、小選挙区立候補によるデメリット…供託金の没収

ところで、小選挙区立候補の最大のデメリットは供託金の没収です。ただ、これについては制度が悪いとは思います。立候補するのに300万円もかかるのであれば、普通の国民の立候補の権利はほぼ最初から奪われているとも言えます。それにしても4億2900万円も没収されるのであれば、普通にそのお金を別のところに使えばもう少し共産党は比例票を伸ばすことができたのではないか?とは思えます。

おわりに~次回選挙で小選挙区の大量立候補はあるのか?~

最後に、気になるのは、この結果を受けて共産党は次回総選挙で小選挙区の大量立候補を続けるのか?という点です。私の予想はノー、もう立候補しないです。その根拠は私が指摘している共産党の「実力」が落ちているからです。小選挙区の大量擁立は大きな体力を使うものですから、現実的には次回の総選挙では難しいと予想しています。

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