この家らしく暮らしてみよう
家の近くで公共の建物の工事が始まることになった。
杭打ちにより、周辺の家屋の壁にヒビが入るなどすることがあるそうで、万が一に備えて事前に家屋調査をしてくださるという。
無料だし、公的な相手で委託業者の身元は安全だし営業もされないと言うので、この際にとお願いした。
家の中に他人が入るのは気づまりな方もあるようで、外回りだけでも良いと言われたが、万が一のことがあれば後悔先立たずなので、家の中にも入っていただいた。
結果は、特に歪みや傾きはないとのことだった。
それは当たり前…と思っていたが、築40年近くの木造家屋では、壁に亀裂が入ったり建具の建て付けが悪く開閉しづらいということがあるそうだ。
部屋を一つ一つ回るのに立ち会う中で、解説と同時に役立つ話も聞くことができた。
柱と塗壁のスキマは、木が湿気を吸ったり吐いたりしているからで、それで家が長持ちするということ…
五寸の柱は今の家では少なくなっていること…
リフォームで取り払って大丈夫な柱と、取らない方が良い柱があること…
なによりも、古民家でもない和洋折衷の、ただの古臭い昭和の家だと思っていたのが、意外にしっかり作られていて経年より古びていないと感心されたのが嬉しかった。
床下の換気が良いので古びないのだと言われた。
ウチはこの辺りによくある、二間続きの和室に一間の床の間がある。
そんなのは間の襖をぶち抜いて、フローリングのリビングフロアに変えたいと常々思っていた。
こうなったら、今風にリフォームなどせずに、ところどころ使いやすくして大切に住もうという気になった。
我ながら現金なものだ。
タイル張りの浴室も、褒めるわけではないが奥さんきれいにしていますね、と感心された。
他人の家の浴室に入る機会はほぼないので、これが当たり前と思っていた。
特にまめに掃除をする方ではないのに不思議にも思う。
これが業者であれば、こんな古びた浴室は今すぐにでもユニットバスに変えるべき、と言われるのだろうか。
自慢話をしているようになっていて恥ずかしいが、それはともかく、自分の自宅評価があまりに低く、不満を募らせていたのだと知れたのは収穫だった。
以前こんな記事を書いていたのだ。
そして、結婚と同時に家を建ててくださった義父の深い愛情を改めて思い感謝の念が湧き起こった。
家を継ぐ者の予定は今のところなさそうなので、私たちなりにこの家らしく、素敵に暮らしてみようと思う。
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