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夫とせめぎ合い

日曜日は次男と連れ立ち住宅展示会場に出向いた。
などと書くと、あらご結婚がお決まりで?とハヤトチリされそうだが、そうではない(キッパリ)

次男の高校以来の友人が実家の敷地内に家を新築したのだ。
経緯はわからないが、この土日の二日間一般公開すると言うのでいそいそと出かけた。

夫を誘ったが当然断られた。
最新の建築仕様や間取りやインテリアを知る良い機会だから、と説得したが、家は従来工法に勝るものはない、和室を板張りにし床の間を潰すなんてもっての外、システムバスなんてビジネスホテルじゃあるまいし息が詰まる、という(言ってはないがそう思っているに違いない言動の)夫には、最新の住宅は関心がないを通り越して忌避すべきものなのである。

私よりたった二つ年上なのに、古臭い価値観と知識に凝り固まったアタマは昭和を飛び越え大正時代の遺物にも見え、むしろ貴重にさえ感じる。
良くも悪くも、ここまでナチュラル・ボーン・ジジイな67歳は天然記念物じゃないかしら?

まあ夫の悪口はこのくらいにして(笑)本題に。

各所で最新住宅の展示会が開催されているが、当面予定がないのに冷やかしに行く気になれない。

ピカピカの外壁や最新の設備を目の当たりにして帰宅すれば、古びて使いづらい我がいえがことさら見窄らしく感じるであろうからだ。

ところが意外にそうではなかったりする。
住めば都とよく言うし、旅から戻ってやっぱりうちが一番ね!というのと似た、馴染んだものへの愛着の方が勝る。
おそらく新しいものを受け付けない、老化現象と呼ばれる心の動きなのだろうが、そう悪いこととも思えない。
悪いのだとしたら、別の価値観とせめぎ合う場合に限るだろう。

次男に

母さんはリフォームするとしたらどんなふうにしたいの?

と問われ、はて?と考えた。

テレビでお見かけするようなモダンリビングは、負け惜しみでなく居心地が悪そうだ。
部屋と同じく身だしなみを整えて、常に磨き上げていなくてはならない気持ちになる。

この間たまたま見かけた素敵な住宅を紹介するテレビ番組(めっぽう背の高い広島出身のお笑いコンビの片方の気持ちの悪い方が出ていた←ググれ、カ◯ 気持ちが悪いは褒め言葉です)によれば、近頃のキッチンは換気扇が無く、油や蒸気を吸い込み排出する菅が設置されているとのことだった。

しかしその効果は如何許りなのだろうか…
それによって、ウタマロをプッシュして棚や床を拭く回数を減らせるとしてどの程度なのか?
いずれにしろ、日に一回は拭き取らなければギトギトするんだろう。
ゼロにならなくちゃ意味ないんだよなあ…


結婚と同時に新築のこの家に四十年近く住んで思うのは、理想は十年サイクルのリフォームだ。
いくら綺麗に暮らしていても十年経つと家は傷み仕様が古くなる。
逆に言えば、最新の家の醍醐味を味わうのは五年ほどで終わる。

建て替えの予定なくニ、三十年使うなら長い目で見ると、年月を重ねてもあまり古びた感じのしない家や建具が良いと思う。

よく言われるように、最善のリフォームをしても必ず不満な点が出てくるのは仕方のないことなのだ。
とは言え、一度家を建てて住んでみなくちゃ実感できないから詮無いことだ。

今は最新でも十年後は変わる。
だから、もしかしたら夫が言うように、スタンダードな従来型の家にその時おりの自分たちにマッチした工夫を加味しながら暮らすのが良いのかもしれない。
とこれは私個人の感想なのでお間違いなきよう。


ねえ、この家ってHくんの好みなのかな?

展示会場で次男に問う。

いや、あいつは服にも関心がないし、家のデザインなんてどうでもいいと思うよ。
奥さんのお好みなんじゃない?

展示会場に夫を伴わなくて正解だったと思う。
旦那が現れてはガチで営業張られてしまう。平家に建て替えませんか〜?みたいな。

たいていの場合、どんな家にするかを決めるのは奥さんだと言う。
もしかしたら、最近は変わったかもしれない。
長男のところはむしろ夫である長男の方がこだわりが強かったようだ。

私は全体リフォームは望んでいないが、ところどころ変えたいと考えている。
しかし夫は自分でできるところはできるだけ手直ししながら温存し続けたいと考えているから、平行線である。

主に私が家事をするのだから、私が使いやすいようにして欲しいと思う反面、夫の家でもあるから私の一存ばかり主張できない。
夫にとっても居心地の良い家でなければならない。
夫はその点では妻を甘やかさない。
女だからと折れてやったりしない。
そう言うところがわりと好きだったりもするのだ、えむかもしれない。

夫が自然に、私が望む仕様を選択するように仕向ける作戦に練り直す所存である。


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