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サイゼリヤ古今話
突然ですが福島太郎@Kindle作家さんによる企画、
"サイゼファンのサイゼファンによるサイゼファンのためのお遊び企画「第一回サイゼ文学賞」"
に参加させていただきます!
福島さん、ありがとうございます。
それから、この企画を知る機会になったパッパルデッレさんにお礼申し上げます。
どうぞよろしくお願いいたします。
二年前の過去記事です。
いつも拝読させていただいている櫻井みけ子久美さんの最新記事を読ませていただいて
懐かしい思い出が蘇りました。
今日はそんな話を。
二歳年長の夫とは十九歳の時に知り合いました。
都内の私大に通う三年生で、千葉県市川市本八幡のアパートに住んでいました。
木造二階建ての今にも倒れそうなアパートで、形ばかりの玄関の上がり框に二畳ほどの広さのキッチン、引き戸を開けると三畳の和室、その奥に四畳半の和室という間取りでした。
大学生の一人暮らしにしては広い部屋ですが、お風呂がなかったんですねえ。
1980年ごろ、かの有名な同棲ソング「神田川」や「赤ちょうちん」が大ヒットした少し後でした。
さすがに三畳一間の下宿に住んでいる知り合いはおらず、豊かになりつつありました。
高校の頃にユーミンがデビューして、その歌から想起されるような東京近郊に暮らすお洒落なカップルが、私の勤める百貨店にも買い物に訪れていました。
それでも、風呂付きのアパートやマンションに住める地方出身の大学生なんて、数えるほどだったでしょうから、珍しくもなかったのですが。
私はすでに高校を卒業して働いていました。
実家暮らしで、給料のほとんどを好きなように使っていました。
雀の涙でしたけど。
私は(現)夫は貧乏学生なのだと思いました。
アパートを訪ねる時には、菓子パンをいくつか買って差し入れをしました。
(現)夫は喜んでガツガツと美味しそうに食べていました。
(現)夫のアパートを訪ねたある日、お昼ご飯を食べに行こうということになりました。
どこをどう歩いたのか覚えていませんが、本八幡の駅の周辺だったかもしれません。
階段を上がった二階の、小さなかわいらしいレストランに連れて行かれました。
窓にフリルのついたカーテンがかけてありました。
数えるほどしかない客席にはチェックのテーブルクロス。
その小さなレストランは、家庭的な雰囲気で少しも煌びやかでない感じが、何処か外国の田舎みたいで素敵だと思いました。
(現)夫は前にも来たことがあったのか、よく来ているのかは分かりませんでしたが、慣れた感じで料理を注文しました。
私はこの時生まれて初めてエスカルゴを食べました。
言われるまでは食材が何か分かりませんでしたが、初オリーブオイル、初バジル、初エスカルゴの美味しかったこと!
そのレストランこそがサイゼリヤだったのです。
美味しいイタリアンを手頃なお値段で、というコンセプトのお店のようでしたが、私の(現)夫を貧乏学生という見る目が少し変わりました。
まあ、サイゼリヤでご馳走してくれたからと言って、金持ち学生というわけでもないんですけど、若干ハタチの見識なんて、そんなものだったかもしれません。
直近でサイゼリヤで食事をしたのは、もう10年近く前になるのか…
池袋の芸術劇場でお芝居を観た後に近くの店に行きました。
ファミリーレストランになっていてびっくり。
そのサイゼリヤが、どうやら私の住む地域にも出店するようです。
時の流れを感じます。
※エスカルゴの画像は肉森さんりよお借りしています。ありがとうございます♪