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長い盆休みの夜は更けて

夫の盆休みが長かった。

盆休が日曜日の山の日とその振替休日とつながったからで六連休だった。

と言っても、週休二日で土曜日が休みの次男の九連休には及ばないけれど。

旅行に出る予定だったが六日に発生した地震の震源地に近いところなので大事をとってキャンセルした。

旅行をキャンセルせざるを得なかったので、夫は私をかわいそうに思ったらしい。
それでいつになく自ら、あっちへ行こうこっちへ行こうと連れ出した。
泊まりがけではないが三日間は外出した。

本心を言うと、この夏は仕事が忙しくきつかったのと坐骨神経痛が出て今一つ体調がすぐれなかった。

だから、旅行をキャンセルできて内心ほっとしたところもあった。

仕事は休みでも家事に休みはない。

ウチは平日も夫がお昼ご飯を食べに帰る。
休みだからといって特別お三度が大変ではないが、当の本人は世話をかけているように感じているらしく、外食や出来合いのもので済ませることに積極的だった。

それで毎日手作りじゃないものばかり食べていたらとうとう三人ともうんざりしてしまった。
リクエストで昨夜はカレーライス、今夜はご飯と味噌汁と漬物になった。

これくらいがちょうどいいね、これを機会に粗食にするか、などと言いながら食べて美味しかった。

よく夫が退職して家にいて年中鼻を突き合わせているとうんざりする、などと言う声を耳にする。

その点夫はあまり鼻につかないタイプだ。

テレビが好きでよく見ているが、生来落ち着きのない性格のようで、気がつくと庭に出て草をかいたり車をいじったりしている。 

と思うと、ふらっとどこかに出かけてすぐに帰ってくる。

そんな調子だから、こちらがそうしてもいっこうに気にならないらしい。

連休最後の今日は、リビングのカーテンのフックが引っかかって開閉しにくいと言ってホームセンターでパーツを買ってきて付け替えていた。
洗濯物を出し入れするときに気になったらしい。
私も気づいてはいたがわざわざ直す気はないのだ。
夫はそう言う細かいところによく気がつき、黙々と修繕する。

近頃は洗濯物を取り込むだけでなく、畳んで片付けるようにもなった。

もしかしたら夫は、退職したら進んで家事をするかもしれない。
料理はちょっとやりそうにないが…

そうなれば私の方はもう少し仕事を増やしてもいいかもしれないとも思う。

夫は仕事を辞めても停止している年金が受け取れるけれど、専業主婦の私は年金だけじゃ介護施設にも入れないから、できるだけ働いた方がいいのだ。

なんて思う盆休み最後の夜は更けてゆく。

子どもの頃に実家にあった古いレコード。

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