ういろう買い

数年前、所用で夫と山口県に出かけました。

山口県の銘菓にういろうがあります。
ういろうは名古屋が有名ですが、山口のはワラビ粉を使用しており、モチモチというよりプルンプルンとしたあっさりとした味わいです。

厚さ1cm程度、縦7〜8cm、横3cmくらいのういろうが、内側が銀紙の羊羹を包んでいるような厚紙で個包装されているのを、よくお土産にいただきます。

普通の羊羹でこのボリュームでは持て余しますが、山口のういろうは甘みもあっさりなのでペロリと食べられます。


山口で、夫と出かけた先の路上に、ういろうの移動販売車が来ていました。
目には入りましたが通り過ぎ、ふと気づくと隣を歩いていた夫の姿がありません。
振り返って見ると、件の移動販売車で夫がういろうを買っており、今まさにお金を渡し品物を受け取るところでした。

私は、ああ、ういろうを買ったのだな、と思いました。

しかし移動販売車から戻る夫の手には、ういろうが一つしかありません。

二人連れで来ているのだから、ういろうを買って食べるならツレの意向を尋ねるのが普通です。

いや、ツレの意向は関係ない、欲しいものを各々買いますよーという、自立したご夫婦もいらっしゃると思うので、普通ではないかも知れません。

けれども少なくとも私たちは、こういう場合は相手の意向を聞くのです。
にもかかわらず、夫は私の意向を聞かないばかりか、ういろうを一つだけ持って、ニコニコしながら近づいてきます。

なんでひとつ??

百円だから…

答えになってない!
なぜ一つだけしか買わないのかと聞いているのに。

私は速攻、移動販売車に近づいていきバッグから財布を出してもう一つ買いました。


聞けば、
ういろう、うまそうだなと思った…
ポケットの中にちょうど百円あった…
お札を崩すほどでもないから、ひとつ買ってふたりで分けよう。

と思ってのことだそう。

なんだ、そうだったのか…

私はてっきり、どこか頭のネジが外れたのかと思ったよ。
あまりに理解し難い出来事なので「なかったこと」にしたかったんだね。

それにしても思い込みっておもしろい恐ろしい


最近はラーメンも、テイクアウトの握り寿司パックも、ステーキも菓子パンも、二人で分けてちょうどよくなりました。
はんぶんこ、ではなく、3:7もしくは4:6くらいの割合で。

でもやっぱり山口のういろうは、ひとりでひとつたべたいなあ…


※ういろうの画像は アッキー/noteとバドミントンの二刃流さんよりお借りしています。
ありがとうございます♪



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