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鎌倉で靴を買う
十年以上前に買ったベージュとモカ茶のコンビのレースアップのブーツ(細かいディテールは実はどうでもよくて、とにかく古い)は地味な形とデザインなので一度も履いていなかった。
なんだかおばあさんの履く靴のようなのだ。
いい加減靴が似合う年頃になったので(要するに履きやすそうなのだ)今回履いて来た。
ところが、一昨日鎌倉の街を歩いていてふと気がつくとソールが剥がれ落ちていた。
本体は革だがソールは少し厚底のウレタン製で、十年(実はもっと古いのかもしれない)靴箱に入れて放置している間に劣化したらしい。
革は全く傷んでいないのに…
替えの靴を持って来ていたので宿の人に頼んで処分してもらうことにした。
履き替えて夕食を食べる店を探して夜の街を歩く最中、その靴の重大な欠陥に気づいた。
ヒールが少し高く細く歩きづらいうえに、やたら道の穴ボコに落ち込んだり段差に乗り上げる。
日頃車でばかり移動してそんなヒールの高い靴を履いて長時間歩き回らないので思いもよらなかった。
今回の旅の目的は長男の長女の宮参りである。
ご祈祷は鶴岡八幡宮で執り行われる。
ご存知の通り鶴岡八幡宮は砂利道で長く高い階段を登り詰めたところに本殿がある。
本来ならスニーカーで歩くのに相応しい参道だ。
そこを生後1ヶ月の産着をまとった赤児を抱いて参るのが父方の祖母の役割である。
私はそのためにはるばる島根県からやって来たのである。
拙い、拙すぎる…
蒲田行進曲の名シーンの如く、鶴岡八幡宮の階段から転がり落ちる我が身と、空中をダイブする赤児と、ひらひらと舞う産着が脳裏に浮かんだ。
明日の午前中どこかで靴を買わなくては!しかし靴はどこに売っているのだ⁇
小町通にはクレープや饅頭や棒に刺したきゅうりの浅漬けくらいしか売ってないではないか。
そうだ!Google先生に聞いてみよう!
鎌倉 靴
いま、わらいましたね?
ところがである。安易な検索文字列にも関わらず『鎌倉靴』という店が存在していたのだ。さすが鎌倉である。
店は鎌倉駅から徒歩数分のところで午前10時の開店だ。
ほぼ開店と同時に店に飛び込み買い物を済ませ11時前には宿に帰った。
そして昼からの会食とその後の宮参りも無事済ますことができた。
本来そちらの報告をするつもりだったが長くなったのでまた後日。