皐月賞1週前追い切り診断
4/19(日) 皐月賞(GI) 中山 芝2000m
もうかれこれ何十年と競馬の世界に身を置いているせいか、やれ1強とか2強とか3強とかそういう煽り文句に無関心になってしまった自分が悲しい。
マスコミ対応に疲れて、心を閉ざした川田騎手の気持ちも少しだけ分かる。
ひと昔前、3強といったら、キングヘイロー、スペシャルウィーク、セイウンスカイの時代なんかは純粋にワクワクして観ていた記憶がある。
さほど競馬知識も持ち合わせていなかった時代だが、皐月賞のレース振りをみてセイウンスカイに一目惚れ。
日本ダービーはスペシャルウィークに豪快に差し込まれてしまったが、最後の一冠「菊花賞」で見事逃げ切った時は本当に心が弾んだものだ。
「今日の京都上空はセイウンスカイ!」ってあの名実況は今でも覚えている。
そんなピュアな競馬ファン時代を経て、今では競馬ファンの方に向けて講釈を垂れている自分もそれはそれで嫌いじゃない。
敬ってほしいとか、実力の差をみせつけたいとかそんな事は微塵も思っていない。
馬券は最終的には自己責任なわけで、どれだけ周囲の仲間と競馬談議に花を咲かそうが、自分のお金を投じる以上は個人競技といって等しいはず。
周りが当たって儲かるかどうかよりも、自分が当たって儲かるかのほうが大事。
そりゃそうだ、自分のお金なんだから。
ただね、毎週競馬と対峙しているこんな私ですら、ゲートちゃんと出るかなとか発走直前になるといっちょまえにドキドキするわけ。
ましてや、自分の予想とは裏腹に、不的中になることのほうが多いわけで、そういう時に疑心暗鬼になる気持ちもそれなりに経験してきたからこそ分かる。
とはいえ、今となっては競馬で疑心暗鬼になることなんてまずない。
二週間ほど前に、ネッツケイバの藤岡佑介騎手と津村明秀騎手の対談記事をたまたま目にした。
その記事のなかでは、競馬学校同期の中で群を抜いて馬乗りが上手かった津村がなんでデビュー後、結果を残せなかったのかとする当時の心境をせきららに藤岡兄が話していた。
津村騎手にしても当時はなぜ川田や藤岡が結果を残しているのかわからなかったという。
ただ、ここで津村騎手は気が付いたという。
騎手学校時代や、デビューして数年は感覚で乗っていて、それでたまたま難しい馬を上手く乗りこなしたりはしていたけど、なぜ上手く乗れるのか、その根拠を僕は持ち合わせていなかったのだと。
これは、素晴らしい気づきだと思った。
騎乗回数がどれだけ増えても、感覚をロジックに落とし込むレベルまで要素分解できなければ、再現性を担保することは難しい。
騎手のように、瞬時の判断を求められる職業はなおさら、細かなミスをどれだけ減らせるかがカギと言え、見るからに知的な川田騎手やC.ルメール騎手、武豊騎手がリーディング上位を占めていることからも、騎手の知性と騎乗成績は一定の相関関係があるように思う。
それを言うと、岩田騎手はどうなんだ?とかアンカツは?とかユーイチは?とかいろいろ出てきそうだけど、各々のご想像にお任せします(笑)
競馬予想も同じで、真剣に楽しみたいなら、勝つに越したことはないと思っており、自分の場合は、馬に乗っていた経験があるので、騎乗者の仕草や馬の走法から得たインスピレーションをこのnoteで発信し続けている。
追い切りはあくまでファクターの一つに過ぎないとはいえ、
・馬の適正(右回り巧者、左回り巧者、掛かる、折り合う、瞬発力の有無、持続力の有無)
・馬の状態(馬体の張り艶、前肢の振り幅、ストライドの伸縮性、脚勢、メンタル)
・厩舎サイドの意図(メイチ、セーブ、スタミナ重視、速力重視)
ざっと思いつくだけでも、これだけの情報をインプットすることが可能。
ただ、実際問題、レーシングビュアーの映像を言語化する作業は思いのほか地道な作業で、このnoteにしたって2~3時間は要している。
よほどの調教好きじゃないと継続することは困難といえ、正直おすすめはしない(苦笑)
その分、このnoteを利用して、追い切り情報をあなたの頭脳にインストールしてもらえれば幸いだ。
今日このnoteにはじめて目を通していただいた方は、先週の桜花賞含め、多々無料公開している記事もバックナンバーにあるため参考にしてほしい。
ということで、本題の皐月賞1週前追い切りの診断結果をどうぞ!
ウインカーネリアン
4/8(水) 美浦 南W 良
55.3→39.9→12.3(AVE/13.82)
・3/28にレースを使ったばかりとあって馬場の2分どころで終いの反応を確かめる程度。
・臨戦過程からして皐月賞は厳しい。
ヴェルトライゼンデ
4/8(水) 栗東 CW 良
81.9→67.0→52.3→38.1→11.7(AVE/13.65)
・時計はそこそこ出ているが、前肢の振り上げ幅が物足りない。
・L1以降は池添騎手の肩鞭+追い出しが入っているが脚勢はさほど速まらず反応も平凡。
・前走からの良化度疑問。
ガロアクリーク
4/8(水) 美浦 南W 良
67.1→52.2→38.2→12.3(AVE/13.42)
・参考までにスプリングSの最終追い切り時は65.4→50.6→37.0→11.9(AVE/13.08)。
・上記の比較からも分かるように1週前はややセーブし、最終追い切りで高負荷をかけてくる可能性大。
・ヒューイットソン騎手の重心は高いままでキープ、手はまったく動いていない。
・完全なる馬なりであり活気十分。
・馬体の張り艶も良好。今週の内容をみて見極めたい。
キメラヴェリテ
4/8(水) 栗東 坂路 良
54.2→39.1→25.0→12.3(AVE/13.55)
・展開を左右する1頭。
・時計同様、可もなく不可もなくといった動きで皐月賞を意識した仕上げとは思えない。
クリスタルブラック
4/8(水) 美浦 南W 良
65.0→50.2→37.5→12.0(AVE/13.00)
・馬場の8分どころを通ってこの全体時計は優秀。高負荷レベルに値する。
・手前替えもスムーズでブレのない走法は好感がもてる。
・右か左かでいえば、断然左手前のフォームが安定している。右回りコースは本質的に合う。
・日本ダービーではなく皐月賞一本に狙いを定めた仕上げとすれば、来週もそれなの時計を出してくるはず。
コルテジア
4/8(水) 栗東 CW 良
82.6→67.5→52.3→38.8→11.8(AVE/13.77)
・コントレイルのラビットホース。
・馬場の8分どころとはいえ時計も動きも至って平凡。
コントレイル
4/8(水) 栗東 CW 良
80.5→64.4→50.3→37.3→11.9(AVE/13.42)
・馬場の7分どころを3頭併せの最内。
・負荷レベルとしてはクリスタルブラックとほぼ同等の扱い。
・ただこちらはゴール前に軽く手綱で促した程度でこの時計。
・終始楽な手応えでこの時計をマークするあたりがコントレイルの凄さ。
・折り合いを欠く気配もなく福永騎手が完全に手の内に入れている。
サトノフラッグ
4/8(水) 美浦 南W 良
63.6→48.9→35.9→11.7(AVE/12.72)
・馬場の5分どころを通ったとはいえ南Wで35.9は速い。
・3頭併せの最内から追走し、直線早々併せ馬の形に持ち込んだと思えば、鼻面をあわせたのは7完歩ほど(実質1秒弱)。8完歩目でグンと重心が沈みあっというまに突き放した。余力十分。
サリオス
4/8(水) 美浦 南W 良
66.1→51.0→37.7→11.8(AVE/13.22)
・馬場の6分どころから僚馬を外に置いた形で追走。
・直線入り口で併せ馬の形に持ち込むと、即座に左手間に切り替えトップギアに。
・最後のL1は目一杯追われたものであり、サトノフラッグとの比較では見劣りしてしまうのも致し方なし。
ダーリントンホール
4/8(水) 美浦 南W 良
85.0→68.4→53.8→39.6→12.8(AVE/14.17)
・馬場の5分どころを外から誘導し、直線半ばで僚馬が内から猛追するかたちでの併せ馬。
・時計もセーブしているように、終始騎乗者の手綱は絞ったまま。
・一瞬たりともリラックスして走っている様子がなく、折り合い面に不安を残す。
ブラックホール
4/8(水) 美浦 坂路 良
50.5→37.1→24.6→12.6(AVE/12.63)
・美浦坂路で併走強め。
・L3からL2にかけて鞍上の石川騎手が2度ほど左から右手前に戻したか下を見て確認していた。左周りだと手前替えに難点を抱えているのかもしれない。
・全体時計を詰めている分、さすがにL1では脚勢が弱まっていた。
・馬体がまだ薄く、これからの馬。
マイラプソディ
4/8(水) 栗東 CW 良
81.3→65.5→50.8→37.0→11.8(AVE/13.55)
・武豊騎手が騎乗し3頭併せの最内。馬場の8分どころから追走。
・コーナーワークではこぶしの位置が宙に浮くほどブレーキをかけており、気持ちと動きの歯車がかみ合っていない。
・ただし、4角後半から直線にかけてのフォームは素晴らしい。前肢の振り幅も申し分ない。
・全体時計を詰めている分、ゴール手前で脚勢は鈍っていたが、これだけの高負荷をかけたとあれば今週の最終追い追い切りも楽しみ。
・ワグネリアンの皐月賞での経験をここでリカバリーするあたり、さすが友道厩舎。
皐月賞1週前追い切り診断は以上!
今週の最終追い切り診断の内容も、見所満載の内容でお送りしますので是非フォロー&チェックしてみてください。
ただの競馬好き/@tadanoke1bazuk1
競馬に1万時間以上費やしてきたただの競馬好き。ローテとレース選択から陣営の意図を汲み取り、馬体重の変動・調教・馬体から勝負度合いを判断。騎手心理を読むのが得意。