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無趣味の人間


春、あたたかく、きらきらしていていまいましい春がもうすぐ来る。春は全てが新しい顔をするから苦手だ。
春になったらこの質問を山ほどされるのだろう。
「趣味は何ですか?」
初対面の方によくされる質問のなかで、特に趣味の質問にどう答えるのかめちゃくちゃ困る。
てか趣味ってどっからが趣味?と思い、広辞苑で調べた。

しゅ-み【趣味】
①感興をさそう状態。おもむき。あじわい。
②ものごとのあじわいを感じとる力。美的な感覚のもち方。このみ。
③専門としてでなく、楽しみとしてする事柄。
④〔哲学〕カントの用語。対象を美しいと判定する美的判断力の一つ。

オーケー、了解。全くわかんない。
とりあえず、初対面で聞かれてる趣味は③の趣味のことだろう。だが待て、広すぎねェか?

専門として出来ることなんて人生で数えるくらいしかないんだから、それ以外の楽しいことは全部趣味って言って良いわけ?
そうだよ(広辞苑)

広すぎる‼️‼️‼️

かくいう私にも、好きなことは沢山ある。
映画鑑賞、音楽鑑賞、読書、ドライブ、カメラ、カフェ・喫茶店巡り、睡眠、、、

③の定義にのっとって考えると、読書は趣味から除いた方がいいかもしれない。私はもうすぐ大学院生だし、読書というか研究史料を読むことは専門だと言えるだろう。もし、読書を趣味と言う方が好都合な時は、「古典文学を読むのが趣味」と言った方いい。

あと睡眠はダメかな。人生で群を抜いて好きなことが睡眠なのだが、他人とは共有出来なさそうだ。残念。

ドライブも好きなのだが、別に運転が上手いわけではない。バックが絶望的に苦手なので、駐車場に停めようとすると前向き駐車か、白線を超えるヤンキーみたいな駐車をすることになってしまう。終わりだ。「ドライブが趣味」なんて言ったら、「じゃあ今度どこか連れて行ってください」なんて言われちゃったりして、その人と共に交通事故を起こしちまうかもしれない。却下。

カメラ、、、まだミラーレスカメラを祖父にいただいてから半年も経っていない。写真を撮るのは大好きなのだが、撮ってインスタに記録として載せて終わりだし、パソコンで編集とかをするわけでもない。完全にライトなカメラ小僧なのだ。ライトなカメラ小僧をディープなカメラ小僧が許してくれるか分からない。この趣味も言わない方が無難な気がする。

映画鑑賞、、、最近全然映画を見ていない。草。ダメじゃねーか。あと、レ・ミゼラブルを超える映画に出会えない。それはそれで良いのだが、映画鑑賞が趣味の人って、年間に何百本も映画を見た上で、好きな映画があるじゃん。私が見た映画の数なんてたかが知れてるから、母数が違いすぎて恐れ多い。

音楽鑑賞、、、も映画鑑賞と同じだ。私は好きになったらとことん同じ人(グループ)の音楽を聞いてしまう癖があるので、聞いてる量は多くても、聞いてる種類は多くない。音楽好きと言うと、ガチな人に怒られそうなくらい何も知らない。ただ、井上陽水が好きと40歳以上の方に言うと何故かウケが良いので、中年以上の方に趣味を聞かれた時はこれで乗り切れるかもしれない。小賢しい。

となると、のこりはカフェ・喫茶店巡りとなるが、コーヒーの種類とかにはてんで無知である。ブラックコーヒーは飲めない。いつもカフェラテを頼むので、スペシャリティーコーヒーの味を知らない。ただ、雰囲気の良いカフェをGoogleマップにピン留めするのが好きなので、その量だったら誇れるかもしれない。今のところ100軒ほどある。行ききれない。この量を誇って趣味をカフェ・喫茶店巡りと言っていいのだろうか。


私は世間一般から見たらオタクの部類なのかもしれないが、オタク側からしたら全然一般人なのだ。この中間の存在であることに自覚があるので、趣味を聞かれると困ってしまう。
もう少し細分化すればいいのかもしれない。

読書→古典文学を読むこと
ドライブ→車でどこか行くこと(運転はしません)
カメラ→綺麗だなと思ったものを写真におさめること(編集はしません)
映画鑑賞→気になった映画を見ること
音楽鑑賞→移動時間に好きな音楽を聞くこと
カフェ・喫茶店巡り→行きたいカフェ・喫茶店をリストアップすること(ブラックコーヒーは飲めません)

ダメだ。ダサすぎる。
でも、これでもただ「カメラが趣味です!」と言い切るよりも誤解が生まれづらい気がする。

よし、今シーズンはこれでいこう。
胸を張って「〇〇が趣味です!」と言い切れる日を待ち望んでいる。



おわり


ティソ

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