家のそばにある川
私の家の近くには川がある。お世辞にも綺麗とは言えない川で、雨が降るとなんともいえない少し鼻につく匂いがそこら中に充満する。あまりいい匂いとは言えないそれはなんとなく雨の訪れを私に感じさせる。
川にはかろうじて魚がいて、それをねらう鳥もいて川沿いには緑がある。春になると桜が川にこぼれてしまうんじゃないかというほど綺麗に咲く。花見をする場所なんてないので、散歩がてらか通勤通学途中に見るほかない。しかし、思い思いの場所とタイミングで立ち止まってみる(あるいは通りすぎながら)見る桜はなんとなく良い。春がきたことを全身で感じる気がする。
秋になると金木犀が咲いて、川の匂いを打ち消すほどいい匂いがする。わたしはこの匂いが大好きで、子どもの頃はよく少しだけ花をもらってハンカチに包んでポッケにしまっていた。大体は洗濯機の餌食になるのだが。
何故だかわからないがこの川と夕焼けを見ることが多い。ここから見る夕焼けはいつも違っていて、いつも綺麗だ。身体のすべてがオレンジになるような夕焼けで、それが川に映って増幅されてるような気がする。同時に少し不安になるくらい綺麗だ。関東大震災の前日はすごく綺麗な夕焼けだったらしい。
綺麗ではない川だからこそ、他のものが一際美しく見えるのかもしれない。
私はこの川が嫌いではない。