『社会福祉士及び介護福祉士法』における社会福祉士の定義と守るべき義務
社会福祉士の定義
1987年(昭和62年)5月26日、福祉専門職初の国家資格が規定された社会福祉士及び介護福祉士法が公布されました。
社会福祉士と介護福祉士の資格を定め、業務の適正化、社会福祉の増進への寄与を目的としました。
社会福祉士が守るべき法的義務・責務
社会福祉士には守るべき法的義務・責務があり、それらは社会福祉士及び介護福祉士法に規定されています。
同法では、社会福祉士の義務等について、信用失墜行為の禁止(第45条)、秘密保持義務(第46条)、医療・福祉サービス関係者等との連携(第47条)を規定しています。
秘密保持の義務は、社会福祉士でなくなった後においても同様であると規定されています。
2007年(平成19年)には、介護や福祉のニーズの多様化・高度化に伴い大幅な改定がなされました。
改定後の現行法には、定義規定の見直し、義務規定の見直し、資格取得方法の見直し、社会福祉士の任用・活用の推進が盛り込まれています。
社会福祉士の新しい定義規定には、他のサービス関係者との連絡・調整を行って連携を図ることが明確化されています。
社会福祉士の義務規定には、個人の尊厳の保持と、自立支援が規定された誠実義務(第44条の2)と、資格取得後の自己研鑽が規定された資質向上の責務(第47条の2)が新たに追加されました。
また、連携の義務の中には、地域に即した創意と工夫、他のサービス関係者との連携が追加記載されています。
なお、社会福祉士は、資格をもたない人が「社会福祉士」という名称を勝手に使用してはいけない名称独占の国家資格で、このことは同法で名称の使用制限として規定されています(第48条)。
社会福祉士資格をもっていることは、専門職としての水準の高さを表すものです。社会福祉士の名称を使っての活動は、社会福祉士の登録後でなければいけません。
資格の更新制度はありませんが、社会福祉や介護を取り巻く環境の変化による業務内容の変化に対応するため、知識と技能の向上に努めなければならないとされています。
上記の社会福祉士の責務のうち、違反すると登録取り消しとなり得るのは、「信用失墜行為の禁止」と「秘密保持義務」です。
罰則規定があるのは「秘密保持義務」違反で「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」とされています。
また、5つの責務には含まれませんが、「名称使用の制限」違反にも「三十万円以下の罰金」が科されます。
補足
「社会福祉士及び介護福祉士法」は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定め、業務が正しく行われるために存在している。
1987年に成立後、介護・福祉ニーズの多様化・高度化に対応するため2007年に改正されており、人材の確保や資質の向上を図ることが求められている。
社会福祉士の守るべき義務では、違反に対して罰則があるから守るのではなく、より良い支援や利用者とのトラブルのない関係性を築いていくためにも一人ひとりが意識することが重要になる。
(共通)ソーシャルワークの基盤と専門職