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網膜剥離の話 13

そろそろ始まって半月が経過する
網膜剥離の話しですが(笑)

もう少しお付き合いください😊

感動のエピソードを残した
Kさん退院後、
また当たり前のように
次の方が入って来られました。

名前は

『Nさん』

また当たり前のように
入院にあたっての説明や
問診が始まりました。


『Nさん、看護師の〇〇ですぅ、

    よろしくお願いしますぅ。』


『あ〜、ハイハイ!〇〇さん、

  こちらこそよろしくお願いします!』


ボクは、と言うと
もちろん耳をそばだてて
Nさんの情報収集に勤しみます(笑)


看護師さんの質問に対して
ハキハキととても元気に感じ良く
テキパキ答えるNさん。

声にもハリがあって、トーンも高く、
とても好印象!

小柄で痩せ型タイプかなぁ✨


看護師さんとのやり取りが続きます。


『Nさん、いくつか質問しますね、

  当たり前の事ばかりで面倒かもですけど

   決まりですからお付き合い下さいね。』

『ハイハイ!何でも聞いて下さい!

     看護婦さんも大変やね!』

『いえいえ、ありがとうございます

          それではいきますね』


『ハイ!』

『Nさん、おいくつですか?』

『ハイ!わたくし

      御歳80歳です!』

『はい…、80歳、っと。』

看護師さんがそれをメモして行きます。
すると、Nさん、

『皆さんには年齢を言いますと

  とても80歳には見えませんね、

   お若いですね、といつも言われます!』

『そうなんですね😊それで…、』

『なぜそう言われるかと言いますと

       腰も曲がってないし、

        チャッチャと歩くし、

      エレベーターも使いませんし、

         今日も一人できました!

          あと歯ぁも全部自分の!

                しかも…、』

『Nさん、』

『やっぱりよく食べる事が若さの、』

『Nさん、』

『好きな食べ物は…、』

『Nさーん!』

『あ、ハイハイ?』

『Nさん、答えていただくのは

      質問の内容だけでいいですよ』

『ああ、なるほど!いや、

     よく若さの秘訣を聞かれるもので』

『たしかにお若いですよね✨』

『ほんとにね、皆さんに驚かれます!

     やっぱりこの若い、言うのは…、』

『Nさーん、次の質問行きますね…。』

この調子で
一つの質問に脱線で応えるNさん(笑)

うつむいてるボクにとっては
もう、早くも我慢の限界(笑)

ある程度まで行くと看護師さんも慣れて来て
Nさんが脱線する前に
うまくポイントを切り替えます。

そんなやり取りが続いて
しばらく経った頃
看護師さんがこんな質問をしました。


『Nさんはご兄弟はおられますか?』


『ハイハイ!おりますよ!』


『何人兄弟ですか?』


『ハイハイ!えーと、4人です!』


『Nさんは何番めですか?』


『あー、わたくしね、

     4人兄弟の四男です!』


『はい…、4人兄弟の四男さん…、っと』

『もう80にもなるとね、上も皆

   亡くなって元気なのはボクだけです』


『そうですかぁ、それは

    お寂しいですねぇ…、それでは…、』

『そうですねん、そやけどね

   なんでボクだけ元気なんか、

       看護婦さんわかりますか?』


『…、』

『何でですか…?』


『四男だけに、死なん、言うてね!』


『…、』

『そうですかぁ』

『次の質問行きますねぇ』

す、すごいな!看護師さん!
この流れでこんな練られたギャグ、
笑わんでよぉおれるな!

このてのギャグに慣れてるんやな。

看護師さんのキャラ込みで聞いてるこっちは
目ぇ飛び出るくらいおもろいわっ💦

淡々と仕事を進める看護師さん。
さらに質問を続けます。


『4人兄弟の四男さんと言うことで

  もう聞くまでも無いんですけど

   一応形式的にお伺いしますね。』

『ご兄弟の構成、教えてもらえますか?』

『構成…、ですか?』

『そうです、上から長男、とか

      順番に構成をお願いします。』

『あー!なるほど!そう言う意味ですか!』

『そうなんです、

     すみません、わかりきった質問で』

『いやいやこの歳になると物分かり悪くて…、

         看護婦さんも大変ですな!』

『いえいえー』

『えー、まず、上から…』

『はい、』



『長女』



『Nさーん…、』

『えー、次が…、』

『Nさん…、』

『え?、なんでしょう?』

『おかしいです、ね?』

『おかしいですか?』

『Nさんは何人兄弟の、何でした?』

『あー、えー、

     わたくし、4人兄弟の四男!

            四男だけに…、』


『Nさーん』


『ハイハイ』


『それは合ってますよね?』


『もちろんです!』


『では、もう一度お伺いします』

『ハイハイ』


『ご兄弟の構成を上からどうぞ』


『まず、』


『はい、』



『長女』




『Nさん…、Nさん、』

『おかしいですねぇ、』

『おかしいですか?』

『はい、おかしいですね…』

『あー!そうか!それか!』

『そうですそうです!それです!

           では最初から!』


『えー、まず』


『長男』


『そう!そうですね!それです!

         その調子でどんどん!』


『えー、』


『長女』



『Nさん…。』


もー!もー!やめてー!
お腹ちぎれるー!!!
もうええやんーーー!!!
でも、もう少し聞きたいーーー!!!

うつむきながら悶え苦しみ
笑い声を押し殺しました。


看護師さんがさらにガッツをみせます。


『Nさん、Nさんが4人兄弟の四男なら

     女性のご兄弟はおかしいですね』


『え?ほんならトシエさんは?』


『わからないですね、私には』


『あ!そうか!そやそや、

  若い時に亡くなった兄弟忘れてましたわ!』

『なるほどなるほど!

       それならわかりますね!』


『歳はとりたく無いもんですな!』

『それでは、何人兄弟ですか?』


『5人兄弟です!』


『はい、5人兄弟のNさんは?』


『四男です!四男だけに…、』


『死なん!』(Nさん)
『死なん!』(看護師さん)


『ようご存知ですな!』

『はい、なんとなく…。』


『それではご兄弟の構成を…』


『長女』


『はい、』


『次女』

『Nさん…、』

『ハイハイ?』

『増えました、また…。』

『いや、だから5人兄弟で…』

『そっちじゃなくて…』

『どっち?』

『いや、あの、

    トシエさん以外に、増えました』

『カズコさんですか?』

『おそらく…。』

『カズコさんがもう亡くなってるんです』

『それはとりあえず今は

       置いておいていただいて…』


『5人兄弟の四男さんですよね?』


『死なん!』
『Nさんっ』


『5人兄弟の四男なら

      女性二人はおかしいですね。』

『さっきの感じだと

     Nさんは三男さんになりますね』

『三男はもう亡くなりましたけど、』


『Nさんは?』


『四男』


『…、』
『…、』

『そうですかぁ、そうしたら

    まだご兄弟忘れてはりませんか?』



『…、』



『あー!思い出した!

         たしか6人で…、』




『それ!!!』





『下に弟がおりました!』





『またややこしくなりましたね…。』

『またですか…?』

『そうですね…』

『看護婦さん…』

『はい…』


『わたしって…』





『何なん?』





撃沈…。

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