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産後ケアセンター体験記① Mammy Camp TOKYO BAY滞在レポ 〜事前検討・施設見学編〜
もう7年以上前。
私は、2016年に第一子を出産した直後1ヶ月間、当時はまだめずらしかった「産後ケア」を、”至れり尽くせり”、かつ”しっかりと”、受けた経験があります。
その時の経験をいま改めて振り返り、このnoteに書いてみたいと思います。
出産直後、産院に附属する助産院に1週間滞在し、そこから別の産後ケアセンターに移動し、3週間過ごしました。
この、3週間、千葉県にあるMammy Camp TOKYO BAYという産後ケアセンターに滞在した体験を、
事前検討・施設見学編
ママへのケア編
赤ちゃんのケア編
食事、コミュニケーション編
の4つのテーマに分けて、レポートしてみたいと思います。
今回は「事前検討・施設見学編」です。
(当記事には2016年当時の情報が含まれています。最新の情報はMammy Camp TOKYO BAYホームページをご覧ください。)
利用したきっかけ
20泊21日、約3週間も産後ケア施設に宿泊した私ですが、なかなかこれはレアなケースかと思います。
「そもそも、なんで産後ケア施設を利用することになったの?」
「家族は賛成だったの?」
「どうやって宿泊する施設を選んだの?」
という疑問点から、お話ししていきたいと思います。
妊娠が分かり、妊娠5ヶ月以降、いわゆる安定期に入ってだいぶ気持ちも体調も落ち着いてきた頃、ふとしたタイミングで、夫が、
「産後ケア施設に入った方がいいから、日本では少ないかもしれないけど、施設を探そう」
「もしくは、(産後ケア施設に入るために)出産は台湾でしよう」
言い出したのです。
そう、私の夫は、台湾生まれの台湾人です。
どこかで聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、台湾や韓国では、出産した女性が産後ケアを受けることは、ごく当たり前です。
産院を退院したらすぐに産後ケアセンターに入る、または自宅で産後ケアの専門家のサービスを受ける、など何らかの「産後ケアのための外部サービス」を利用する人が大多数です。
でも何の知識もなかったその当時、私は、
まずそもそも
「産後ケアのためだけに出産を海外でするなんて考えられない!」
と思いましたし、
さらに、産後ケア施設の宿泊費用を見て愕然!
「自分のためにこんな金額を使うなんてありえない・・・」
と、検討する余地もありませんでした。
もちろん自分のことを心配してくれていることはありがたく思うものの、それ以上に心理的に受け入れ難い状況でした。
実の母に「産後ケア施設に入るかも」(費用は私たち夫婦負担)という話をした際も
「またそんな贅沢なことして」
と言われて”しょんぼり”とし、心理的ハードルをさらに上げるには十分でした。
でも、何度も
「絶対に受けないとダメ、その後の人生の健康が決まる」
「(夫の)妹も、産後ケアを受けて出産前よりもっと健康になった、それくらい大事だから」
と夫から強く説得され、次第に気持ちが変わっていきました。
自治体の産後ケア宿泊サービスは選択肢がほとんどなかった、第一子を出産した2016年当時、民間の産後ケアホテルも、数はとっても少ない状況でした。
それでもインターネットで検索し、いくつかの選択肢の中から、キレイな写真やママに優しそうな雰囲気に惹かれて、千葉県船橋市にある「Mammy Camp TOKYO BAY」の施設見学を予約することにしました。
施設見学
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Mammy Camp TOKYO BAYがあるのは、千葉県船橋市にある「ビビット南船橋」という商業施設(モール)の中の4階です。
当時私は東京都内に住んでいましたが、夫婦2人で電車を乗り継いで船橋まで出かけました。
食品売り場や、学習塾、子ども服売り場、ゲームセンターなどが並ぶ施設の中を抜けると、急に現れた「Mammy Camp TOKYO BAY」の素敵な看板!
入り口を入ると、これまでの商業施設とは異なるママと赤ちゃんのための空間が広がります。
まず驚いたのは、エントランスを入ってすぐ、エアシャワーを浴びる仕組みがあったこと。エアシャワールームで全身風を浴びて体表面の埃や異物を取り除いた後は、手洗いうがい。2016年当時から、感染症を持ち込まないように徹底していました。
夫婦2人で訪れた施設見学では、スタッフの方に施設の中を丁寧に案内してもらいました。
・お部屋
お部屋は3タイプ。
・20㎡のスタンダードルーム、
・29㎡のスーペリアルーム、
・55.9㎡のスイートルーム
があります。
広いお部屋は、頻繁に旦那さんや家族、上のお子さんなどが泊まりに来る方が利用することが多いとのことでした。
各お部屋にシャワーと洗面台、そして小さな机と椅子がついています。
もちろん、赤ちゃんを寝かせるコットもあります。
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・ベビールーム
入り口を入ってすぐ見えるのが、ガラス張りのベビールームでした。たくさんのベビーコットが並んでいて、産前産後管理士などの資格を持った専門のスタッフの方が、24時間体制で赤ちゃんのお世話をしています。この、「ガラス張りで、いつでも外から様子を見られる」と言うのは、とても安心感につながるポイントだったと思います。
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・食堂
食事は3食+おやつと夜食の合計5食が出ますが、朝昼晩の3食は、共同のダイニングルームでいただきます。広さも十分ある、優しいインテリアのダイニングルームの中で、手作りの食事を食べることができます。
食事の時間は8:00、12:00、18:00に決まっていて、その時間にダイニングルームに来てくださいとのことでした。
食堂以外にも、24時間飲み放題のハーブティーが用意された、談話室(ドリンクスタンド)もありました。
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・トリートメントサロン
Mammy Campの一つの特徴は、トリートメントサロン(Brin deVie Salon)を施設内に併設していること。
このサロンの中に、何度でも利用できる「足湯」がありました。(無料)
それに、ハーブテントも無料で利用できます。
サロンのメニューとしては、ボディやフェイシャルのトリートメントや、マッサージなどが有料で利用可能です。
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・多目的ルーム
見学の時は、広い多目的ルームで、施設紹介のビデオを見せてもらいました。
ここでは普段、宿泊者に向けて、お母さんのための授乳講座や育児指導を開催しています。
他にも、お母さんのためにモビール作り、クッキー教室などのワークショップも定期的に行っているとのことでした。
・ランドリー
ランドリールームもチラリと見えましたが、これは宿泊者が使うことはなく、基本的に洗濯はスタッフの方が全て行なってくれます。宿泊者は、毎日指定のかごにパジャマや下着などを入れておくと、洗濯乾燥のあと、またかごに入れてお部屋に戻してくれるというありがたさです。
施設全体を見学した後は、素敵なラウンジで、プランや利用約款などの説明がありました。
全体を見学してみて、私の感想は
「夢のような施設・・・!」
「こんなところに泊まれたらなんてありがたいんだろう・・・」
と、文句のつけ所なんて一切!ありませんでした。
台湾人の夫も、元々は「台湾式の産後ケア」が良いと言うのが本音だったようですが、見学してみて納得し、「ここを予約しよう」ということになったのです。
見学時に7泊以上予約すると特典があるとのことで、その場で仮予約に申し込み。
さらに、13泊14日だとキッズタクシーの送迎(往路、または帰路のどちらか1万円まで)を利用できるという特典もありました。
(実際に私も産院からMammy Campに移動する往路で、このタクシーサービスを利用しました。)
一旦帰宅して、仮予約の期限内に、前金として宿泊料金の一部を振込んだのです。
ちなみに、
見学時予約の特典は、Mammy Camp TOKYO BAYを運営している医療法人が監修したデリケートゾーンケアのためのスムージングオイル。後日自宅まで郵送されてきました。
(2016年当時の情報です。最新の情報は公式HPをご確認ください)
※台湾式の産後ケアって?
ちなみに、夫が良いと言っていた「台湾式の産後ケア」って何なの?という話ですが、
台湾では、いわゆる産後1ヶ月の産褥期に
「坐月子」(ズォユェズ)と呼ばれる産後ケアを行う、という昔からの風習があります。
東洋医学の考え方が軸になっていて、この期間、しっかり身体を休ませ、栄養のあるものを食べ、薬膳スープを飲み、静養します。
身近な家族や、産後ケアセンター・産後ドゥーラなど外部サポートの力を借りながら、
・新生児の育児、世話
・食事作り
・家事
・ママの身体のケア
をやってもらって、しっかり身体を休ませる、という点は、Mammy Camp TOKYOで受けられるケアと同様です。
少し違いのあるポイントとしては、「食事・栄養」への考え方です。
台湾式産後ケアでは、東洋医学をベースとした漢方、薬膳の考え方に基づく食事でしっかり栄養をとることで、
出産で大きなダメージを負った子宮の修復を助け、体力と健康を回復する、という考え方がベースにあります。
坐月子(ズォユェズ)の方法で産後を過ごした女性は、
産後の身体の回復と体質の調整に専念することができ、その後の更年期に身体の不調が軽くなる、といわれているんですよ。
妊娠中からの産後ケア準備が重要なわけ
私自身は、夫という家族からの強い推薦があったために、妊娠中期に産後ケア施設の見学、予約を行うことができました。
でもなかなか普通は、妊娠中に産後の生活を想定して
「産後ケアの予約をしよう」
「今からしっかり産後の準備をしておこう」
とまで思いつかないのではないでしょうか。
2021年の産後に関する調査によると、産後には、
自宅で過ごした人が63%、
実家(義実家)で過ごした人が33%、
自治体や民間の施設で過ごした人はたったの3%でした。
さらに自宅で過ごした人のうち、家事のサポートをお願いした人は
1位がパートナー、
2位が実母/実父、
3位に義母/義父となっており、
ようやく4位に家事代行/産後ドゥーラなどの外部サービスがでてきます。
https://www.madrebonita.com/sangohakusyo4
産後は自宅や実家で過ごし、パートナーか実母や義母にサポートをお願いする、という人が大多数ですね。
でも、たとえパートナーや両親がサポートしてくれるとしても、朝から晩まで、1ヶ月間毎日サポートを受けられる人は、どのくらいいるでしょうか。
パートナーや両親も仕事をしていると、男性育休が少しずつ普及してきたとはいえ、なかなか難しいかもしれません。
だからこそ、
産後には誰からどの程度のサポートが受けられそうか
どの部分が足りなさそうか、
自分1人で家事育児を抱え込む状況にならないか、
を想像して、妊娠中に産後ケアの準備をしておくことが、とても重要だと思います。
その理由は、
産後は、新生児育児と日々の生活でいっぱいいっぱいになり、外部に助けを求めたくても、申し込みのための時間も気力も奪われてしまう
手続きや支払いなど、外出が必要だったり煩雑なことも多く、出産後に行うことが物理的に難しい
直前の申し込みだと空きがなかったり、予約できないことも多い(数ヶ月前からの予約推奨)
といったことがありそうです。
物理的、心理的なハードルがますます高くなり、結果的に産後ケアに手が届かなくなってしまう・・・
そんな状況を避けるためにも、
妊娠中なるべく早い時期の情報収集と準備がとても大切なんだ、
ということを、私は実際に産後を経て、改めて感じたのです。
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産後ケアセンター宿泊前までの検討と準備についてお届けした今回のレポート。
次回は実際の宿泊レポ「ママへのケア編」です。
(当記事には2016年当時の情報が含まれています。最新の情報はMammy Camp TOKYO BAYホームページをご覧ください。)
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