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やさぐれた魂をやさしいタンメンとゴツい餃子に救われた話
泣き言
もうね、ダメなんすよ……。
毎日の残業に休日出勤、名ばかりのフレックス勤務に夜間勤務と、ストレスフルな日常な上に、今の給料では金策がままならないのに副業をやる暇もない。
もう任意整理待ったなしの状況を、誰にも打ち明けることができない。
今までの自分の無為無策が招いた事態故に、今の状況はまあしゃあないとは思うのですが、それでも外聞や奥様のことを考えると安易に「14へ行け」というわけにもいかない。
そんなわけで、ニッチもサッチも行かない状況で鬱々と生きているわけですが、どうも最近認知の歪みがひどくて日常に支障が出てきました。
僕の人生でここまで被害妄想で頭が破裂しそうになった経験はありません。
こりゃ僕も、そろそろメンタルクリニック行かなきゃダメかなぁ……、なんてことをね、思った次第です。
忘れていた本
そんな日常を過ごしていたら、Amazonから本が届きました。
この本はYouTubeチャンネル「黙飯」に登場したお店の一部をまとめたガイドブック、「黙飯 男のグルメガイド」が2/21に発売されたんですよ。
あまりに多忙で予約していたのをすっかり忘れていました。
この本に掲載されているお店なら、今の僕の心や体に染み渡る一杯をいただけるかもしれない。
そんな微かな希望を抱いて、数日前にちょっと長いドライブに行ってきました。
前日の激しい雨も止み、爽やかで穏やかな青空が広がる金曜日、ちょっとした事情で有給をありがたーく使わせていただいた僕は、やや大切な所用を無事に済ませることができました。
「んじゃあ、出かけますか」
時間は12時ちょっと過ぎ。
本来なら昼飯の時間なのでしょうが、前日の夜勤で体内時計が完全に夜勤シフトのままなので、朝飯を食べたのが1時間ほど前。
故にまだ昼飯には早すぎるし、今日は一度は食べてみたかった一杯のために腹をすかしておきたかった。
まだその店の営業まではかなり時間はありますが、今日はドライブにピッタリな日和なので、下道でダラダラと群馬県の下仁田町というところまで、愛車のウサコを走らせて、その一杯を食べにいきました。
途中、ダイソーで飲み物や道中で頬張る菓子なんかを調達しつつ、こんにゃくパークという楽しげな施設を覗きつつ(無料のこんにゃくバイキングなんかもあり、とても楽しかったです。また別の機会に来たいです)、約4時間ほどかけて目的地まで辿り着きました。
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最寄りの無料駐車場にウサコを駐めます。
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ここから歩いて数分のところに、目的のお店がありました。
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某ドラマにも取り上げられたお店なのですが、僕はドラマなど観ないので、このお店を知ったのは半年ほど前に前述した「黙飯」の中の動画ででした。
その動画の中では、年若い店主さんが一生懸命作るタンメンと餃子、そして店主さんの人柄がとても魅力的に思えて、一度は行きたいと思っていたわけです。
夕方の営業は17:00からと聞いていたので、その時間に合わせて着くようにしたのですが、まだお店は準備中とのこと。
あとで店主さんが話していたのですが、どうやら昨晩は徹夜で手伝い(確かキャベツの畑にシートを張る作業をしていたとか。翌日は雪の予報だったので、そのための支度なのかもしれません)をされていたとか。
そのせいか、かなりお疲れの様子でしたが、作っていただいたタンメンと餃子はどちらも美味しかったです。
開店時間からやや遅れてお店は開きましたが、動画で忙しさは知っていたし、後ほどお聞きした事情もあるので、特に不満はありません。
むしろ、それでもお店を開けるのだなぁと、心底感心してしまいました。
啜り、頬張り、齧り、眺める
タンメンのスープを啜り、麺と野菜を頬張り、餃子を齧る。
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タンメンは心に染み渡るようなやさしい味のスープと、これでもかと盛られた野菜の旨み、そして食べ応え満点の太麺がありがたい。
食べ始めると「これ食べ切れるか?」と一瞬不安になりましたが、ちゃんと汁も飲み干せました。
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餃子は自家製の皮を使って、焼く直前に餡を包んで作る珍しい一品で、パリパリに焼き上がった皮の中にはみっちりと詰まった野菜と肉の甘みと旨みたっぷりの餡が入った、こちらもボリュームがあります。
お世辞にも片付いているとはいえないし、カウンターだけの小さなお店でしたが、僕がタンメンと餃子を頂いていると、高校生くらいの若者から、僕より年上と思われるご年配の方まで、ゾクゾクとお客さんが入ってきます。
店主さんは気さくにお客さんたちに話しかけ、お客さんたちも店主さんとの会話を楽しんでいるようです。
その間も店主さんは手を止めず、餃子を包み、タンメンの野菜を炒め、カツの材料の下仁田パークを叩いて伸ばしていました。
そんな様子を面白がって眺めていたら、気がつくとお店は満席。
早く出た方が良さそうだと、お勘定を済ませて席を立とうとすると、店主さんが開店が遅れたことを詫びてくれました。
気にしていないことと、また来るという旨を伝えて、僕は店を後にしました。
帰り道で思うこと
帰りの車内で、色々考えました。
不出来な僕の脳みそではわからないのですが、どうしてそこまで一生懸命なんだろうか?
そこまで一生懸命になれるものが、僕にはあったのだろうか?
この先、そんな何かに出会うことができるだろうか?
僕の人生って、半年どころか数ヶ月先も想像できない状況ばかりで、最近はそのことに参ってしまい、全くポジティブにはなれませんでした。
でも、それでも。
出来ることなら、もう少し前向きに生きていけたらとは思う。
優しい味のタンメンと、ゴッツい餃子は、僕のうなだれてしまった顔を、少しだけ上げて前を見るようにしてくれた気がしました。
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