ポールちゃんというアイコン
本人コメントに思うこと
以前書いた記事のこともあって、昔の記憶を引っ張り出してきて、色々考えている中で、また新しいニュースが出てきたので、そのことを書いてみる。
この辺での対マスコミの姿勢は流石にうまいなぁ、なんてことを思う。
自分がこれまでしてきたことを棚上げして、「政治的」なんて意味ありげなニュアンスの言葉を放り込んでくるあたり、計算してやってるのだろう。
調査捕鯨なんてのは、成り立ちからも政治的な意図が強いものだから、それを妨害した輩の身柄に政治的な意図が含まれない方が、僕には難しいと思うんだけれど、欧米の人たちからすれば、そんなことはわかりゃしないからね。
取材をしているのも大人ですから、そうしたことも言えたりしますが、かつて日本のテレビ局で放映された、子どもたちの放った言葉には、うまい返しは思いつかなかったようです(動画の十一分あたりから)。
「シーシェパードが見た限り牛は海に棲んではいません」なんて間抜けなこと、欧米のメディアに晒されなくて、本当に良かったねと、内心安堵している僕がいるんですけど、この映像を最初から通してご覧になるとわかると思いますが、ポールちゃんは何気に頭がいいので、アドリブでそこそこ言い返してきますし、多分何度も質問されていることなので、自信満々に答えるわけです。
マスコミにコメントを求められたら、それを上手に利用して、世論を騒がせるというのは、ポールちゃんの得意分野だから、あまり騒がす「また言ってんなコイツ」程度に見ておく方が、ストレスにならなくていいかなと、思ったりなんかするんですよね。
反捕鯨のアイコン
確かポールちゃんは、かつては捕鯨よりもアザラシ漁への嫌悪が強く、ある時は千頭以上のアザラシに塗料か何かをぶっかけて、毛皮に価値がなくなるようにして妨害してた過去がある。
あのトドみたいなポールちゃんのことだから、鰭脚類のアザラシが捕獲されている様子を目の当たりにして、キレてしまったのかもしれない。
さらに昔には、唯一の友人だったビーバーが罠にかかって死んでしまい、ブチ切れたポールちゃんは周辺の罠を片っ端からメチャクチャにしたらしい。
つまり、ポールちゃんはその昔、鯨のことをなんとも思っちゃいなかった。
世間の弾かれものたちが集まって「波を立てるな委員会」などと名乗って核実験反対なんかの活動をしていた頃(後のグリーンピース)に合流したポールちゃんは、が、そろそろ活動が頭打ちになってきた頃に反捕鯨が活動の主題になってきた頃に、「鯨もだけど他の海棲哺乳類も活動に含めろ!」と仲間と揉めて、グリーンピースを追い出されたわけなんだけど、その後に船を手に入れて、最初にやったのが、前述のアザラシ漁の妨害だったそうだ。
ニュースにも出てた、かつてのセックスシンボルのブリジット・バルドー(妨害船のスポンサーにもなって、船名にもなってたね)との縁も、その頃かららしい。
でも、色々手を出してみたけれど、一番話題になって、金にもなるのは、反捕鯨だったと。
理由の一旦は、一九七二年のストックホルムで開催された「国連人間環境会議」の中で「商業捕鯨モラトリアム(鯨が減りすぎちゃったからしばらく獲るのやめそうぜ!みたいな話)」が話題に上がって、「鯨一頭救えずして、環境は守れない」なんてスローガンがあったかどうかは正直知らんけど、世の中がそういう方向になったからだと思う。
この時に、環境のシンボルとしての鯨が生まれたわけだが、そもそも鯨が激減したのって、欧米の捕鯨業者が過剰に捕獲圧をかけたからで、最後の南極でもイギリスのつまんないプライドのせいでノルウェーがブチ切れて捕鯨母船を爆誕させちゃったからで、世界中が捕鯨母船を開発して南極海の捕獲圧に拍車がかかった結果なんだよね。
それを問題のすり替えで、主に日本人に責任を押し付けてきてるんだから、欧米社会の振る舞いって、本当に身勝手なもんだよなぁ……。
話が脱線したけれど、ポールちゃんも金にも目が眩んだのか、話題になりたかったのかは知らんけど、捕鯨の妨害活動に精力的に参入してきた。
で、そんな中で、トラウマを植え付けられてしまう。
そのトラウマに関しては、こちらの動画を参照してほしい(とてもうまく編集されているので、観てて面白い動画です)。
ノルウェーの沿岸警備艇にガチでやられてしまい、相当ビビったことだろう。
アザラシ漁を妨害されたカナダも対策に本腰を入れる中で、リスクがなくて印象操作がしやすい相手として選ばれたのが、残念ながら日本の調査捕鯨だったと。
で、アニマルプラネットなんかを引き込んでホエールウォーズを華々しくでっち上げたり、ロイ・シホヨスやリック・オバリーなんかの「ザ・コーヴ」の二匹目のドジョウ狙いかは知らんけど、毎年活動家を日本の田舎に送り込んでたりと、やたらと日本に絡んできたと。
そんな彼は、今や反捕鯨のアイコンであり欧米ではヒーローである。
僕からすれば「お前らみんな馬鹿なんじゃねーのか」と思ったりしてしまうんだけれど、あちらでは世の中そういうものらしいです。
長えと言われそうなので
そろそろ終わろうと思うんだけど、個人的に思うのは、ポールちゃんもいい歳だし、かといって彼以上の人材が育っている気配もしない(僕が知らないだけかもしれんけど)のと、日本の捕鯨活動が主に日本の近海に絞られたこともあるから、以前のように捕鯨問題が大きな話題になることは少なくなるんじゃなかろうか。
まあ、そんなつまんねえ話よりも、ヤオコーで売ってる三百九十八円のニタリクジラの赤身の刺身で安い焼酎をグビリとやりつつ、鯨を食べられる幸せを噛み締めたいなと、僕は思ったりするわけだ。
調査捕鯨の頃は、食べたくてもなかなか手に入らなかったんだよねぇ……。