「俺のメザスタ、盗まれたかも」と言い出したらどうする?
赤羽雄二さん『自己満足でない徹底的に聞く技術』で書かれているアクティブリスニングを実践中の畑中です。
友だちにメザスタが盗まれた?
我が家の小5長男、小2次男が、今はまっているものの一つに、メザスタがあります。
メザスタとは、ゲームセンターにあるゲーム機「めざせ!スターポケモン」の略称です。ゲームの世界で、ポケモンとバトルをして、勝つとメザスタタグが買えるゲームです。購入したタグは、ゲームのバトルに使用する以外にも、友だちとの遊び道具になっています。
どれも同じように見えるタグですが、子どもたちは、1枚1枚のキャラクターの名前やレベル、タイプ、強さなどを覚えています。タグに夢中になっている姿を見ながら、この情熱を他に向けたら…という雑念が浮かびますが、親の期待や小言になるので、脇におくようにしています。
タグは、ネットでも売り買いされており、1枚1000円以上の値がつくものもあります。我が子も、1000円以上するタグを数枚持っていて、大切にしています。
このタグをリュックにつめて、小5長男、小2次男が、地元の小学生たちが集まる学童とグランドが併設された公園に遊びにいくことがあります。
公園ではグランドでサッカーをしたり、砂遊びをしたり、鬼ごっこや遊具で遊んだりと流動的に動いているので、その間、リュックは公園に放置されています。
ある日、公園から帰宅した小2次男が、リュックに入れたメザスタを整理し始め、こんなことを言い出したのです。
小2次男:「あれ?超大事にしているタグがない。盗まれたかも」
私:「えー、盗まれたりする?」
と、つい反応してしまいました。
こんな状態で、リュックにつめこまれているので、
もともと、リュックに入っていなかったんじゃないの?とか、
どっかに落としたんじゃないの?とか、
友だちと遊んでいる間に、交換されちゃったんじゃないの?とか、
そんな手癖の悪い子っているかな?とか、
人を疑うのは良くないよ とか、
盗られたら困るものを持っていくのがいけないよ、とか、
言いたいことや確認したいことがありましたが、一旦、雑念は脇に置き、アクティブリスニングをすることにしました。
私:「盗まれたかもしれないと思うんだ」
小2次男:「うん。りく(仮名)が、俺が砂遊びしているときに、勝手にリュックを触っていたから、「やめて!」って言ったんだよ」
りく君は、小学4年の男子です。
りく君の弟とし君(仮名)は、小2次男と同級生で、最近、我が家によく遊びに来ており、小5長男とも友だちです。
小2次男:「でも、りくが「見るだけだから見せて」って言うから「いいよ」って見せてあげたんだよね」
そんなやりとりまでしているのに、盗んだりするかな?と、
雑念が浮かびますが、一旦、脇に置き、
私:「そのときに、盗んだかもって思うんだ」
小2次男:「だって、おかしいもん。超大事にしているタグだけなくなっているの」
私:「そうなんだね」
小2次男:「明日、聞いてみる」
私:「うん。そうだね」
と、ここで、小5長男が口を挟みます。
小5長男:「りくに聞いても、本当のこと言うかわからないよ?としに、りくのリュックを確認してもらうのがいいんじゃない?」
小2次男:「そっか。明日、としと遊ぶ約束しているから、頼んでみるか」
子どもたちが、どうするか考え出しているので、そのまま黙って聞いていました。アクティブリスニングをしていると、子どもが考えていることや感じていることを聞かせてもらえます。
聞きださなくても、子どもの人間関係も知ることができるので助かります。
盗まれたかどうかを確認する
翌日、とし君が、約束どおり我が家に遊びに来ました。小5長男が、とし君に事情を説明して、子どもたちは、とし君の自宅に向かいました。
しばらくして我が家に帰宅した小5長男が、結果を教えてくれました。
小5長男:「やっぱり、りくが、小2次男のタグ、盗んでた。としが、りくのリュックから見つけてくれた」
私:「え?本当に?」
小5長男:「うん。としに探してもらっている間、家の外で待ってたら、しばらくして、お母さんのすごい怒鳴り声が聞こえてきた。めっちゃ、りくが怒られてた」
私:「そりゃ、そうなるよね」
小5長男:「お母さんも、相当ショックだろうね」
私:「そんな風に思うの?」
小5長男:「当たり前だろ。自分の子どもが人のものを盗んだって知ったら、悲しいだろ」
私:「そうだね」
小5長男:「でも、としも、親からメザスタしちゃダメって言われているし、お小遣いもないから、欲しかったんだと思うよ」
私:「そうなんだね」
子どもの話をアクティブリスニングしていると、自然とどんなことを考え、感じているのかを聞かせてもらえます。
きっと、りく君も人の物を盗んではいけないことくらい知っているし、わかっていると思います。
でも、盗んでしまったのです。
問題の本質を見極め、解決するには、アクティブリスニングです。
怒られれば、自己防衛で怒られないように嘘をつくことになります。
そこに至った経緯を丁寧にアクティブリスニングできれば、行動の問題の本質が見極められます。そうすれば、その子自身の存在は否定せず、認めてあげながら、問題行動を変化させることができます。
子どもは、どんどん親の手から離れて自分の世界で、自分で行動を決めていきます。子どもに何かをさせないことでコントールすると、どこかで歪みが出ます。
こんなことがあると、つい「良かれと思って」
お友だちでも、こういうことがあるから気をつけなさい とか、
あなたたちは、絶対に人の物を盗んではいけないよ とか、
物を盗んだりするような子とはあまり付き合うのやめな とか、
言いたくなります。
でも、アクティブリスニングをしていると、親がそんなことを言わなくても、子どもは自らの経験を通してそれを学んでいることを知ることができ、余計なひとことを言わずにすみます。
アクティブリスニングをしていると、子どもを信頼できるようになるのです。
子育てをしていると不安や心配から、子どもが失敗しないように、困ることのないように、過護・過干渉になりがちですが、アクティブリスニングをしているとそういった力みがなくなります。
力まずに、子どもたちが学び考え、感じていることを聞かせてもらえるようになると、子どもは、それだけで、健やかに育っていくように思えて、安心して子育てができるようになります。
アクティブリスニングは、この好循環を回すことができます。
苦しくつらい子育てから抜け出し、家庭を安全基地にしたい方へ、情報を更新しています。
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