心理学の知見:ライバル心が沸き起こるほどにあなたは不正に手を染める。
「打倒〇〇!」と、ライバル心に火がつけば、とてつもないエネルギーになり、僕たちは新たな高みにいくことができます。
ところが、このライバル心。
行き過ぎると、不正に手を染めてしまうリスクが格段に高まることが指摘されています。
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ニューヨーク大学、コロンビア大学、ケンブリッジ大学などの研究グループは、ライバル心と不正行為の関係について調べた。
調査1
イタリアのトップサッカーリーグであるセリエAは、同じ都市に複数のチームがあり、これらのチームはお互いに強いライバル心をもっていることで知られている。
この研究グループは、このリーグの2,788試合(2002年~2009年)を分析し、以下が分かった。
同じ都市からのライバル同士の試合のとき、イエローカードがより出されていた。ライバル同士の試合は6.0枚、非ライバル同士の試合は4.3枚だった。
レッドカードも同様の傾向で、ライバル同士の試合は0.5枚、非ライバル同士の試合は0.3枚であった。
調査2
243人の成人に、オンラインの交渉ゲームに参加してもらった。
ゲームに参加する前に、次のどれかの質問に答えてもらい、ライバル心が高いグループ、低いグループ、ニュートラルなグループを作った。
①高ライバル心グループ:今まで何かで競争し、ライバル心をもった人を思い出してください。
②低ライバル心グループ:今まで何かで競争したが、ライバル心をもたなかった人を思い出してください。
③ニュートラルグループ:知人を誰か思い出してください。
この後、交渉を行ってもらい、どれだけの人が相手に嘘の情報を伝えているかを調べた。
相手に嘘の情報を伝えていた割合
①高ライバル心グループ:47%
②低ライバル心グループ:25%
③ニュートラルグループ:19%
高いライバル心をもった人のおよそ半分(47%)が相手をだましていた。他のグループより格段に高かった。
さらに、なぜ相手をだますのかを調べてみると、高いライバル心をもった人は、相手に勝たないと自分が否定されるように感じ、相手を打倒することに強い執念をもちやすく、その結果、相手をだましやすかった。
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「自分は不正に手を染めないよ」と思っていたとしても、ひとたびライバル心が刺激されれば、不正行為を行ってしまうリスクが高まるといえそうです。
それも、昔ライバルだった人のことを思い出すという、ほんのちょっとしたことで相手を格段にだましやすくなるのですから、注目に値します。
たとえば、「打倒競合!」といったスローガンの打ち出しや、営業成績のチームやメンバー間の比較などは、ライバル心を引き出しますので、行き過ぎないことが大事ですね。
また、自分の中にライバル心が生まれていることに気づくことができれば、適切に対応できそうです。
ライバル心とどのようにつきあっていきましょうか。
Kilduff, G. J., Galinsky, A. D., Gallo, E., & Reade, J. J. (2016). Whatever it takes to win: Rivalry increases unethical behavior. Academy of Management Journal, 59(5), 1508-1534.
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