経営学の知見:なぜ親の年収が低いと、子供も低いのか?
親が下流階級だと、その子供の収入も低くなることが知られています。
ところが、子供がいい教育を受けたり、いい仕事についていても、親が下流階級だとやはり子供の収入は低いのだそうです。#なぜ?
この理由を明らかにした論文がこちらです。
アメリカのデータなのですが、とても示唆に富んでいると思いました。
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Boise州立大学のFangらは、アメリカの各種データベースにもとづいて、親の社会階級(教育・仕事・年収)と子供の年収の関係を調べた。
親が上流階級だと、子供は裁量のある仕事につきたいと思う傾向があった。理由は、子供は個人の意思を尊重されて育つから。
裁量のある仕事は、権力を伴う仕事のことが多く(経営者など)、年収が高くなりやすかった。
親が下流社会だと、子供は人を助ける仕事につきたいと思う傾向があった。理由は、小さいころから周りの助けがないと生活できなかったから。
人を助ける仕事(先生、看護師など)は、相手がお金を払えないなどの理由から、年収が低くなりやすかった。
同じような教育を受けていても、いい仕事についていても、親の社会階級によって、子供は志向が変わり(自分の裁量 or 社会貢献)、年収に違いが出ることが分かった。
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日本ではどうでしょうか。同じような状況かもしれませんね。
自分の裁量権を大きくしたいと思うほど年収があがり、人に役に立ちたいと思うほど年収が下がる。
複雑な気持ちになりますが、データはそう語っています。
Fang, R. T., & Tilcsik, A. (2022). Prosocial Occupations, Work Autonomy, and the Origins of the Social Class Pay Gap. Academy of Management Journal.
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