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【成長の罠】


ジッポーが目の前にかかげられる。

老人はその無駄のない美しさに目入る。

完璧な形、精密な作り。

1世紀ものあいだ変わってないデザイン。

指ではじくと、蓋があく。

親指でホイールを回し、

フリントにぶつける。

火花が散り、炎が出現する。

M・W・クレイヴン

『ストーン・サークルの殺人』

p.10


さて、問題です。



ジッポ。

注射器。

コカ・コーラ。





コレらの共通点は、なんでしょう。





正解は、

100年近く

製品が変わっていないということ。







完璧な

機能性とデザインは、

それを使わないことを本能的に嫌う。



1985年、

全米が激怒した

「カンザス計画」という事件がある。



コカ・コーラ社が

新たな味を模索しようと計画し

「ニュー・コーク」という名前で

伝統を覆し、

ライバルのペプシを倒してしまおうと

考えた計画のこと。



コレが、大失敗で

誰も新しい味なんて求めてなく、

いままでの「あの味」を返してくれー

と、全米がぷんぷんした。





株式のことを

学んでいくと

新しい発見がたくさんある。



代表的なものに

「なんにもしない」作戦と

「成長の罠」がある。



「なんにもしない」というのは、

いろんなところで

聞いたことがある人が多いけれど

「成長の罠」は、

とても、興味深い

考え方に思える。





モノの形を変えず

創作を続けていくというのは、

とても忍耐力がいるし

同じ地点に、

とどまっている感覚に陥る。

かく言う自分も工場で

25年間、変わらない製品を数点

毎月のように生産し、出荷している。



日本のトイレタリーメーカーは、

常に「新製品」を発表するけれど

フランスのメーカーは、

伝統ある製品を作り続けている。





ジッポや、注射器、コカコーラ。



成長しないことが

良いことではなく、

成長しなくても良いということ。



そして、

こと株式投資に関して言えば


「企業の増益率」が

問題ではないということ。



たとえば、

エヌビディア。



この会社がどれだけ

利益を上げようとも、

世界のAI市場を席巻し、

爆発的な成長を促していったとしても、



その「実際の増益率」が

僕たち「投資家」の期待を

「上回るかどうか」

この1点にかかっている。



これらの考えを総称して

『成長の罠』という。

未来の成長を

今の株価が「ペタペタペタペタ」と

何枚にも重ねあわされ

折りたたまれているイメージ。

ジェレミー・シーゲルの名著

『株式投資の未来』で

真っ先に読者に伝えたい内容が

この考え方だと思う。



たくさんの書籍で

いま、焦らず

自分のペースで

じっくりと学んでいる。



今のところの自分の回答は

「S&P500」を毎月

10万円を

SBI証券でクレカ積立する。





この動きを淡々と、ただただ、シンプルに

積み上げていく。



これ以外なく、これ以上ない。





最高を求めない。

夢や希望ではない。

現実の金銭の多寡は、

そう言った次元で捉えない。


最低でも、最適な判断を

確率的に高いものに

ベットし続ける。







投資家の期待が未知数な

エヌビディアは、

僕は買わない。





新しいコーラ。

飲んでみたかったけど。笑




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