見出し画像

機械みたい

僕は、

製造業を26年やっている。

四半世紀、機械と対話し、

同じようなたくさんの製品を、

盛りだくさんに作ってきた。

そんな自分が

今日『人間ドック』に行って

炭酸を口に含み、

水で流し込む。

バリウムを一口、二口と

胃に少しずつ、入れていく。

人間も機械みたいだな。

そう思う。

専用のブルーの

ペラペラの衣装に着替え

紙コップを渡される。

じゃあ、神鳥(かんどり)さん

検尿からお願いします。

紙コップは、入って右手ね。

と、

あの。

お言葉ですが、

わたくし人間やってます。

そんな紙コップ片手に

青い「◎」を眺めているくらいでは、

おしっこなんて

おしっこな、

お、出るやん。

すぐ出た。

ボタンを押したらランプのつく機械のように。

検査がひととおり終わり

担当の医師に

いろんな話を聞く。

結果、

「問題なく、変わりなく、いつも通りに大丈夫だった」

ほっとする。

「医者に、なんともない」と言われ

すぐにホッとする。

機械みたいだな。

そう思う。

帰り、

下剤2錠と、コメダの(名古屋発の喫茶店)チケットをもらう。

声を出して喜ぶ。

機械みたいだな。

そう思う。

「かんどりさん。今日は水多く飲んでね。

下剤は、2錠いっぺんにお願いねぇ」

自分の工場へ戻り、

水の蓋を開け

下剤2錠を飲む。

バナナも1本食べる。



1分もしないうちに

お腹が鳴る

「キュる。キュるるるる」

ウソだろ。

そんな、すぐ効果あるものなのか

トイレへ駆け込む

用を足す。

機械みたいだな。

そう思う。

トイレを出て、

会社の扉を開け、

車に戻ろうと、

歩いていると、

ミニスカートの色白で

ポニーテールの女性が歩いている。

すぐに。

目がいってしまう。

機械みたいだな。

そう思う。

人間が、

人間を元に

設計し、作ったモノだから

人間に近いように作られるのが

機械だとしても、

あまりに機械だった。

これから

さらにAIが進化し、

人間の知能を超え、

はるかに優秀な機械が作られていく。

機械みたいだな。

そうシンプルに言えることも

なくなっていくのかもしれない。

そう言えば、

AIを搭載した

隣り合う2匹の熊のぬいぐるみが

こういっていた。

「人間みたいだな」

「そう思う」





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?