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研究に対する誠実さ(インテグリティ)を常に自分に問う
最近研究インテグリティに関する課題や相談が立て続けにいくつかありました。
そもそもこれが課題になってはいけないのかもしれませんが…。
某著名な教授に言われた事を引用します。
「研究者は私たちの社会で特権的な役割を担っている。私たちには真実を探求する時間と手段が与えられている。しかしながら、悲しいことに、医学研究は真実よりも野心を優先する人々でごった返している」
Researcher have a privileged role in our society - we are given the time and the means to search for the truth. But, sadly, medical research is crowded with people that put ambition before truth.
とりあえず論文書く、IFの高い雑誌に出す、というのも結果論であるべきで、そちらがゴールになることも上記に該当するのでしょう。これは研究初心者にとっては当然かもしれませんが、研究をある程度行ってから見ることで「そうなんだよなあ…」と思うことがあるかもしれません。
同様に、こんな感じの相談も受けました(一部改変)。
『偉い先生と一緒に行う研究で、その先生の意向を踏まえて出さない結果とかがあったり、cherry pickみたいな形になることがあって悩んでいます』
これは僕もずっと悩んできました。
でも他人の考え方や人間関係というのは時間をかけないと変わらない部分であり、立場が下の者が言ってすぐに変わるなら苦労はしません。
どこかでOKを出すと、それがOKになっていくというのもありますから、最初の研究の時点でこれを教育できるかどうかは大事なんでしょう。
データを捏造しないとかそういうレベルの話から、共著者選択もそうですが、自分の仮説に対して不都合な結果が出た時にどうするのか、それを出すのか出さないのかも研究インテグリティであり、それを防ぐためにはちゃんと研究計画書を書いて、何を事前に出すのかを詰めるのは大事なのだと改めて思います。
研究計画書が大事と言われると思いますが、多分この認識の重さが結構違う。
一方で、データを見てはじめて分かることもあるので、計画の段階で全てを詰め切るのは難しく、その狭間で「あきらかな不正ではないかもしれないけれど、研究インテグリティには欠けている」ということが出てくるのかなと。
Publishや自分のキャリアが優先になってしまうがために、このグレーゾーンをどう考えるか?という視点と「お天道様は見ている」という気持ちを心に持っておくことを伝えていきたいなと改めて思っています。