次なるステージへ。高松亜衣がヴァイオリンを弾く理由。
2020年に東京藝術大学を卒業し、全国でツアーなどを成功させてきたヴァイオリニスト高松亜衣。
次なるステージを目指している彼女に今後の展望をインタビューしました。 (インタビュワー:道下京子)
――― 現在、主にどんな活動をしていますか?
クラシック音楽のプログラムのリサイタルやコンチェルトなどで演奏しています。それから、クラシック音楽のコンサートだけれど、「クラシック音楽って難しいなぁ」と思っている人でも楽しいと思えるような、ライトなコンサートにも取り組んでいます。
例えば、少し前にYouTubeの「ザ・ベスト10」というコンサートをやりました。遊び心を入れてクラシック音楽を演奏していくコンサートです。
そのほかに、YouTubeを週2回ぐらいのペースで投稿しています。
メインにしているのはクラシック音楽ですが、時々映画音楽やクラシック音楽ではないような曲を入れつつ、クラシック音楽ってあまりわからないという人でも入りやすいような、親近感の湧くような曲をとり上げています。
何百年も前に作られた、しかも遠くヨーロッパで作られた音楽がいま日本で受け継がれている…
曲の一つひとつにはいろんな背景があり、そこがとても面白いのです。
まさにストーリーですよね!YouTubeの投稿でも、そういうところも伝えられるように心がけてやっています。
あと、最近、「Colourful」というコンサートをやりました。このコンサートの帰り道がいつもよりも少しカラフルになりますように、というテーマでやっています。
大学4年生の時に始めたYouTubeは、たくさんの人に私の演奏を見て聴いていただくきっかけになりました。その時、自分で企画したリサイタルを「Colourful」と名づけてやりましたが、そのシリーズとして、この間は「Colourful Ⅱ」を開催しました。前半はモーツァルトの《ヴァイオリン協奏曲第3番》などクラシック音楽を弾き、後半は私のオリジナル曲や日本の作曲家の作品、それから私のまわりの作曲家が作ってくださった曲を演奏して、過去と現在とを融合するようなプログラムです。それから、映像を使って視覚からも楽しんでいただくなど、いろいろ工夫しています。
どの活動にも、生活にいろどりを届けられるような演奏家でありたいと思っています。
――― ご自身の活動の特長を教えてください。
まずは、YouTubeを通して、場所的にも年齢的にも幅広い方々に音楽を届けられる状態を少しずつ作っています。そういう媒体をもっと大きくしたいなとも考えていて、それを武器にして、クラシック音楽の入口となるような演奏家になれればと思います。人に音楽を届けることを大切にしています。
――― これからの活動については?
最近、始めたプロジェクトがもうひとつあります。
「家族のための音楽会」という企画は、この夏に第2回を開催します。
普段、子どもたちが行けるコンサートってそんな多く開催されているわけではありません。
まず、お子さんが来ていただける環境を、私のコンサートで作ることから始めたいです。それから、子育てをしているお母さんやお仕事しているお父さん、おじいちゃんやおばあちゃんと、家族みんなで一緒にコンサートへ行く機会ってあまりないと思います。人数が増えれば増えるほど、チケット代もどんどん膨れ上がってしまいます。そういうことを解消できればいいなと思っています。0歳から小学六年生とそのご家族を対象としていて、何人でも入場無料です。
それから、まだ具体的に形にはなっていませんが、寝たきりの方おひとりに対しても、心と心でつながれる活動をしていきたいと以前から強く思っています。そのプロジェクトの最初として、自分がまず動き出せる形が「家族のための音楽会」で、これからも続けていきたいと思っています。
――― プログラムを組む時のこだわりを教えてください。
まず、本格的なクラシック音楽は、必ず入れるようにします。でも、ずっとそれだけですと、お子さんはつまらないと思うし、日常ではなかなか聞けない曲はとり入れつつ、広く知られている作品も入れて、お子さんも一緒に手拍子したり身体を動かしたりもしつつも、大人に刺さるようなオトナチックな曲も入れて、「あの曲、あの時を聴いたなよね」と印象に残るような曲を入れるようにしています。
――― 本格的なクラシック音楽のプログラムを選ぶとき、心がけていらっしゃることは?
何百年も前の音楽ですが、どこかでつながっている場合が多く、面白いストーリーはかならずあるのです。
春先には、無伴奏のヴァイオリン曲のプログラムで全国ツアーを行ないました。無伴奏のヴァイオリン曲って、ヴァイオリニストが作ったものが多くて、ある作曲家が誰かのために曲を書いたという話はたくさんあります。
それから、9月のリサイタル(王子ホール)のプログラムは、メンデルスゾーンの《ヴァイオリン・ソナタ》作品4や《ピアノ三重奏曲第1番》など演奏します。メンデルスゾーンについては、《ヴァイオリン協奏曲》は有名ですが、その他のヴァイオリンの曲って広く知られているわけではないのです。メンデルゾーンのオーケストラ作品も好きなことと、メンデルスゾーンともう少し向き合いたいとの思いもあり、9月のリサイタルではメンデルスゾーンをとりあげます。
――― 高松さんは、タクティカートとエージェント契約をしていますね。
タクティカートのスタッフのみなさんに、たくさん相談したり意見をいただいりしています。
演奏をしていると、それだけでいっぱいいっぱいになってしまいますが、サポートしてもらえるので、ここまで何とか活動を続けることができています。
タクティカートと一緒にやってよかったと思うのは、コンサートの時に自分がやりたいことをバンバン言っても叶えてくれるところです。これからも、やりたいことを形にするときにどんどん言って、実現させたいと思っています。
――― 高松さんは、ソロ活動とともに、タクティカートオーケストラのメンバーでもありますね。
同世代で集まると、サークルっぽい雰囲気になりがちです。でも、タクティカートオーケストラにはプロ意識と言いますか、私がとても尊敬する同世代の演奏家がたくさん乗っているので、短期間のリハーサルや本番での燃焼度の高さとか、勢いがあって若くて楽しいですね。
――― これからの意気込みをお聞かせください。
いまも、いろんな思いがあふれ出ていていますが、目の前のことをひとつずつ大切にして、一歩ずつ進んでいき、数年後には違う未来が開けている…そうなれるように頑張ります。
【高松亜衣 公式サイト】https://www.aiai-violin.com/
【Twitter】
https://twitter.com/ai1210vn/
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【Instagram】
https://www.instagram.com/takamatsu_ai/
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