マンU、テン・ハグ監督大ピンチ!サンチョとの確執による影響について
今日はマンチェスター・ユナイテッドのテン・ハグ監督が、かなりヤバい状況にあると感じたので、簡単にその説明をしたいと思います。
サンチョの反乱の状況説明
チームと監督、メディアが一体となってサンチョを叩く
既にニュースにもなっていますが、一応状況を説明します。
アーセナル戦のアウェーゲームを1-3で落とした後、テン・ハグ監督が記者会見で「サンチョが使われなかったのは何故か?」という質問を受け、こう答えました。「サンチョはトレーニングで良くなかった。ユナイテッドの選手は常に一定の力を見せる必要がある」
これにサンチョがSNSですぐさま反発。「僕はトレーニングでは素晴らしかった。ずっとスケープゴートにされている」と怒りの投稿を見せました。
このサンチョの反応に対し、テン・ハグ監督はチームと連携して、サンチョのSNS投稿を削除させ、さらにサンチョが謝罪するまでチーム練習から追放するという、超強硬策に出たのです。
同時にニュースでは、サンチョは練習に遅刻するクセがあるなどと、サンチョを叩く方向でメディアも動きました。
アントニーのDV問題が同時に勃発
サンチョのニュースとほぼ同時に、サンチョと同ポジションのアントニーがDVで告発されるニュースが流れています。
警察の捜査を受け、ブラジル代表から除外された事を踏まえ、ユナイテッドもアントニーとしばらく距離を置く事を宣言しています。
グリーンウッドのDV事件(全ての証言者が一斉に証言を取り下げて起訴取り下げとなった)が直前にあったので、このアントニー事件は「またか」とユナイテッドファンに思わせた事でしょう。
これにより、サンチョとアントニーで回していたユナイテッドの右サイドは、いきなり誰もいなくなってしまったのです。
移籍市場が閉まった直後というタイミングで。
現状サンチョに味方は少なそうだが、状況はサンチョに味方する
という訳で、ユナイテッドは一刻も早くサンチョに謝罪させ、チームに復帰させなければなりません。
しかし代表ウィーク終了後も、サンチョの処分はそのままです。
そしてブライトン戦はホームで1-3で敗北してしまい、テン・ハグ監督の進退問題にまで発展しつつあります。
またブライトン戦は、戦術上の理由から4-3-1-2システムを採用して、ボールを回すブライトンのダブルボランチに圧力をかける右ウィングを必要としない形にしたので、とりあえずサンチョの不在はそれほど影響しませんでした。
しかしユナイテッドの基本フォメは4-2-3-1である以上、こういう誤魔化しにも限界があります。
チームモチベーションへの影響も、少なくはないでしょう。
サンチョに対するテン・ハグ監督の問題点
テン・ハグ監督のやり方は下策
サンチョの遅刻癖等を問題にし、サンチョを緩いチーム規律の象徴のようにまでしてしまったテン・ハグ監督の強硬策は、サンチョの言う「スケープゴート」を裏付ける形になってしまっています。
テン・ハグ監督は、元々甘いチームに規律を植え付けたかったようで、ここぞとばかりにサンチョを叩き、チーム改革をするような話にすらしています。
しかしそれは本来であれば監督就任直後にやるべき事であり、ここまで一年近く放置した上で選手が反発したからやってやる、みたいな形で始めるべき事ではありません。
また、テン・ハグ監督のコメントからは、規律上サンチョの行動は許されないという話に終始し、サンチョの言う「練習では良かった」「スケープゴート」という話は無視しています。
実際にサンチョの処分が終わってない事からも、恐らくテン・ハグとサンチョの会談は平行線で決裂したのでしょう。
サンチョ一人もコントロールできない
サンチョの規律は確かに緩いのかもしれず、遅刻癖も治らないのかもしれません。
しかしそれは、サンチョが一人がただ悪いという結論になるのでしょうか?
基本的に、ビッグクラブに高値で買われるような若くて有能な選手は我が儘であり、そういう選手を指導する事も監督の業務の一つに含まれます。
またそういう選手に言う事を聞かせる為に必要な能力の一つに、カリスマ性があります。
ビッグクラブの監督に、かつてのレジェンドや名選手を連れてくる事が多いのは、まさにこの為です。
ユナイテッドはこういう所でも迷走しており、ラングニックやテン・ハグでは、チームを掌握するカリスマ性が足りないのは分かっていました。
クリスティアーノ・ロナウドが去った後に、「誰だか知らない男が監督に来た」と吐き捨てたのは、そういう一面を正しく指摘していたのです。
もちろんポステゴクルーのような例外もいるのでサッカーは難しいのですが、まあユナイテッドとトッテナムではクラブ規模も違いますからね。
グレイザー一家によるユナイテッドの迷走の歴史
ファーガソン後の監督の歴史
ファギー後のユナイテッドの監督を軽く見てみましょう。
・モイーズ
元々中堅クラブが適正の監督であり、基本的にカウンターとサイド攻撃の監督。
サイド攻撃はできたが、攻撃重視とファギーのようなモチベーションアップができず、クロスに終始しただけの監督になった。
・ファン・ハール
典型的な強硬的オランダ人監督。
「ルール1・監督の言う事は全て正しい」「ルール2・監督の言う事は間違っているかもしれないが、ルール1が即座に適用される」は有名な逸話。
時代遅れなポゼッションの監督であり、ポゼッションした後の崩しは選手任せなので、ボールキープしても点が入らない退屈なサッカーに終始した。
またチームをオランダ人だらけにしてしまう同胞主義者でもあり、バルサをオランダ人まみれにした過去を持ち、ユナイテッドもその例に漏れなかった。
・モウリーニョ
ポゼッション監督の後に、何故か完全なカウンターの監督を呼んでしまい、オーナーが何も考えずに名前だけで選んでる事を感じさせる。
ELやカップ戦を取ったが、守備重視とワンマン主義によってチームはバラバラだった。
・スールシャール
「ストライカーは監督に向かない」という、私の持論を体現した監督。
ストライカーは基本的に点を決めれば良く、「俺が決めるからお前らは俺にパスを寄越せ」という俺様思考になりやすく、チーム全体を見るには向いていない。
オーレもやはりその例に漏れず、戦術不足や稚拙な交代策を指摘された。
・キャリック(暫定)
おそらく最もユナイテッドに向いていた監督。
しかし何故かディレクターに就任予定だったラングニックを監督に据え、追放されてしまう。
グレイザーによる最も愚かな決断だったと思う。
・ラングニック(暫定)
ロナウドに誰だお前と言われ、カリスマ不足でチームを掌握できず終了した。
・テン・ハグ
現在。
ファーガソン以降、チーム運営が全くできていない
見ての通り、戦術も方向性もバラバラです。
特にモイーズ・ファンハール・モウリーニョの繋ぎは、何がしたいんだとしか思えない物であり、一貫性など少しも持っていない事が分かります。
さらに選手や監督にお金を使う一方で、インフラ等はほぼ放置だった事をクリスティアーノ・ロナウドが暴露しています。
グレイザー一家が、目立つ部分と金儲けにしか興味を持ってない事が良く分かるでしょう。
ユナイテッドの元凶は、間違いなくグレイザー一家です。
そして現在の監督、テン・ハグとはどういう監督か
まず彼はアヤックスで一時代を築き、CLでも躍進させました。
その実績をもってユナイテッドが引き抜いた、という単純な形ですね。
そのスタイルは典型的アヤックススタイルで、ポゼッション&ウィングによるサイド攻撃が基本だったはずです。
しかし、リサンドロマルティネスやアントニーという部下をアヤックスから引き抜いた割に、テン・ハグがユナイテッドでやっているサッカーは、何とカウンターサッカーです。
後ろから繋ぐサッカーをやらせればミスだらけで、組み立ても崩しも安定しませんでした。
元々アヤックスはクライフ時代から一貫したシステムで続けていただけあって、テンハグは自然とアヤックススタイルでやれたのでしょう。
しかしユナイテッドは、監督の歴史を見ても分かるように、核としたスタイルが雲散霧消しているチームです。
ファギー30年時代を考えれば、サイドアタックと強烈なストライカーと戦う意思によって相手をやり込める、攻撃的スタイルという形になるでしょうが、そのスタイルを取り戻せそうなキャリックはあっさり解任されました。
そんなバラバラなユナイテッドに、テン・ハグというカリスマ性の足りない監督で、アヤックススタイルを定着させられますか?
答えはもちろんNOです。
テン・ハグという監督は、就任直後から今まで、ずっと正解が分からず迷走しているのです。
しかし、選手の質とその場凌ぎ最適解によってCL権を取れているのですから、やはり有能ではあるのでしょう。
それでも、マンチェスター・ユナイテッドという世界一クラスのビッグクラブの監督は、厳しいと言わざるを得ません。
そしてサンチョの反乱、テン・ハグは何を思ったか
そんな折のアントニの離脱と、サンチョの反乱です。
アントニはテン・ハグがアヤックスから連れてきたとはいえ、DVの責任はさすがに負わせられないでしょう。
しかしサンチョの問題は別です。
これはテン・ハグの求心力の問題であり、何としても解決せねばなりません。
しかし、テン・ハグの対応を見てると、ファン・ハールに近い強硬策を取っています。強硬的なオランダスタイルです。
会談も決裂しているようですし、サンチョの訴えも無視している形です。
これはテン・ハグが厳しい状況の中での問題噴出に、もういい加減にしろという怒りの感情が発露してるようにも見えます。
ずっと甘めの対応を取っていたにも関わらずの怒り、です。
テン・ハグの現状
テン・ハグの現状は、かなり厳しいです。
チームスタイルも理想とは離れた現実路線を強いられ、優勝を目標にしなければならないクラブでCL争いしかできず、ライバルであるマンチェスター・シティからは果てしない差を付けられていて、追いつく気配も見えない。
一応CL権は取れましたが、ユナイテッドの監督としては手腕に疑問を持たれて当然です。
そしてシーズン開始直後にこの失態です。
テン・ハグが「いい加減にしてくれ」と思う以上に、チームもファンも「いい加減にしてくれ」と思っているでしょう。
サンチョへの対応はどうすべきだったか
時既に遅し
結論から言えば、こんな事になる前に、きついお灸を据えておくべきでした。
遅刻癖が多かったなら、多大な罰金を課し、繰り返しがあれば雪だるま式に増やすような厳しさや、家に監視役やお迎えを置くくらいの事はやっておくべきだったのではないでしょうか。
厳しく教育し言い聞かせ、それでもダメなら早めに放出する、そういう路線の強硬策を取っておくべきだったと思います。
それであれば、そこまでしたのにダメだった、という言い訳も立つでしょう。
しかしもう全てが遅きに失しています。
遅いと分かった上でも、違う対応ができたのではないか
大金を稼ぐクラックとはいえ、相手はやはり若者です。
大人としても監督としても、教育という観点から説得しなければならないでしょう。
強硬策も時には必要でしょうが、今まで述べていた理由により、今現在するべき事では無かったと思います。
まず自らの失点と思える事は謝ってサンチョの怒りを解き、その上であるべき道を歩む事を言い聞かせ、キャプテンと共に説得し、最終的にはサンチョに謝罪させる。
そういう硬軟取り混ぜた策を取れたのではないかと思います。
それができないという事は、テン・ハグもやはり若い監督であり、ユナイテッドの監督をするには力量、経験が不足していたのだと感じます。
結論
テン・ハグは、サンチョ問題により窮地に追い込まれる
私はもうテン・ハグの求心力には限界が来ていると思います。
やりたい戦術ができず、チームを掌握できず、その場凌ぎのサッカーを続けるには、このクラブは大きすぎるのです。
特に隣のライバルが、理想的なレールに乗って快適に走る今では、尚更でしょう。
サンチョ問題が理由というより、サンチョ問題がきっかけとなって塞いでいた数々の問題が噴出し、チーム内での求心力を失うという未来が見えてしまいました。
結果、チーム内のモチベーションが落ちてしまい、強敵揃いのプレミアリーグで勝てなくなります。
5節消化の時点でユナイテッドは2勝3敗の勝ち点6,現在13位です。
既にその兆しは見えています。
テン・ハグの解任は近い
普通に考えれば、テン・ハグは近い内に成績不振とチーム内ゴタゴタを理由として、解任されると思います。
ただ、チームを売る寸前で売れなかったグレイザー一家が、今後どういう行動に出るでしょうか?
そもそも、ちゃんとチーム運営する気があるのか?というレベルから不安になってしまいますが、まあ高値で売る為にはユナイテッドブランドを維持しなければならないでしょう。
なのでグレイザー一家と言えどこの成績不振を許せるはずはなく、やはり解任でしょうね。
グレイザー一家には、我慢する理由も意味も無いでしょうし。お金がもったいないとか思わなければですが。
テン・ハグ解任後
解任されてもグレイザー一家がオーナーのままなので、本質的には何も変わらないでしょう。
次の監督という話になると、今空いている有名所といえば、ナーゲルスマン監督が空いていますね。
ドイツ代表と奪い合い、金の力で強奪する、という事になるかもしれません。
そして、移籍市場閉鎖後のカウンターチームユナイテッドで、ナーゲルスマンがポゼッションを植え付けるのに苦労するという歴史を、また再現するのかもしれません。
「いい加減にしろ!」ですね。
まあその辺はグレイザー一家の胸先三寸なので、よく分かりません。
キャリックを呼び戻すのがベストだと思いますけど、バラバラのチーム掌握に苦労するのは変わらないでしょうね。
まとめ
かなり思い切った予想になってるかもしれませんが、如何でしたでしょうか。
断定的な結論にしましたが、もちろん外れる可能性もあります。
テン・ハグが凄まじい求心力やカリスマ性を発揮し、チームを見事に纏める可能性も無いとは言えません。
もしくは、サンチョがプレッシャーに負けて謝罪し、チームも元の鞘に納まる事もあるかもしれません。
事実として、昨季は窮地から戦術転換で立て直し、CL権まで取っているのですからね。
ここから立て直してユナイテッドの基礎を築く事ができれば、もう一流監督とすら言えるでしょう。
まあ私はキャリック派だったので、キャリック回帰を願っています。無理でしょうけど。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
何か感じる物がございましたら、コメント等残して頂けると幸いです。
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