コリアカップ2023見聞
コリアカップ・コリアスプリント2023を現地観戦してきました。JRAで両レースの馬券が発売されないことと、広尾サラブレッドクラブのバスラットレオン&推し馬のクラウンプライドの2頭もソウルで出走すると判明したため「韓国は国内旅行感覚で行ける!」という理論から急遽渡航を決めました。
コリアカップ訪問ガイド
ソウル競馬場へのアクセス
コリアカップ・コリアスプリントが施行されるソウル競馬場は地下鉄4号線「競馬公園(キョンマゴンウォン)駅」前にあります。ソウル駅から地下鉄4号線一本でのアクセスです。
空港(特に仁川国際空港)からソウル市街地はそれなりの距離があるため、空港→KTXでソウル駅へ→ソウル駅から地下鉄利用で競馬場という移動経路で良いと思います。
ロッカーはソウル駅、競馬場どちらにもあります。またどちらもロッカーは空きが多かったので、今年の感じであれば好きな方に預けられると思います。ソウル駅のロッカーでも半日預けて2000~3000ウォン(2~300円)程度でリーズナブルです。
入場はフリー
開催回によっては入場券が必要な年もあったようですが、今年に関しては入場無料・登録等も一切不要でした。改札的なところはありますが、何も見せずに通過でOKでした。
韓国語わかんないけど何とかなります?
ソウル全般の話として、接客をする人の数人に一人程度はカタコトの日本語で応対をしてもらえます。困っている日本人だと分かると、だいたい日本語の分かるスタッフが来て助けてくれます。競馬場もこの例に漏れず、窓口に行って日本人だと分かると日本語の分かるスタッフが出てきてくれました。総じて接客は丁寧な側の国のようで、この方面で辛い思いをすることはありませんでした。あまり甘えすぎるのもどうかという話はありますが、だいたい何とかなるの精神で何とかなる方の都市でした。
レーシングプログラムについて
「外国人案内所」という窓口で、日本語や英語で書かれたレーシングプログラム(コピー機で印刷したものですが)をもらうことができます。場内での表示は海外馬も含めて全部ハングル表記をされるので、ハングルが読めない人はこれをもらいましょう。ハングルが読めない場合は本当にこれは必須で、レーシングプログラムを見ないと馬券を買うにしてもどの馬が何番ゲートからの発走になるのかすら不明になります。
馬券の買い方
韓国語は一切分からない、ハングルの発音法すら知らない人向けの馬券購入手順です。韓国語ができる人ならまた別の方法もありそうですが、現地で韓国語の案内は豊富なので、その場合は本稿を読まないでもどうとでもなると思います。
ソウル競馬場の購入の仕方は、日本の競馬場に慣れているとなかなか独特に感じるシステムになっています。流れとしては
有人窓口で現金をバウチャーに変換
マークシートを記入
自動券売機にバウチャー→マークシートの順に投入
なのですが、結構クセがあります。
バウチャーの購入
まずこれ、有人窓口という存在が外国人を遠ざけます。私が知っている韓国語はアンニョンハセヨとカムサハムニダだけなので有人窓口を回避したい気持ちになるわけですが、バウチャー自販機的なものはありません。諦めて有人窓口に行きましょう。
有人窓口の使い方はシンプルで「お金を渡す→受付のお姉さんが数えてバウチャーを発券」これだけ。一言もしゃべる必要はありませんでした。…なんでこれ有人なんでしょうね、雇用対策なのか自販機導入のイニシャルコストの問題なのか。
なお「競馬ガイド」のパンフレットがあり(日本語版も用意されています)、有人窓口で現金から直接馬券を購入できるかのような書き方をされていますが、韓国語がしゃべれないなら基本的に無理だと思った方が良いです。というか無理でした。韓国語をしゃべれない人は、一旦バウチャーの購入をおすすめします。
マークシートの記入
こちらは日本のものと大きく変わりはありません。日本のマークシートは鉛筆での記入ですが、こちらはマーカーペンでの記入です。
マークシートはハムスターの給水器のようなものがあちこちにあるので好きに取れますが、これはハングル+英語表記になっています。「初心者案内窓口」に行ってお願いすると日本語表記があるマークシートももらえるので、投票方式の韓国語も英語も分からない人は日本語併記版をもらうといいでしょう。何回かやると慣れてくるので、日本語併記版でなくても使えるようになると思います。
単勝や複勝、連勝系一点買いをする限りは日本のものと大差はないのですが、ボックスやフォーメーション用のシートは見かけませんでした。韓国競馬は全体的に射幸心を煽らないための規制が強いようなので、危険な購入方式は準備されていないのでしょうか?
馬券の購入
バウチャーとマークシートの準備ができたら、晴れて馬券を自動販売機で購入できます。バウチャー購入は有人でしたが、馬券は自販機です。
自販機操作の手順は
1. バウチャーを投入
2. マークシートを投入
3. 確認ボタンを押す
という流れで、分かってしまえばなんということはないです。ないのですが、日本語や英語の案内が書いているわけではないので理解するまで戸惑いました。
バウチャーと馬券購入額に差額がある場合は、バウチャーの形でお釣りが出てくるのでこちらは安心して購入できます。
私が初手でやった失敗としては「バウチャーを入れる前にマークシートを入れてエラーになった」があります。日本の競馬場ではマークシート投入→現金投入の流れだったので、無意識にその流れをやろうとしてハマっていた模様…
韓国競馬レポ
建物と設備
日本で言えば府中・東京競馬場に相当する国を代表する競馬場で、立派な建物が建っています。…が、東京競馬場と比べると全体的に少し古びている感は否めません。
令和の東京は建築ラッシュでピカピカの建物がどんどん建っていますが、平成前期は成長期が終わり全体的に古びていたものでした。ソウル全体がちょうどその頃の日本を彷彿とさせる街で、競馬場も相応の年季が入った状態でリフォームがまだという状態でした。
韓国競馬は競馬狂のおじちゃんたちが客層の主流で、最近のキラキラしている日本の競馬場に慣れているとカルチャーギャップを感じると思います。一昔前の鉄火場の競馬場・WINSの雰囲気がこんな感じだったのかなと思います。
設備面では日本の競馬場より先進的な部分も多く、ドローンを使ったカメラワークは素晴らしかったです。また特大の127フィートターフビジョンも良い。これ府中にも欲しい。
雰囲気
リメイクとクラウンプライドは強さを見せつけましたが、力の差通りに勝っただけの形であまりはしゃぐ気になれませんでした。現地勢も「まあそうだよね」という空気で、それはオッズにも現れていましたし、両馬優勝の時には見るからに盛り下がっていました。競馬場の雰囲気と合わせて、初期のジャパンカップで欧州の三流馬に蹂躙されていた頃はこんな状態だったんだろうかと想像しました。
わざわざ現地に来たのはコリアカップ・コリアスプリントの馬券がJRAから発売されないからというのが理由の一つでした。JRA発売海外レースは総じて海外馬の方がオッズがつくので、現地で馬券を買えば日本馬のオッズもそこそこついて渡航費を稼げるのでは…?!という目論見があったのですが、韓国の皆さんはすこぶる冷徹に「まあ日本馬が勝っちゃうよね」という空気のようです。もっと自国馬に判官贔屓してあげて欲しい。
今回だけの話をするなら、特にクラウンプライドは持ち込んじゃいけないレベルの馬だったのでは…?という印象すらあります。連勝した川田騎手のインタビューでの表情の固さが話題になりましたが、特に彼の性格だと無邪気に喜ぶ態度を取れないのも納得できる現地の雰囲気でした。このあたりは中継ではなかなか伝わりづらそうで、現地観戦して空気を吸えればこそ理解できた点だと思います。
一方でKRAは(色々あった中で)日本のトップホースを招待するという決断をしていますし、コリアカップ・コリアスプリントを機会に韓国競馬のレベル向上をしたいんだろうなという意図は随所に感じられました。韓国競馬界が現状の負けっぱなしで良しとするとも思えませんし、いつまでも日本馬の草刈り場に甘んじているつもりもないでしょう。ジャパンカップで日本馬が常勝するまでかかった時間より、コリアカップで韓国馬が勝つ時代までが短くても驚かないところです。
有料部分はオマケの競馬場で食べた飯写真です。気に入っていただけたら投げ銭をしていただけると嬉しいです。
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