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〜松田町に再び焼肉の火が灯る〜半世紀以上愛され続けたあの味が復活!

元祥苑、大松園という、二つの人気焼肉店が相次いで閉店し、松田町から焼肉店の火が消えてしまったのはもう1年以上も前のこと(その時の記事はこちら)。
それ以来、元祥苑のシャッターは閉まり続け、大松園の後には韓国料理の店(焼き肉ではない)がほどなくオープンした。
松田町民は、家族の幸せのひとこまであるはずの焼肉店での食事を、わざわざ隣町まで出かける必要に迫られるようになってしまったのである。

僕も妻も焼肉とセットでビールやらハイボールやらを飲みたい派なので、家から徒歩圏内だった二軒の閉店以来、おうち焼肉が我が家の主流となった。
安くあがるメリットがあるとはいえ、やはり焼肉店での食事は特別なもので、子供たちも「焼肉行きたい」と常々口にしていた。

僕が大松園で特によく利用したのが、焼肉ランチだ。
平日だけでなく、土日を含めた休日もやっていた。何にも予定がない土曜日、昼にマトンを焼きながら飲むビールは至福のひと時だった。あの発酵による発泡を感じる酸味のあるキムチの味が懐かしい。

大松園はもうない。
そう思っていた。
大松園後に韓国料理屋に変わってしまった店先で、偶然にもタイトル画像の即席に作られたメニュー看板を見つけるまでは。

看板のメニューを見ると、これ、大松園時代のあのランチとラインナップがほぼ一緒。復活したのか?

反射だ。
まさに反射的に店内に吸い寄せられた。

この急な階段をのぼるのは1年半ぶり

ガスロースター付きのテーブルが並んでいただけだった店内は、大きく変わっていた。
スタイリッシュなシルバーの丸テーブルが配置されている。ガスロースターはないが、代わりに排気用の配管が、各テーブルの上に垂れ下がっている。

丸テーブルに丸椅子

12月の日差しがいっぱいに差し込み、店内は暑いくらいだった。

店内奥の小上がりスペース

奥の小上がり席のテーブルからも、ガスロースターは消えていた。
僕以外、客は誰もいない。
出てきた店員さんも、やはり慣れ親しんだ大将や女将さんではなかった。
なんだか腑に落ちない状況だったが、僕は恐る恐るマトンランチと瓶ビールをオーダーした。

ガスロースターが炭火に!

昼間のビールで、冬の乾いた喉を潤していると、まさかの七輪が登場。ランチを炭火で焼けるのか!
マトンのタレの浸かり方も、見た目は大松園時代と似ている。

あの大松園ランチが蘇る

間髪入れずにサラダやキムチ、スープにライスが運ばれて来る。これはもはや。

昼焼き肉の背徳感たるや

とりあえず、焼く。
付けダレが炭火に落ちるたび、ジュッという音と共に一筋の煙が立ち昇る。その煙は香ばしい匂いを残し、排気ダクトにまっずくに吸い込まれる。

タレまで大松園時代と同じく2種類

焼けたマトンを口に運ぶ。
一瞬にして去年の夏までタイムスリップ。
間違いない。大松園の味だ。臭みがなく、柔らかく上品な味。

それにしても、どういうことだろう?

ビールをもう一本頼み、それを運んで来た店主さんに話を聞いてみる。

——あれ、ここって、韓国居酒屋でしたよね?
「実は、大松園が閉店する時から、本当は焼肉屋としてオープンしたいと考えていたんです。それがいろいろと諸事情あって、自分が好きで得意な韓国料理店をオープンしたんです」

——確か、大松園は小田原に移店して、前の店主さんは引退したんですよね?
「そうなんです。でも前の店主さんから、レシピだけは受け継げることになったんです。そこで、もともとやりたかった焼肉屋にメニューを全面的に変更しました」

——なるほど、それで味付けが同じなんですね?
「私は地元の出身で、子供の頃から大松園にはよく通っていたんです。当然味も大好きで、今は前店主さんに色々と教えてもらいながらやってます」

——確かに、タレの味も同じでした。
「それ、前店主さんが作ったものです(笑)。近いうちにあの酸味のあるキムチの漬け方も教わる予定です」

僕の頭の中で絡まっていたものが、ゆっくりとほどけて一本の線となった。
マトンを焼いてビールを飲める休日の幸せ、再び。

「夜も焼肉店として営業しています。店名も、韓国料理店の名前から、変えようと思っています。今考えている最中です」

人気だったカルビ麺も復活!
焼肉メニューの中身は懐かしいものから新しいものまで
大松園時代にはなかったマッコリのメニューも
完食!ご馳走様でした

一度は消えてしまった松田町の焼き肉の火が、再び灯り始めた。
もう消えないように、僕も応援させてもらう。

今年の、我が家の忘年会の場所、決まりだな。

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