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《BEAVER by Zoologist》ビーバー

Zoologist Perfumes "BEAVER"はカナダビーバーのポートレート、水が落葉を洗うアウトドアーエアーが心地よい、きれいなダークウッディ&ムスクの香水です𖦸𖦸

BEAVERは、2014年にZoologistが発表した最初の3種類の香水のひとつですが、今回noteにしたのは2016年リフォーミュラ版です。
オリジナル版はスモーキーでパンチの効いたベースノート、カストリウムアコードが印象的だったようです。リフォーミュラ版では暗いアニマリックがクリーンなムスクに変わり、トップノートが改良がされました。

調香はどちらもChris Bartlett氏が行いました。
Zoologistが依頼するビーバーの香水となれば動物性香料カストリウムのアコード表現は避けられない課題です。彼は、ビーバー特有の革のようなムスクとほのかな酸味を調整し、上質なカストリウムアコードを作り出しました。水と木とムスクとカエデの葉の遊び心に複雑なアンダートーンを加え、ビーバーダムやカナダの風景を表現したそうです。

BEAVER 2016

TOP 𖡻木枯らしが吹いたような一瞬の間を置き、オゾニックノートのまんなかでリンデンブロッサムが一度にざわっと揺れ香る。葉と木屑と土をとおって濾過された透明な水が零れ、イエローフローラルも透き通っている。
寒さを表す香りではないが、雪解け水や、降雪後の澄んだ空をおもわせるフレッシュアウトドアエアーアコードと、鼻にジンとくるガソリンのような香り…灯油ランタン、あるいはWild Vegetationアコードの組み合わせがくせになる。水っぽいのにこっくりまろやかで独特なフルーティにも感じ、これが水や風に加えてもうひとつ道をつくって交差する。

HEART 𖡻 腐葉土や泥をおもわせるアーシー。環境音だけが聴こえる、ある種の静けさ、騒々しさ。全景は野外のまま、冷たい水辺からすこし温もりのある森へ。多種多様なアロマティック&ウッディが集められているが、角が落ち、朽ちはじめた香り。そのだとままばらけてしまいそうなところをムスクが上手に拾い集めている。
要素的にはダーティに淀みそうなところを、新鮮な空気と清潔なライトムスクが間を縫っていて、よく換気されたビーバーダムをイメージできる。湿った香りと乾いた香りでこのような表現ができるんですね、すごい。

BASE 𖡻 カストリウムアコードはうまく出る時と出ない時があるが、基本的にアニマリックの強い主張はない。スッとする酸味がほんのすこし感じ取れるかどうか。
もう、水も風も流れ込んでこない。表面は冷たく濡れているが、芯のほうはすっかり乾いたダークウッディやアンバーが、ヘビームスクとカストリウムに押しほぐされて寝床の心地に。

TOP: Fresh Outdoor Air, Linden Blossom, Wood Shavings, Wild Vegetation
HEART: Damp Air, Dry Wood, Water, Light Musk
BASE: Heavy Musk, Dark Woods, Vanilla, Amber, Castoreum, Leather


BEABER 2014 - original formula

オリジナル版は2016年12月に完売しています。

当時のレビュー記事には「カストリウムアコードとリンデンブロッサムの組み合わせは奇妙だが楽しくて親しみやすい」とか「土のようにスカンキーな香水で、現代的にリメイクされたクラッシックの香り」とありました。

オリジナル版はカストリウムアコードがハートノートにありますね。トップノートにFresh Airと記載されていたアコードは、リフォーミュラ版ではFresh Outdoor Airとなりました。

TOP: linden-blossom, Fresh Air, Musk, Light-citrus
HEART: Castoreum, Iris, Vanilla, Smoke, Undergrowth
BASE: Animal Musks, Ash, Cedar, Amber


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