映画「蛇の道」---悲しみを背負ったサイコパス
黒沢清監督によるセルフリメイク版「蛇の道」見てきました。
ネタバレをたくさん含むので、以降は注意してお読みください。
1998年版で哀川翔が演じた役どころを、今回は女優柴崎コウが演じています。
わたしは1998年版を何度も見ています。
1998年版のストーリーはこんな風に紹介されています。
幼女誘拐殺人…。娘を殺された宮下は、謎の男、新島の協力を得ることによって、復讐を実現しようとしていた。ある組織の幹部、大槻、檜山、有賀を次々に拉致し、拷問まがいのやり方で、事の真相を問いただしていく。3人は自分の身の保身のために、罪を擦り付けあい、醜い争いを繰り広げる。娘を殺したのは誰なのか?そして、新島の本当の狙いは…?
※https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-10-4988111255600 紀伊国屋書店サイト
宮下を演じたのは香川照之でした。柳ユーレイがヤクザの幹部役をしています。
で、今回のリメイク版のストーリーはこんな感じです。
8歳の愛娘を何者かによって殺された父、アルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)は偶然、出会った精神科医の新島小夜子(柴咲コウ)の協力を得て、犯人を突き止め復讐(ふくしゅう)することを生きがいに「必ずこの手で犯人に報いを」と殺意を燃やす。とある財団の関係者たちを2人で拉致していく中で「誰に、なぜ、娘は殺されたのか」という真相が次第に明らかになっていく。
※https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202402270001364.html?Page=3 日刊スポーツWeb
大体ストーリーの骨格はほぼ同じですね。ただこのあらすじだけ見てると、ただのクライムサスペンスですが・・・実は、この映画は、最後まで見ている者をとても不安な心境にさせていきます。そして人間の陰惨さをどろっとみせてくれるのですが、それについては、明かさないでおきます。
セルフリメイク版を見て、感心したのは、黒沢監督のキャスティングです。
柴崎コウをここで持ってくるとは・・・驚きました。
なんかインタビューでは「ダメ元で声をかけたら、受けてくれた」みたいなこと言ってましたけどw
新島小夜子は、悲惨な体験をした精神科医で、しかし完全に「サイコパス」です。
普通サイコパスって、本人の背景も何も語られず、最初からおかしい奴って描かれ方をすることが多いです。
この映画でも、彼女の悲惨な体験については土壇場までは語られないのですが、
1998年版を見ている人には、おおよそ新島小夜子がどんなひどい体験をしたキャラクターなのか、わかるんですね。だから、見ている側は復讐に関わっても人間らしい気持ちみたいなものは、ちゃんと持っていると解釈してしまう。
それなのにやっていることは完全に「サイコパス」w
柴崎コウは映画の中で、悲しみを背負ったサイコパスを演じているんです。
しかも彼女の声はとても優しく心地のよい声で、かわいらしさも感じます。そういえば歌も上手かったですよね。
そんな声で相棒を叱咤激励しながら、真相に迫っていきます。だから余計に怖いw
黒沢作品「CURE」に出ていた洞口依子と感じが少し似ています。まああの作品の洞口依子も医者ですが、完全に操られているので、その点では、違いますがね。
新島小夜子は自分の意志で、復讐の手伝いをしていきます。
そして自分自身の復讐を果たすのです。
中身は相当陰惨です。でも、配給側は柴咲コウ主演ということで、プロモートしてくんですかね。
普通の場所では、内容について、絶対深掘りできないのにねw
これからの記述は、かなりセンシティブな内容だし、一般のメディアでは今後絶対に触れない、映画の核心部分なので有料にします。
ここから先は
¥ 100
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?