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おかめ 尾道


1人でふらっと、本2冊だけ持って尾道。
文豪かよ。決めにきてますね?と思う。実際インスタとかに写真あげる時点で全くナチュラルではない。でも、いかにいい過ごし方をしてるかアピールしたくなる、ほどやっぱり尾道は風通しがいい。

今、海のそばで“だいだいエール“を呑みながら書いてるので、多少文章が浮いてしまうことは詫びたい。とてもいい気分。

尾道には4年ぶり。パンデミックが起こる前に滑り込んだような記憶がある。そのままあるお店も、世代が変わって雰囲気は変わったけど残ってるお店も、当時はなかったお店もたくさんできていて、素直にめちゃくちゃ満喫している。尾道ロイヤルホテルというクラシックな宿に宿泊し、「今からビールが飲めるところを教えてください!!」と言ったのが午後3時。「もう少し行ったところを曲がったら確かあったような、、」とフロントのお姉さんを困らせたのが確か午後3時過ぎ。「ありがとうございますっ!」と元気に出発し、言われた通りに歩いていると、やってるかやってないかはっきり明記はしてないけど、やってる気がする立ち呑み屋に出会った。絞り出してくれたフロントのお姉さんには申し訳ないが、ここに決める。
断られませんように、、と願いながら引き戸を開け、「いいですか?」というと「どうぞ。」と返ってきた。尾道の商店街の本筋から一本逸れた通り沿いにある“おかめ“という13時からやってる立ち呑み屋さん。その時お客は私だけだったので、立ちたい放題。最初は真ん中に立ったのに、左へ左へと移動する謎の行動にも何も言わない。「今、ビールは赤星の中瓶しかなくて~、冷酒とかなら色々ありますし~、ま、この辺もありますし~。」と、ルインズか!と思うほどのゆるさ。勢いや言葉でやってない、そんなお店が好きだ。

「じゃあ赤星ください。」というと、「おでんは今つくね以外ならだいじょぶで~す。」と返ってきたので、つくね以外にしようと思う。
ぬか漬けを頼むと、「3種盛りにしましょうか~?」と言ってくれたので、是非とお願いし、おでんは“ちくわ“とこんにゃく“にする。自家製のぬか漬けはぎゅっと酸っぱくてすごく美味しいし、おでんは3種類の出汁から取ってるらしく、その金が混じったパーマメントヘアからは想像もしにくいほど全部ちゃんと作られていて、舌と心に染みる味だった。こんにゃくに関してはもう一言添えたい。大概のおでんのこんにゃくは三角の大ぶりで、お箸によってはもう一度お出汁にダイブしバッシャンとなり、箸にはなにも挟まってない状態で口だけ開いているのがオチだが、おかめのこんにゃくは隠し包丁を入れ、クルクルと巻き、串に刺してあるのだ。この一手間は倍払ってもいい。しかも美味しい。隣町の東尾道の美味しいこんにゃくを仕入れてる、というところもニクい。

三重から来たというと、私の住んでるとても近くに友人がいると言っていた。なんなら少し前に遊びに行く予定だったが、友人が急にシフト変更になって話が流れたそうだ。尾道から友人が来るというのにシフトを変更するのか、と思ったけど、類は友を呼ぶ。ゆるい人の友人はゆるい。それもいい。

店主のお姉さんは元々東京らしく、ここに来るまではずっと奈良にいて、ご縁があって尾道で立ち呑みおでんをしてるそうだ。おでんも、「おでんがいいんじゃない?」と友人が言ったから、という理由らしい。仕込みが面倒くさいなと思った、と言っていた。

追加で頼んだポテトサラダは豚肉が入っていて、あっさりおいしい。マヨネーズは使ってないという。マヨネーズは嫌いな人いるからだそうだ。豚肉は?と思ったが野暮なことは言わない。肉味噌ピーマンも美味しかった。肉味噌が優しい味で、いくらでも食べれると思った。

おかわりは“梅干しサワー“。梅干しも漬けているという。まぁ梅干しくらい買ってもいいんだけどさ。と言っていた。何かとおかしな人だ。毎日飲みたいほど、美味しい。

お姉さんとは自営の世知辛さの話もした。私も地元で食堂をやってるというと、インスタを探してくれたり、名前を聞いてメモしてくれたり、お互いがつがつはいかないものの、その時間がとても楽しかった。なんでも高騰しているけど、値段を上げたいわけでも、下げてたくさん来てもらいたいわけでもないよねとか、毎月なんにも残らないよねとか、最悪働きにいけばいいと思ってる、こととか。きっと同じ歳くらいの我々は共鳴した。


店内は10人くらい並べるかな、といった広さで、ガラスの引き戸から見えるので入りやすい。カウンターとお姉さんの間にもう一段高さはあるけれど、とても近く、ちょうど良く感じた。お店の人の雰囲気と背中とガラス戸にそれほど間がないからだろうか。居心地が良くてなかなか長居をしてしまった。

そろそろ予約してあるお店の時間になってきたので、小さく“よし。”と言うと、「お愛想します?」とそれもまた気まずさの欠片もない。常連であろう男の人2人が楽しそうに入ってきたので、それも相まっていい雰囲気だった。

”ビズーという店に行く。“と言うと、3人が揃って「ポプラをすぎて、まだかな?と思った頃のちょい先にある。」と教えてくれた。


尾道の宝をまた発見してしまったぁ。



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