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失恋から立ち直るまであと〇日【①断捨離に失敗した話】

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3年近く付き合っていた彼と別れたその日、私はなんとか電車を乗り継いで家に帰った。

改札ではSuicaとPASMOを出し間違え「入場記録がありません」と言われてしまい、2つしかない小さな駅の改札を詰まらせてしまう。少し落ち込む。再び入りなおそうとした時、年上の女性が「どうぞ」と譲ってくれた。人目を憚らず、わんわん泣きそうになってしまった。


家に帰って、まず私がしようとしたのは、「思い出の物を捨てること」。

付けていたペアリングを涙でぐしょぐしょになったティッシュに包み、ごみ箱に捨てる。お葬式のように手を合わせ「ありがとうございました。」と呟く。ここまでは順調だった。

さあどんどん捨てていこう、と私は机の引き出しを開ける。早速捨てようと思ったのは、去年のクリスマス、彼が作ってくれたカード。「ポ〇モンカード」のパロディとして、私の写真とHP、オリジナルの技「○○(彼)の名前からお菓子を貰う」などと書かれている。クオリティの高い作品で、貰った時はとても嬉しかった。

カードの中で幸せそうな顔をしている自分と目が合って、私は膝から崩れ落ちて泣いてしまった。こんな思い出が詰まったカードなんてすぐにハサミで切り刻んで捨ててしまおうと思ったのに、できなかった。

部屋を見渡すと、思い出の品はたくさんあった。何千円もかけてUFOキャッチャーでとってくれたポ〇モンのぬいぐるみ数匹、シンプルな腕時計(サイズを合わせておらず、家でしか使っていない)誕生日に貰ったおしゃれなバッグ。なんでもない日にくれた水筒、もったいなくて使っていない顔パック、一緒に買いに行ったパソコンケーズ、壊れかけの今でも使っているアロマディフューザー、初めて一緒に過ごしたクリスマスで買ってもらった財布。

あまりにも日常に溶け込んでいたそれらを全て捨てるなんて、不可能だった。

彼は別れ際にいった。「今まで貰ったもの、どうするの?」

私は意地を張って答えた「メルカリでしょ」。

彼は「……そうだよね」と言った。そして、「自分は使い続けると思う、物には罪がないし」と続けた。

まだ引きずっている私に、メルカリなんて使えるわけない。

結局思い出の品の多くは、引き出しにしまっている。いつか心の整理がついたら、捨てようと思う。



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