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GYPSY(2)

ミュージカル「GYPSY」

劇場 : 東京芸術劇場プレイハウス




本日は2回目の観劇!!
初日は注釈付きの席で音響も見え方も良くなかったから、とっても楽しみにしてた日。


今日の席は1FのN列15番。

東京芸術劇場 1F 座席表
(https://www.geigeki.jp/house/playhouse.html)


劇場のど真ん中。
もうね、音響も没入感も初日とは比べ物にならなくて、ほぼ初見で観てるような感覚だった。
初日は上から見下ろすような目線になってて音も目の前を通り抜けていく感じだったから作品を“眺めてる”って感じで、実はあんまり作品に入り込めてなかった。
でも今回は違う。作品を正面から受け止めて、ビシっっとパワーを感じたし、作品の本来の姿を見れたって感じがした。
めっちゃ集中して観てたから観劇後の疲労感が半端なかったし。
観劇でこんなに疲れたの初めてかもってくらい。

自分の中で1番大きかったのは、演目のタイトルが見れたこと。
初日は下手側の3mくらいが見切れててタイトルが見れてなかったんだけど、今日は見れた。
あれがあるのとないのとじゃ訳が違うや。
まず、そのシーンの場所がどこなのかが書かれてることも今日知って、うわあああって思った。これ見れてなかったんかいって。笑
ローズたちがどんな順路でアメリカを回ってたのかが分かって、この作品の内容理解がぐーーんと上がった。
2幕は特に、それが分かってると内容がすっと入ってきやすかった。
初日のレポートでは内容理解が足りないからあんまり書けないとかなんとか言ってたけど、原因はほとんど席だったみたい。

と、席の感想はこんな感じ。
いつもと比べたら同じような席だったけど、前回との変わりようが凄すぎて感動してしまったよ。笑



じゃあここからは作品について〜。
いろいろと〜〜。


まず、前回光の演出がいいなって書いたんだけど、こんな所もあったなーって思ったことがあったのでそれを。


1つはバスのシーン。
バスが進む時に細い光が右から左に何本も流れていくことでバスが進んでることを表現してた。
これもいいなぁって思ったポイント。
普通はバスが進むのを表現しようとしたら、バスが書かれたパネルみたいな小道具を用意してそれと一緒に乗客も動き回るとか、逆に乗客が止まったままバスが動くのを表現するなら、景色として木や建物を用意してそれを動かすとかだと思う。
でも小道具を用意しないで光だけで表現するのがやっぱり粋だなと思うし、それもお客さんの想像力を掻き立てる演出になっていて素敵だと思った。
ていうかそもそもバスを椅子とテーブルだけで表現しているのもいい。
だからあのバスのシーンは結構好きだなぁ。


もう1つは子供たちが劇中のナンバーの間に大人に成長するシーン。
結構強めの白い光が長い間チカチカするから苦手な人はかなり苦手だと思うけど…。(僕は目を瞑りたくなったけど我慢した)
でも、光で時間の経過が表現できるんだ!って感動した。
本当にあの光が時間の経過を表現したものなのか?って言われると分からないけど、光の演出が何も無く一斉にキャストが変わるのを想像するとなんとなく違和感を感じそうな感じがしたから多分そういうことなんだろうなって思ってる。
勝手な解釈かもだけどね。そんなの受け取る側の自由だもんね。


光の演出について追加で思ったことはそんな感じ。


次に、前回あまり触れられなかった内容について触れていこう!
今日はちゃんと観れた気がするので〜。


今日1番注目してみようと思ったシーンがひとつあったのです。
ルイーズの誕生日のシーン。
あのシーンでは、ルイーズが誕生日でみんなからお祝いされるけど、ゴールドストーンさんが大きな仕事を持ってきてくれたことをきっかけにルイーズそっちのけで盛り上がってしまう。
いつも脇役であるルイーズにとっては唯一と言ってもいいかもしれない、自分が主役になれる日なのに。
そんな彼女はどんな表情をしてるんだろうと思って、このシーンだけはオペラグラスでルイーズだけを追ってみた。(このときの『ミスター・ゴールドストーン』は好きなナンバーランキング上位なのでちょっと我慢して追ってた)
ルイーズは悲しそうというわけでも、嬉しそうというわけでもない、なんとも言えない表情をしてた。
道で偶然見つけた人だかりを「なんだろう?」と眺めてるような表情。(合ってるかは分からない)
いつものことだと割り切って、「うん。そうだよね。」って。
そして1人プレゼントを抱えて部屋に戻る。

これがルイーズの強さなんだと思った。
自分に才能がなくて、自分が母から期待されてないことも理解してるから、自分が我慢することは仕方がないことだと割り切って押し殺す。
でもこれは誰も悪くない。
だからジューンには嫉妬をしないし、母には迷惑をかけないように言われた通り脇役に徹するし、文句も言わない。
“自分の不幸を誰のせいにもしない”
それがルイーズの強さなんだと思う。
プレゼントを抱えて部屋に戻ったあとのナンバーの『小さな羊さん』の歌詞にもそれが現れてる気がする。
普通こんな時の少女の心情を表すナンバーでは“私のことも見てよ”とか“なんで見てくれないの?”と歌って、泣いてしまったりするものだと思う。でも、このナンバーは誰かを攻めるわけでもなく、泣いてしまうわけでもない。
ぬいぐるみの友達に話しかけながら自分の寂しさを自分で埋めるようなナンバー。

そして、ルーイズはそうやって自分を押し殺しながらも、人に対して暖かく、優しい心を持ってる。それもまたルイーズの強さ。
特に印象に残ってるのは、農場の演目のあとの契約やらなんやらのシーン。ジューンはスターになるために契約を結んで欲しいが、ジューンが自分から離れることが条件である契約に不満があるローズは部屋を出ていき、それを追って秘書もハービーも出ていく。
部屋にルイーズとジューン以外誰もいなくなると、ルイーズはジューンを元気づけるために受話器をとって「はいもしもし?」と特徴的な秘書の真似をする。
このシーンにルイーズの優しさがめちゃくちゃ現れてるよね。
牛の前足なんて役をやらされて、一方で同じ演目に出た自分の妹がスターになれると言われてて、その妹を離したくない母親が全力で抗議して。
こんな状況で妹の気持ちを優先できるルイーズってなんて素敵で強い子なんだろう。

でもだからこそ、自分が注目を浴びて誰かから求められる感覚を知ってしまったルイーズはストリップの世界に浸っていったんだろうな。
ストリップのための衣装を着て、メイクをして、「ねぇママ、私、かわいい女の子だよ。」って鏡に映った自分を見て言うシーンは、なんとも言えない感情になる。やっと自分のフィールドを見つけたルイーズに、“報われてよかった”っていう思いと“本当にそれでいいのか”っていう思いが湧いてきて頭がグルグルしちゃったな。
ずーーーっと押し殺してきた「ママに認めてもらいたい」っていう願いが叶うかもしれないと思った瞬間だったんだよね。

結果的に、ルイーズがストリッパーの道を選んだことは正解(ルイーズにとっての幸せ)だったのだろうかと考えた。
でもやっぱり、ルイーズにとっての1番の幸せは家族だったんじゃないかな。
2幕でローズとハービーとルイーズの3人で歌うナンバーの『いつも一緒に行こう』で、3人チグハグでも楽しそうにしてる表情のルイーズが1番幸せそうだったもん。
自分を押し殺して我慢することが出来るルイーズだからこそ選ぶことが出来たストリッパーの道だけど、本当は我慢なんてしなくても、ローズに自分を見てもらえて、誰かに愛して貰える環境があればきっとその方がルイーズは幸せだったはず。
でも最後はローズと同じ出口から出ていったからね。幸せだといいな。


ルイーズの誕生日のシーンに注目してみてたよって話から気づいたら大分発展してた。
僕から見たルイーズはこんな感じの印象。
生田さんが演じる役なのでいろいろ考えちゃいました。


けどこの作品で1番考えたいのはローズの生き方について。
ローズがこの作品の核だからね。
ちょっと一日でこの2人について語るのは自分の脳みそ的にハードなのでもう何回か観てから考えをまとめようと思ってる。


この流れでもっとラフに触れられそうなハービーについて。

今作の推しキャラはハービーに決定致しました。

人に寄り添いすぎて胃を痛めてしまうハービー。
愛だけを頼りにローズに尽くすハービー。
子供の意思を尊重して旅立ちを応援するハービー。
ローズの身勝手さに耐えられず怒鳴るハービー。

もう全てがかっこよくて可愛くて素敵。
特にローズとの最後のやりとりが大好き。
(のくせに雰囲気しか覚えてません。セリフは全く正確じゃありません。)

ローズ 「ハービー、あなたが必要なの!」

ハービー 「なんのために…?」

ローズ 「あらゆることよ!ハービー!」

ハービー 「1つでいいんだよ…。」



いやあああああああぁぁぁぁぁぁ。
この最後のセリフ、ハービーすぎるでしょ、、、
この一言にハービーの全てが詰まってると思う。
ハービー。幸せになってくれ。
そう願いたいけど、あぁやって愛するローズを無理やり振りほどいたハービーはもう幸せに離れないんだろうなと思ってしまう。
だってどんなにローズのやり方に賛同できなくても、自分がどんな酷い使われ方をしても愛する人のために尽くしてきて、それを振りほどくときにも「愛してるんだ」と言ってしまえるハービーが次の人を探せるわけないもん。
この先もずっと離れたところでローズを想いながら歳を重ねていってしまうんだろうな。
あぁ。ハービー。😭
(妄想しながら勝手に悲しくなってる痛い人)



登場人物については今回はこんな感じ。


続いて前回書けなかった好きなシーンについて。
もう既に話の途中で何個も挙げてるので話題に出なかったところをちょっとだけ。


まず、『ミスター・ゴールドストーン』。
ルイーズは嫌な思いをしてしまうシーンだけど、それ以外の皆がめちゃくちゃ楽しそうで好き。
特に彩春さんの表情、最高に子供っぽくて可愛すぎだから見て欲しい。
ゴールドストーンさんの周りを腕を突き上げながら回ったり、チャールストンとかブリジストンとか遊び心もあってこっちまで楽しくなってくるナンバーだよね。


あとはやっぱりルイーズ×ジューンのデュエットは挙げざるを得ないよなぁ。『ママが結婚したら』。
いくちゃんは勿論、彩春さんも大好きな役者さんだからこの2人のデュエットは贅沢すぎる。
彩春さんなんて1幕の後半にしか出番ないから、その少ない出番の中でもいくちゃんとのデュエットナンバーがあってありがとうありがとうという気持ちでいっぱい。
このナンバーは
「髪のリボン全部はずして頭からママを追い出すの」
っていう歌詞がとても好き。
追い出すって子供から親に向けるには割と強めの言葉だけど、わざとそう言うことで子供ながらに反抗しようとしてるのが伝わるし、リボンをママの呪縛みたいに例えるのが面白いなと思ったから。


あと農場の演目のシーンでルイーズが「モモーモモー(棒)」って言うのあれ面白いし可愛すぎて1番好きかも。いつもいくちゃんの声聞き慣れてるから棒読みが余計面白い。笑
同時に彩春さんの歌唱も楽しめるしあの演目最高だな。





と、今回はこんな感じかなぁ。
ルイーズについて中心的に語ってみた。


本当はローズについても書きたかったんだけどまた今度。
ローズ関係で気になってることもあってそれの推理も次回以降していかなきゃだし。



2回の観劇を通して1番思ったことは、この作品はやっぱりストレートプレイに近いってこと。
ナンバーは少ないわけじゃないけど、観劇後も口ずさむようなキャッチーなナンバーじゃなくて、物語に音楽が寄り添っている感じ。
物語の展開も急展開があったりするわけじゃなくて、物語がだんだん展開されていって、それについて考えさせられる感じ。
だからいつものミュージカルと比べて印象に残ったシーンがあまり多くないかも。
それよりは、こういう結果になってしまったのはなんでだろう?とか、この作品が伝えたいことはなんだろう?とか自分なりにいろいろ考えてみることでより楽しめる作品なのかなって思った。
このへんがなんかストレートプレイっぽい。

何度も観劇し甲斐があるね。




そうだ。親子と言えば、今日実は母親と観劇してきたんですよ。どうしてもいくちゃんとミュージカルを観て欲しくて、金欠のくせに家族に布教活動です。ファンの鑑でしょう?
それで、今回の作品は母親としてのローズが最重要ポイントじゃないですか、それが響いたらしくて、最後の『ローズの出番』で泣いてました。
やっぱり母親の立場だからこそ分かったり響きやすかったりするところがあるのかな。
今回の観劇が母にとってちゃんといい思い出になってくれてそうで安心です。

ちなみに彩春さんの歌声をベタ褒めしてました。
(だから出番少なすぎるって残念がってたけど)
いくちゃんの歌声もめっちゃ綺麗って言ってくれました。

嬉しいな。


それではまた来週〜。

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